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最終更新日 2003.11.25
(初稿 2001.08.25)

■恋する太陽

  • 初出 麗人 2001年9月号
  • 頁数 28
  • 所収 未収録

[あらすじ]

 吸血の現場を隣のクラスの相根正太(さがね しょうた)に見られてしまった枡田鉄雄は翌日、相根に呼び出される。実は相根と枡田は10年前に一度出会っていたのだった。吸血鬼にしてくれという相根の真意を探るため、相根と「友達」になった枡田だったが……。

[感想]

 高校生×高校生の皮を被った吸血鬼。
 この作者の吸血鬼ものというと『月下の一群』(コミックス「ただ一度だけの永遠」所収)なんてものもありますが、吸血鬼が人間の世界に同じレベルで立ち交じろうとしたら、ずっと時間を共有することはできないし、排斥されることも多分必至だから事情を説明することもできないし、孤独な存在であることを強く意識せざるを得ない。生来の吸血鬼であるマスターと違い、元は人間で普通の感性を持ったままの、そして太陽光線が平気だという変種である分、人と交流する機会も多い枡田にはそれはとても辛いことではないだろうか。誰の記憶にも残らない、というのはつまり存在しなかったというのと同じだからして。終盤、時の流れの中を流浪してきた枡田が思いを吐露するところがなかなか切ないです。
 しかし、エサ寄せの噂「男好きで誰にでもやらせる」って……、どう考えてもマスターの好きな童貞君の血液を集める手段としては向いていないんぢゃ……。しかも自分でその風評を流しているという噂まで立っているのでは、秘密の保持に半分がとこ失敗しているような気が。うーむ。
 ところで気になって仕方ないのが、マスターの髪型。なんちゅーか、サリーちゃんのパパってああいう感じでなかったですかねえ。