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最終更新日 2003.11.15
(初稿 2001.03.21)

■愛の呪縛

  • 初出 麗人 2001年SpringSpecial
  • 頁数 26
  • 所収 未収録

[あらすじ]

 次の期末テストで平均70点以上をとらなければ留年、と担任の平那津(たいら・なつ)から通告された永海千早(ながみ・ちはや)。とある条件と引き替えに平に勉強を見てもらうことになるが、平の持ち出してきた条件というのが「自分を縛りつけながらセックスしてほしい」というもので……。

[感想]

 まずは久々の商業誌登場ということでやれめでたや。

 高2生×教師……なんだけど、ヤリたい盛りの生徒に押し切られる教師という話ではなく、むしろセックスパートナー急募中だった数学教師で担任の平の脅迫まがいの交渉により、生徒の永海は否応なしに相手をさせられることになり……という展開。全体的にコメディタッチで明るく話は進んでゆきますが(「こんにゃろ!」がすご〜くツボでしたがな。かわいーんだもん、平先生)、永海に条件をのませようとする平先生の目つきは殆ど悪魔のようです。ただでさえ半眼気味の黒丸目玉で見た目が怖いのに迫力倍増。そんなに溜まってたんですかセンセ……。で、平先生、ヤッてる最中はかなり奔放な姿を見せておしまいになっとります……が、あれは「されるがままの受動態なウケ」なんじゃなくて、そういうセックススタイルの人なんだろうなー。確かにあれじゃあ、「パートナーと別れて困っていたところだ」と言うのもむべなるかな。ああいう、緊縛好き(拘束される方)というか、身体ごと全部相手に預けるようなセックスがいい人だと、シュミが合う相手じゃないと多分ちゃんとイケないだろうし。だから却って緊縛プレイどころかHそのものの体験が皆無もしくは少なくてまだセックスについて白紙の状態、しかもゲイという訳でもない永海のような人間の方が、平の相手としては向いているのかもしれまへん。実際、永海は初めは男同士ということもあって腰が引けていたものの、プライベートな平の表情に触れて、自分の性欲を満たすためというよりはかなり平のペースに合わせてその要求を叶えるようなやり方で彼を抱いてますしね。そいでもって、学校では見ることのない平のあーんな顔やこーんな姿を知ってしまった永海は次第に平に惹かれてゆくのですが……、まー生意気に永海君、言葉責めなんか覚えちゃって。しかし“相手が反応している様子に感じる”というのは関係性としては直接的に欲情するより精神的に根が深いような気がしないでもなく。あああ、さっきから何を書いているのだ(汗)>わし

 ですが大袈裟にいうならば、人のありように関わるようなディープな事柄を共有する行為だけに、永海が自分より性的経験度数の高い平に応えるままどんどん平のスタイルに染まってゆくというのは、高飛び込み用のプールにそれと知らずに初心者が足を突っ込むようなもので、己が引き入れたこととはいえ、平が自分に好意を告白した永海に「それは錯覚だ」と切って捨て「忘れた方がおまえのためなんだよ」と内心呟くのも無理はなく。この場面、永海と平の年齢差、経験差が感じられるのが好印象でした。せっかく年齢差がある設定なのに(そういえばこの2人、17歳×28歳だから結構な年の差カップルですな)、中味が同じレベルじゃつまらんですからねー。まあ、平は教師としては大いに公私混同してますが、でもだから最初から期間1ヶ月限定の関係にとどめておこうとしたのかなー、とか。途中、「……、私の性癖は異常らしい」と平が第三者的口振りで言うところ、先生は以前に自分のセクシュアリティーについて調べてみたりしたのであろうか、そして自分にとっては自然体であることが世間的には“異常”と見なされていると知った時、何を思ったのであろうか……などと考えるとちょいとシリアスモードになってしまいます。(しかーし一方で、それとも過去に誰かにそう言われたのかしらん、だとしたらいったい誰の前でそんなに乱れてみせたンすかセンセーッ……などとばっさばっさと妄想の翼は羽ばたくのでしたが。わーははは) もっとも平は、それならそれで仕方がない、と冷静に受け止めている感じもしますけども。永海にかました『縛道』についての気合い入りまくりの熱血指導からは、縛りについての熱いこだわりを感じこそすれ、自分のことを恥じたり、後ろ向きに捉えていたりといった姿勢は見られませんでしたしねえ。諦め悪く男同士だからと抵抗する永海に対する「私は男の方がいいんだ!」という断言ぶりがいかしてます。そして「私は気持ちよくなりたいんだっ!!」という太字の宣言も。やはり相当溜まっていたのですな、先生……。んでも、いくらじれたからといって永海の股間を蹴飛ばしたら役に立たなくなるのではないかと思うのですが如何。

 さて、だらだら書いてきましたが、読んでみて、お久しぶり〜な商業誌は絵柄はちょっと目元が濃い目になってるような気が。攻……というより少年キャラの目の描き方もちょっと変わってましたね。仏頂面の平センセもお元気少年の永海君もどっちも好きでしたが。永海はねー、怖いもの知らずなキャラクターですわな。とはいえ、若さ故の厚顔無恥系ではないので、多分大丈夫でしょう。究極の愛ある縛りを目指して精進してください。……なんつーと余計ヤバい道に突き進んでゆきそうですが(笑) あと、余計な擬音に頼らず動きのあるカットを繋いでゆく濡れ場の描き方はさすがに上手いっすねー。久方ぶりにエロい絡みを読んだような気がします。ほほほ。

 ――で、何で結局勉強のせいで顔が傷だらけになっているのかが判らなかったのですが……。言わんとすることは判るような気がするんですけどね(笑)