[ ハーヴェイの診療所を出発したキリとトナミ+ツヴァイが次に通りかかった町には「死なない男」と評判のラトリーがいて……。 ]
巻頭カラー。
大増ページ63枚。キリ達を遥かな高みから見下ろす謎の人物も登場してきていよいよ佳境も近しというところか。何だかんだいってキリがトナミのことを気遣っていたり、ツヴァイの存在を認めていたりするのが妙にほのぼの。話自体は甘々という訳ではないのだけれど。そういえば、ハーヴェイのところのヤツカはそろそろヤバそうですな……。
[ 編集者の羽鳥は担当している高校生漫画家・達川の担任から達川の家庭の事情を知らされる。そんな折、達川がスランプに陥ってしまい……。 ]
カラー付き。
何だか頼りない担当サンですな、羽鳥君。親身になるのと流されるのとは全然別物だと思うが。結局、すがったらダメだと羽鳥を突き放したのも達川自身だったし、プロットについてもまともなアドバイスもしてないようだし、ちゃんと仕事できているのか心配だ。しかし、達川も男子高校生で少女漫画の連載って一体どんな話描いてるのかな。
[ 旅館でくつろぐ蘭丸と圭だが、政との行き違いを抱える佳に邪魔されなかなか親密な時間がとれず……。 ]
京都旅行の続き。
肝心なところですれ違っているような気もするけど、佳と政との悶着はひとまず沈静化、完全な和解は次回以降に持ち越しってことなのかな。しっかし、佳も政の本音を聞きたいと言っている割に、ささいなことでカッとして人の話聞かないね。で、圭の欲求不満は果たされることがあるのでしょうか?
[ 後輩の吉井を好きな堀田は、しかし過去に一度不倫相手の課長との現場を吉井に見られていて……。 ]
サラリーマンもの。
一度読んでみたいと思っていた漫画家さん。話も絵もなかなか色っぽくていいんだけど、堀田と関係を結ぼうとする吉井の本意がなかなか判らなくて、恐る恐る読んでしまった。ラストに告白を持ってくるストーリーの流れも判らなくはないけど、もうちょっと早めに気持ちを伝えていた方が盛り上がったような気もする。
[ ジェラールを意識し始めたジャックは夜毎、誘惑にかられて……。 ]
カラー付き(2C)。
ジェラール&ジャックシリーズ。
ジャックの一人上手爆発の巻。自分でしといて「あ…嫌 出ちゃう…!!」も何もないもんだと思うが(笑) それでもってジェラールの台詞は引用も躊躇われるほど大胆。しかし、ようやく二人の関係がここまできたかと思うと感慨も深いですな。
[ 急死した双子の弟(湧人)の身代わりを引き受けた泳二は、そうとは知らない湧人の恋人でプロデューサーの斐川にスカウトされるが……。 ]
双子ものって、似ている二人の差異を認めて、という話が多いような気がする。だから、「意識しないと似てしまうから…。(略)だからオレ湧人がいると正直に生きられない」という泳二の独白は結構意外だった。
[ 写真家の父を海で失ってから、海に関することを一切遠ざけて生きてきた悟は、広告の海の中にかつて知っていた少年を見つけ……。 ]
前編からいきなり10年たっていて、かなり面食らった。おまけに、新しく出てきた人間関係について説明が足りないので話が判りにくい。悟がナギを見つけて一緒にタクシーに乗り込んでいってしまうのも唐突でついていけない。というよりこれではただの迷惑なヒトでは? ページの都合もあるんだろうけど、最初から大人のバージョンで話を進めて、途中に少年編の回想を入れた方が判りやすかったんじゃないだろうか。
何かいろいろ書いてあったけど、漫画を構成する個体はそれぞれが有機的に絡んでくるんじゃないかと思うので、計算ずくで初めから上手く全部取り込んでしまおうとするのは至難の業じゃないのかな。惰性的でない創作態度には、その心意気や良しとは思うけど。とりあえず、『飼育係・理イ火』は話が謎の回りでばかり進行してるようで、核心部分が不明なままなので、早いとこ戻ってきてきっちりカタをつけてください。しかし、かなり危ない橋を渡っているように見えた本マンにも、「ちょっと危険」と編集ストップがかかるネタがあったのね。いったいどんなネームなんだか……。
なんだか、主人公の気持ちが読んでる側によく伝わらないまま状況だけが進んでしまってる話が多かったような気がする。読んだ後、疑問を抱かせない話作りをお願いしたい。
[ 画家・出泉の周りで心中未遂事件が続けて起こる。事件に関係し、いずれも姿を消した女性はどうやら同一人物らしいが……。 ]
巻頭カラー(2C)。
『其は怜々の雪に舞い』('98 10月号〜'99 1月号)の人物達が再び登場。飄々とした出泉の言動に図らずも翻弄されてしまう担当編集者の南君がいい味を出してます。ただ、話の筋としては、掲載誌がボーイズラブ系でなくても良いような。まあ、いい男たちをながめるというのも楽しみの一つではあるけどね。
[ 薬物を使った婦女暴行事件の捜査をしている千石は、同居人の紫希が事件に巻き込まれかけていることに気づく。急いで千石さん、紫希を助けて! ]
……ってねえ、予定通り事件が起こって予想通り解決しそうな気配濃厚なんですが。まあ寸止めで千石が紫希を救出、その後ラブラブってとこでしょうか。いっそのこと、紫希が……むにゃむにゃ。あと、だんだん絵が怖くなってきているような気がするんだけど……。
[大学の先輩・功一に告白された伸吾。しかしゲイであることを隠さず堂々と生きる功一を中傷する者たちもいて……。 ]
'99 2月号掲載の続編。
やや悪役が類型的。功一や伸吾が、まさにじたばたと精一杯青春時代を送っているというのは伝わってくるんだけど、力が入りすぎてて、人物・絵柄共にちょっと土臭い感じは否めないかな。
[ つい流されて三木とエッチをしかけてしまう馬場。その最中に合宿から黒沢が帰ってきてしまい……。 ]
描きようによってはド修羅場にもなりそうな人間関係も何だか妙に乙女ちっくなムードのまま、無事解決してしまうというのは、作者独特の作風が成せるワザですな。しかし、「お前が終わりを迎えるには早すぎる…」という三木の言葉が意味するところっていったい(笑) そして、木清君の役どころというのは何だったんでしょうか。
[ 千里と共に義姉を訪ねる光太郎。一方、ハルに告白され思い悩む馬堀の前に現れたのは……。 ]
嫌っていた兄嫁に心境を告白したりして光太郎の荒れ加減も一段落ついたというところか。もっとこじれるかと思っていた千里との関係も思いの外、修復完了したみたいだし。しかし、子供が出来たって所詮親同士は他人同士であることに変わりはないと思うがねえ。(←千里へ) それでもって、ハルに主導権を取られた馬堀は、いつもと勝手が違ってペースを狂わされてますな。
[ 飛び出していった豊を探し、樹はかつて豊がその名を呟いたことのある「タカシ」の元を訪ねるが……。 ]
EXCUSEシリーズ。
思いっきりネタバレなタイトルで、ドキドキもハラハラもしなかった。ま、予定調和的なストーリーですな。もう少し絵柄に色気がほしいところ。加賀先生が最後の最後でイイ人になってしまって何だかツマラン。しかし、いろいろと予定も入っているだろうに、大学病院の医師ともあろうものがそう簡単に無断欠勤していいんだろうか。そんな医者のいる病院にはかかりたくないぞ。
[ セリュー・レザンが仕えるはプランス国王シャルマン・ド・プランス。美貌の彼の君は今日もセリューに命ずるのだった。「たい焼きを持ってまいれ」と……。 ]
……う〜ん、これはお耽美モノと言っていいのだろうか。ペルサイユ、プランス、イント、ヨーロッポ、と次々に繰り出される脱力な単語に、雑誌を持つ手からも力が抜けるのだった。宮殿内を馬で走るセリューが素敵。ただ、意外にあっさりしたラストだったのが残念。オチにもう一ひねりほしい。
[ 秋月みちるは、泣き虫な幼なじみ・高橋椿の将来を心配していたが、しかしプロレスにはまった椿はすっかり凶暴になってしまい……。 ]
第6回麗人フレッシュ漫画大賞努力賞。なんだけど、唐突な展開ばかりで話がさっぱり判らない。そもそも32頁も必要とするような話ではないと思うぞ、これ。もっと登場人物に共感できるような話作りをお願いしたい。
[ 本田の部署に配属されてきた樋口は、高校・大学と本田の後輩だった男であり、そしてその出来の良さで、部活のレギュラーや彼女を本田から奪っていった男でもあった。 ]
デビュー時から好きな漫画家さん。出てくる男たちは無骨だったり強面だったりして「美少年」やら「華奢」なんて形容できるものはカケラもない。でも、人間らしい可愛げを持っている。朴訥な絵柄もそれにマッチしていてグー。この話は、実は樋口は本田のことを好きで……というのは容易に想像できるんだけど、本田も本当は……というところがミソかな。コートを巡ってのシーンが、全然くさくならないのは、やっぱり人物描写が確かだからだと思う。本田と別れた彼女も、嫌味がなくていい感じ。
[ 男娼である不破の得意客はサラリーマンの江神。江神は人当たりのいい外面とは裏腹にサディスティックな性向を持っていた……。 ]
カラー付き。
江神にとって、不破の存在は強烈な転換点になったかもしれないけど、暗い部分を失った江神に不破は物足りなく思ったりしないんだろうか。とも思ったけど、不破は江神の闇の部分のみを魅力と感じて惹かれていた訳ではないんだから、闇を失った江神もちゃんと受け入れられるんだろうな。最後の場面で、今まで夜にしか会ったことのない二人を、陽の光が照らし出すのが暗示的。
[ 会社員の栗州彗は残業帰りに突然の停電に遭い、迎えに来た恋人の光晴と一緒に会社のエレベーターに閉じこめられてしまう。 ]
第5回麗人フレッシュ漫画大賞佳作。
16頁をうまくまとめている。いつの間にか二人ともエレベーターの中でハダカになっているし(笑) そんな二人をモニター越しに見守る(実はとっくに停電明けしている)冷静な警備員のコメントがいかす。
[ 歴史研究者の叔父が助手の日比野を連れてきてから、吉岡清瀬の平穏な生活は一変した――。 ]
絵柄だけみると昔の少女漫画風だが実は調教もの。ス××ロな場面もしっかりある(リアルな描写でなくて助かった)。あのままエスカレートしていったら、やはり最終的にはあのタペストリに描かれていたようなことになってしまうのだろうか。ううむ。しかしなんといっても、一番アブないのは叔父さんなんだろうな。
[ 警視庁捜査一課の刑事・瓜生は捜査していた事件に関連する殺人事件の現場で、思わぬ再会を果たす。被害者の夫、川井卓也は旧姓を江見といい、瓜生の元部下だったのだ……。 ]
カラー付き
どうしようもない気持ちのすれ違いが生み出した悲しい結末。とにかく江見が死を選ぶようなことにならなくて良かった。やり切れない話だけど、それでも登場人物が世をはかなんだり罪から逃げようとしたりして自殺、という展開にならないのが、この作者の描く話の強さだと思う。
[ 野球部一軍エースの田辺は、二軍だが素晴らしい素質を見せる伏見に惚れ込み声をかける。しかし伏見はやる気のない様子で……。 ]
キャラクターはいいんだけど、なんちゅーか大洪水のヤリまくり×∞って感じですな……。いくら何でももう少し節度というものがあってもいいのでは。あんまり激しすぎると、色っぽさよりお笑いの方に行ってしまうよ〜。とりあえず溢れる擬音は冗談だとしか思えないっす……。
新装刊というだけあって、今までのイメージと違う爽やか風味な表紙に、危なく書店で見落とすところだった。予告と一部変更有り。でさあ、商業誌なんだからいい加減、後記に漫画家の泣き言やら言い訳やら載っけるの、止めてくんないかな。読者を馬鹿にしてるとしか思えない。