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1999.05.23 (Sun)

[感想]「懺悔」 初田しうこ

「懺悔」初田しうこ 竹書房バンブーコミックス麗人セレクション ISBN4-8124-5212-0 C9979 \562E

 読み切り4本収録。……のうちオヤジ絡み2本。作者曰く「これは少年の皮をかぶった親父本でした。ゴメン」
 いへいへ、初田さんの描かれる話でしたら何だってオールオッケー、と言いたくなってしまうほど、各作品の完成度は高いです。確かにかなりの直接描写だけど、ソレのみを追求していつまでもハアハア言っている快楽系とは違うので大丈夫。(何がだ) あとがきは爆笑ものなので、雑誌で全部読んだという人も、是非コミックスをチェックいたしましょう。
 収録されている話のうち『君さえいれば…』は割と笑えるシーンも多いけど、それ以外はずっしりシリアス。でも最終的にはハッピーエンドだから読後感はすっきりしてます。ワタシ的には、『教師B』での「盛りのついた体で愛だの恋だの口にして、俺を陥れようとする……。俺の立場などこれっぽちも考えず……。お前は俺ばかりを責めるが、俺には納得できないんだよ。若さを言い訳に、好き放題してるこいつらが……」という台詞が印象的でした。学園もので教師絡みの話も多いけど、こういう視点からのって新鮮かもしれん、と思って。なるほど、そこに愛があってさえ、生徒からの誘惑に乗るのは教師にとっては非常にリスキーだよね。全然立場違うもん。
 そういえば、初めてこの作者の話を読んだのは「麗人」に載っていた『懺悔』だったんだけど、それ、スーパーでの雑誌立ち読みだった。別の意味で非常にドキドキしたよ(笑)

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1999.05.24 (Mon)

[感想]「恋姫」 門地かおり

『恋姫』門地かおり ビブロスビーボーイコミックス ISBN4-88271-799-9 C9979 \562E

 人気の立女形・松本白玉こと優紀は劇作家の秋山に恋をしていた。片恋の相手には勿論、他に誰一人として知るもののない、優紀も誰にも告げる気のない、水面下の恋である。だからと言って穏やかな見守る恋ではない。度重なる秋山の郭通いに腹を立てた奥方が差し向けた見張り役をそそのかして、秋山と奥方を離縁させたりする、なかなかしたたかな恋なんである。しかし……(『恋姫』)。時代物『恋姫』と高校野球もの(なのか?)『年下の男の子』&それぞれの続編を収録。
 漫画で時代物というと、着物姿でも髪型は現代のままというケースが多くて、それがとても嘘くさく感じられたりするのだが、この『恋姫』も実はそのタイプ。しかしいや待て。本を閉じるのはまだ早い。読んでいくうちに、そういうことが気にならなくなる。この作者の話は登場人物の内心のつぶやきやらツッコミやらが激しいことが多いのだが、『恋姫』ではめずらしく抑えたトーンで独特の雰囲気を醸し出している。好きですね、こういう感じ。
 ところで『年下の男の子』に出てくる監督は、妻子も大事だが、一緒にいて胸が高鳴るのは生徒の習志野だけ、なんてズルいと思う……。

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