[ 坂口千秋は男に迫られているところを同じ学年の雪村瑛二に見られてしまうが……。 ]
巻頭カラー。
高三もの。
父親と性的関係にある千秋、過干渉な母親(*1)を持つ瑛二、とそれぞれ厄介な親子問題を抱えている二人が、進路を決める時期に出会って……という話。本格的に物語が動き出すのは次号からで、連載初回の今回はまずは顔見せというところ。なんだけどー、あーうー、本当に個人的嗜好で申し訳ないんだけど、どうも私はこの作者の絵とあまり相性が良くないらしい。多分、キメ絵として力を入れて描いているはずの、「男に殴られた後」や「初めて瑛二に気づいた時」の千秋の表情にいまいちドキッとするものが感じられなくて(ことに瑛二に向けた表情については、このベロ出しの意味ってナニ……?と首を傾げる始末)、早くも折角の新連載にノリ切れない気配が濃厚なのでした……。すまん。
[ テレビ番組の人気キャラが子供向けおもちゃとしてアンドロイド化されるような未来。「アビタの冒険」で魔術師サリを演じた荻野目は、次の映画の役作りのためにサリのアンドロイドになりすまして注文元の家を訪れるが……。 ]
カラー付き。
脚本家×役者。
“サリ”がリクエストに応じて、出演番組の名シーンを次々と再現する場面は、こういうアンドロイドがあったらいいナーと思わされます。しかし、話の方は、設定的にも展開的にも無理やら無茶やらがボコボコあるような気がするのですが。注文されたアンドロイドに扮して一般家庭を訪問する“研修”はどうやって終わらせるつもりだったのか、とか、そもそもユーザーとヤり逃げするようなヤツが「神経すりへらしてたんだぞっ」と言えるんでしょうかねー?とか。全体に雰囲気優先に過ぎるように感じられるので、もっと細部を詰めて描いて欲しかったです。
[ 幼く聞こえる自分の声が嫌いな拓は、たまたま出会った理想の声の持ち主・倉田紗聡(さとし)にあこがれて、紗聡と同じ場所でバイトを始めるが……。 ]
大二×高二。
声変わり済みと言う拓に、その他の家族一同が驚愕の表情を浮かべるシーンで大笑い。ただ、紗聡×拓のHで、互いの声に感じ合っている場面では別の意味で笑えてしまいました……。二人でゾクゾクしあってりゃ世話ないよっつーか、ちょっとトホホ感が。あと、小さすぎる頭部、棒のような腕がちと気になりました。
そいでもって、そろそろ「常識が危うい受、受を熱愛しすぎる攻」というパターンから脱却プリーズ。
[ 自分をかばって怪我をした織人に、勝手にバイトを辞めされられた怒りをぶつけられなくなってしまう隆也だったが……。 ]
生徒会とバイトの掛け持ちで無理を重ねている様子の隆也を、心配しつつ黙って見守る侠吾と、独断でバイトを辞めさせた織人とでは、どう考えても侠吾の方が“いい人”なんだけど、いい人のクセの無さでは、クセ有りまくりな織人にはどうしても負けてしまうのだなあ、と思うことしきり。ついでにいうと、気になるのは必ずしも相手に好意を抱いているからとは限らないんだけど、まあ、隆也がそれを好意と決めてしまったからには仕方ないっすね。
それにしても相変わらず「慇懃無礼」とか「傲岸不遜」とか、背中にそう書いた紙を貼り付けてやりたいキャラではあります>織人 早いうちに一度その鼻っ柱を折られた方が織人のためだと思うんですがのー。
で、私的にメガネっ子は大好物なんですが、隆也ってつくづくメガネっ子としての旨味がない……。だって、フレームいっぱいに目玉なんだもん。
[ 高宮と史貴が一緒に暮らしている理由を聞いた蒼江は、自分と葵一の関係を重ね合わせるが……。 ]
カラー付き。
史貴への気持ちを語る高宮の、どこか遠くを見るような顔や、そして、蒼江に理解してもらえた安堵感と家族以上の関係には応じられない悲しみがない交ぜになったような表情が大変印象的です。このあたりのシリアスな流れと、久々に目にするまばゆいばかりのまともな食卓を前にサングラスをかける史貴のお茶目さ、というギャップが激しく笑えます。
……家族として以上の気持ちは持ち得ないけれど、それでも一時の温もりを求めて肌を寄せ合う怜二と葵一、なんてものも一度見たかっ……がふっ。
[ 一臣に連れられて海外のリゾートホテルにやってきたみずきだったが……。 ]
ぶっちゃけた話、一臣×みずきで萌えるかっつーと全然萌えないのですが、結構しっかりボディトークしてる感じがして、案外この作者の描くHって嫌いじゃなかったりします。わはは。でも、こうも「何にも考えてませーん♪」的な話を読まされると、やはり読んで損したような気になるのでございました。
[ 両親が農村生活に憧れて長野に旅立ち、一方、アパートを追い出された俊二が転がり込んできたため、正一は俊二と二人きりで暮らすことになってしまうが……。 ]
カラー付き。
俊二のことを拒みきれない正一が俊二に抱きしめられる場面、よりによってこんな時にかかってくる電話は身内からで、おまけに俊二の台詞「……大丈夫だよ、向こうには見えない」なーんて、どうしてこう二重三重に追い打ちをかけますかね。しかも切なさレベルはかなり高いと思うのに、別にこれが一世一代のネタという訳ではなく、同レベルの話をぽんぽん連発していたりする。作者の創作能力の高さには平伏するばかりであります。
[ 急にカシアスから取引を承諾すると告げられ、いぶかしむカイ。そんな時、屋敷の様子を伺う尾上一家の者が捕らえられ、詢之介への疑惑はますます深まるのだが……。 ]
詢之介の正体はもとより、カイを取り巻く状況そのものすら判然としないまま次回クライマックスということなので、次号にて鮮やかな種明かしが行われることを強く希望。つーかさー、手際のいい説明と印象的なカットがあれば、この話は前後編でも十分いけるんではないかと思うんですがー。
読者モニター募集中。
ところで、まんが新人大賞の応募要項で「ビーボーイ部門」「GOLD部門」「ZERO・少女漫画部門」の他に「ボディトーク部門」(Hのみをテーマとしたフィジカル・ラブ)なんてもの、前からありましたっけー?
[ リストラされてヤケになりラスベガスのカジノで大破産した挙げ句、彼女にも振られた河井学(29)は、パチンコ屋で知り合った相生慶太という若い男と組んでゲイをターゲットにした美人局をすることになるが……。 ]
巻頭カラー。
自称大学生×失職リーマン。
うーむむむ。相生がハラに一物ありそうなのと、河井が引き気味なキャラなせいもあって、珍しく話がもったり進行な感じ。それと、絵の上に台詞がふわふわ浮いているようで、時々、相生と河井のどっちが言ったものかよく判らん箇所が。読むのに集中力を要しました。後編ニ期待イタシマス。
[ 夏祭りの晩、皆が出払った隙をついて一人Hを堪能しようとした新米教師の的場は、教え子の一人にその場を見られてしまい……。 ]
生徒×新米教師。
卑猥というより“胸につけてるマークは迂闊”といった趣の話。
生徒の水沢は調子に乗りすぎ。というか、教師の的場が調子に乗られすぎなのか……。こんなウッカリ教師じゃ、周囲から一人前扱いされないのも至極当然というものですな。しかし水沢は小学生か中学生か知らんが、「こういう事ってさ スキ同士がやるんだよ……?」だなーんて、本当にクソ生意気でありますのう。
8/27にコミックス発売。
[ 寺子屋を開きながら商人の用心棒を引き受けたりもしている浪人の多津見浩亮は、その腕を買われて、盗賊から一味に荷担するよう求められるが……。 ]
カラー付き。
時代物。盗賊あがりで元密偵な簪職人×元・火付盗賊改方同心の浪人。同人誌『死に損ないの夜』続編。
『鬼平犯科帳』ライクというか、鬼平の密偵バージョンな話。
冒頭の立ち回り、流血な展開が多い作者だけに峰打ちで済んでひと安心したのもつかの間、次のシーンではさっくり腕が切り落とされていて怖かったですー。読んでる方がイタイざんすよ、まったく。スプラッタッタ♪なカットさえ気にしなければ、後半も含め迫力のある場面の連続で見応えがあるんですが。
しーかーしー、物語としてはあまり起伏がないような。多津見と神楽が出来上がるまでの経緯は、同人誌で既に描かれてしまっているので、今回の話はそちらを知らないとあまり面白くないんじゃないかと思います。一応、多津見の“どうして、いつも俺の為に神楽が傷つくのだ”あたりがキーになっている感じですが、それももう少しキャラの出自――というか状況の詳しい説明をしてくれないと判りにくいんではないかと。二人の関係がつかめないと、盗賊云々の方は単独ではそれほど興味を引く話ではないし、Hシーンったって、それこそ二人の関係を知らなければノレないだろうし、そうすると読者的には、自分は一体何を読んだのだ?と首を傾げる事態に陥りかねない気がします。コミックスになる時、同人誌の方も一緒に収録されるのかなー?
それにしても、多津見様、よっぽど気ままな庶民生活に染まったものか、同心時代と比べて随分ガラが悪くおなりになられたよーな。神楽の左腕は、多津見の言葉の通り、手首のやや上あたりから無い、という設定なんですが、読んでる分にはそれと判る場面はなかったですな。やっぱヤバいのか……?
ちょっと絵柄がライトになってきた感あり。
[ 寝具店の息子・安立ハルオは、布団を担いでの営業中、人の良さそうな青年から契約を取ることに成功するが……。 ]
営業×SOHOで元クラスメイト。
復讐に見せかけた片恋もの。
そーですねー、ずっと安立に片想いしていた盛田の気持ちがようやく伝わるところなどはいい雰囲気といえばそうなんですが、盛田攻めと思って読んでいたのが、一転「あら?キミ受けなの?」となってしまうのでちょっと肩透かしをくらった気分になってしまいます。最初から誘い受けと判っているならともかく、攻め様モードなら最後まで攻めで行ってほしい……。でも、盛田が強引に安立をヤッてしまったんじゃ、きっと安立の気持ちは動かなかっただろうしな。むむむむ。
[ 恐がりのくせにホラー映画好きの北里に片想い中の筒井は、北里にせがまれて真夜中の鑑賞会に付き合わされるたびに理性の限界点を試されていたが……。 ]
クラスメイトもの。
クールなふりして百面相を見せてくれる筒井君が愉快です。いやホント、ギャグものでは全然ないのですが、表情が豊かで随分笑わせて貰いました。反面、北里の表情については殆ど関心が持てなかったのは何故かしら。ところで、ぱっと見、高校生ものかと思ったのですが、ひょっとして君ら大学生か……? 双方とも一人暮らしっぽいのですが、生活環境についてもうちょい描写がほしいところ。
あと、タイトルページについては、看板に偽り有り、という気が。
[ 雨に濡れながら来るはずのない彼女を待ち続けていた慎也は、若い男に誘われるまま関係を持ってしまう。秋本と名乗る男に好意を持ちはじめる慎也だったが……。 ]
カラー付き。
大学生×美容師。
うーん。一途な愛情を胸に抱ける若さっていいわねー、というより、不躾に他人の事情を知ろうとする怖いもの知らずの若さってイヤーねと思ってしまったのは、私の根性が曲がっているからでしょうか。何か、独占欲と嫉妬から強引に人の心の中に押し入ってそれで満足かい?と慎也を問いつめたくなってしまったんですが。慎也はきっと秋本を大事にするだろうし、他人との関係に臆病になっていた秋本を袋小路から引っ張り出してくれる誰かも必要だったんでしょうが、慎也の健全すぎる明るさは、時に暴力に近いものだと思うのです。……つーか、もうちっとデリカシーというものを持てよ>慎也
8/27にコミックス発売。
祝・創刊7周年。
大竹直子の漫画から抜け出てきたような美少年をコミケ会場で見かけてかなりびっくりしました。いやー居るものですね。