[ 家出中の警視総監の孫・真行寺智司にアパートに居着かれてしまった刑事の工藤渉だったが……。 ]
巻頭カラー。
はねっ返り少年(17)×刑事(27)。
ええっとー。読み終わって思わず、“つづく”の文字がないか探してしまいました。えらく中途半端な終わり方ですのう。急転直下というより、更に短く、起→(承)→結という感じですかねえ。
途中で始まる智司×工藤のHがいかにも唐突でやや呆然。正直なところ、智司の自分だけがイイHを読まされてもなァ、いまいち萌えないんだよねー、という感じです。「野生児っぽく勝手に工藤にマーキングする智司」というのも有りは有りですが、それなら彼の奔放なさまをもっと魅力的に描いてほしいし、お約束コースに乗って恋愛路線でいくなら、それなりに前振りらしきものを入れてくれないと。今のままでは智司だけが納得していて、読者置いてきぼりザマス。いっそエロシーンをカットして、工藤、智司を泊める(p.31)→一夜明けて、やはり心配性の真行寺兄、弟の様子を見に来る(p.39)――とつないだ方が、よっぽど話としてはまとまるような気がしなくもなくはなく。
もっとも、エリートの兄と衝突して家を出てきた割に、いざとなると身内の威光を笠に着ようとする、結局のところおぼっちゃまな智司君なんで、ベッドの中での自分勝手な振る舞いも、むしろ正確なキャラ描写というべきなのかもしれませぬが。(と毒を吐く)
結構無茶な性格の工藤はいい線いってると思うんですがにょー。
[ モデルの律也とカメラマンの西鷹は遠距離恋愛中。だが、愛想のない西鷹にキレた律也は、西鷹の誕生日に合わせてとったオフの日に仕事を入れてしまうが……。 ]
『ヌードな視線』(01年8月号・10月号・12月号掲載)続編。
カメラマン×モデル。
恋人の一挙一動に一喜一憂、キレるわ泣くわですっかり恋するオトメになってしまった律也。そのお相手は、強引でタフで全身で男くささを振りまいているかのような西鷹。そりゃもうまさしく割れ鍋に綴じ蓋というか、二人のために世界はあるの〜というか、大変にお似合いなお二人で……ええい、二人っきりの撮影会に乱入してやりたいぞー。ハヅカシイ奴らめ。
……仕事中、西鷹の叱咤を受けて律也が本気になる場面はいい顔だなあ、と思うのですが、相手を挑発したはずの西鷹がシャッターを切りながら律也の“誘惑”に乗せられてる風なのが、いまいち甘さが残る感じです。ああいう時は、双方プロらしく真剣な様子でぶつかり合う方が凄みが増すと思うんですがの。赤面するのは周囲の連中に任しとき。
[ モテ系営業マンの堤はバイトの柳沢をオトすべく、熱心に声をかけていた。一方、堤は彼にベタ惚れしている暴走族ヘッドに付きまとわれてもいたが……。 ]
リーマン×バイト。
いやもう、変人ヘッドのモヒカン君が、キモチワルくもプリチーかつラブリーで、とってもいい味だしてます。会話のテンポも良くって何度も笑わせてもらいました。ラストにかけてちともたついた感があるのが残念ですが、あのままモヒカン君の押せ押せペースで、モヒ×堤も見てみたかったなー。
[ 姉の連れてきた婚約者・有賀が過去に一度だけ関係した相手と知り、ショックを受ける朝人は、有賀から体を要求されて……。 ]
会社社長×貧乏少年。
君の躰を気が済むまで自由にさせてくれたら婚約の件は考えてみよう…――って、「婚約する」とは明言していない有賀の邪悪さが素敵です。そんなにしてまで朝人と寝たかったのか?っつーと、何としても寝たかったんでしょうなあ。姉に頭を下げる有賀を目の当たりにしながらも、姉をおもんぱかって好きと言えない朝人がまた痛々しく。しかし一番印象的だったのは、その後の一見何事もなさそうな朝人と姉の日常風景でした。何も言わないのが却って怖いです、お姉さま……。それだけに、事が落ち着くべきところに落ち着いて良かった良かった。
王道な展開ですが(ベタともいう)、とにかく絵に崩れがなくて表情に力があるので、説得力があります。殊に三者三様の思いが交錯するシーンは迫力でした。
ただひとつ疑問なのは、姉が訪れた時に有賀の家のドアに鍵が掛かっていなかったのは何故? ああいうマンションってオートロックじゃないんですか……?(←住んだことがないからよく判らない)
[ いよいよ草加役のオーディションが始まる。浅野は香藤に敵愾心を燃やすが……。 ]
春を抱いていた・22。
確かに草加役は香藤が適役だろうし、岩城さんと香藤の芝居を見たいとも思っているのですが、最初からあまりに岩城・香藤の絆の強さを見せつけられてしまうと読んでてシラケてしまうので、作者にはそのあたりのサジ加減を宜しくお願いしたいところ。浅野君もガンバレ。
[ “J”こと慈英は女性を甘い言葉で誘惑しては高価な宝石を我がものとする泥棒。オークションで落札された5億円のダイヤモンドのニュースが入り、慈英はこの「スターダスト」を次の獲物に定める。警察は刑事の成島を囮に立てて宝石の警備をするが……。 ]
カラー付き。
泥棒×刑事。
宝石はくれてやったと言っている女性の元に、そもそもどうして警察が乗り込んでいるのでしょうか。具体的に言うと慈英は何に金をつぎ込んでいるのでしょうか。警察は頼まれてもいないのに民間人宅の警護をすることはあるのでしょうか。(一種の囮捜査なのか?) 刑事の顔の見分けがつきません。ついでにいうと無闇に登場人物が多いんですが、全員殆ど表情が動いていないように見えます。成島は八十島邸に何日泊まり込んでいたのでしょうか。他に張り込みをしている刑事はいないのでしょうか。
とりあえず思いつくのはこんなもん? うーん、謎が多い話だ。
しかしまあ、慈英とくっつくかどうかは別として、成島は、セクハラの悩みをカケラも理解しようとしない恋人とはとっとと別れるのが正解でしょう。
12月号に続く。
[ アヤはマフィアのボスの元に連れて行かれ、クリスによく似た“スカーバック”と呼ばれる殺し屋の写真を見せられるが……。 ]
なかなかハードな展開。
ファウラーがアヤのことを「息子」と言っているのは、かつて関係していた女の子供だから? それとも一応血の繋がりがあるのでしょうか。仮にも実の子供を配下の男娼の一人として稼がせているなら大した鬼畜オヤジですな。
割とスケールが大きそうな話なのに、全体像がつかめないのがツライかな。ファウラーの組織はどのくらい大きいのかとか、やってることとか、下にどのぐらいの人数がいるのかとか、周りとの力関係とか、もうちょっと明確にしてほしいです。それと、生活感のなさというか、メインキャラクター以外に人の気配がないのが気になるかなー。
[ 初めて自分と似た環境の相手と打ち明け話をする佳だったが……。 ]
ボッチャン、ちゃんと事情説明しろと政を責めてますが、そんな暇も与えずギャンギャンわめいていたのはどこの誰ですか。一人で傷ついてスネまくっている橘といい、どいつもこいつも、坊ちゃん育ちは甘ちゃんでいかんですの。何だかんだいって受け身なんだよな、二人とも。
で、政と佳とで二人っきりになるとすっかり甘々ムードで、何の問題もなさげですが、過去に男に襲われた記憶が……という佳のトラウマはどこに行ってしまったのでしょうか。あくまでソフトタッチなら大丈夫なのか? 今回は、橘の恋愛相談が中心で、政×佳は更にお預けになりそうですねー。こうなったら、ま、最終回までにはひとつよろしく……って感じでございます。
[ コンパの席で知り合った阿部と岸田。岸田から手紙が来たのをきっかけに文通を始めてしまう二人だったが……。 ]
大学生もの。
学長の銅像のハガキを送ってくる岸田ってイカス(笑) 私もそんなハガキを貰ってつかの間バ、バカンス気分に陥りたいものですわー。
しかし、阿部がどこで友情を踏み越えたのかいまいち判りませんでした、と小声で告白してみたり。むしろ岸田と誠太の友情にときめいてしまったのですがー。そういや、岸田は最初から阿部のことが好きで阿部に近づいてきたようですが、いつそんな感情を抱いたのか、そのあたりも読んでみたいものです。
あと、時間のないところ恐縮ですが手書きの文字は出来ることならもうちょっと綺麗に書いてほしいかな、と。(判読不能なところが……)
[ スカウトの声はかからず、プロテストを受けて加古のいる球団に入った佐伯だったが……。 ]
野球もの。
……何だか、前編との繋がりがよく判りません。サクサクとえらい勢いで話が進行してゆくのでとりあえず読まされますが、どこで盛り上がっていいものやら見当もつきませんでした。それなりに物語を内包した話だとは思うのですが、いまいちピンとこず。特に終盤、ころっと態度を変えて佐伯が加古に謝ってしまう場面は、なんじゃそら?と思わざるを得ませんでした。ふがー。
「使用済みペン先」という読者プレゼントは今後も続くのでしょうか。レアアイテムっちゃそーですが、欲しいものかー?
[ 高校生活最後の夏休み、伯父に連れられ修行に出た享二は、神隠しが起こるという山に入るが……。 ]
巻頭カラー。
享二&優シリーズ。
実は、享二と優の想いがようやく叶った前回がシリーズ最終回だと思っていたので、新たに連載が始まってちと驚いたり。ははははは。今回は基本に立ち返って除霊ものな話なのかな。顔色一つ変えずに、崖から落ちそうになった享二の体重を支える優に拍手。それにしても相変わらずH系の展開はやんなっちゃうくらい寸止めですな。
[ 過去の出来事が原因で下半身コンプレックスを抱える千吉良藤(ちぎら・ふじ)はそれを逆手にとって女子大で募集していた男性ヌードモデルに応募するが……。 ]
助教授×バイト。
うーん、キスしてくる小津に伸ばされた藤の手に激しく違和感を覚えてしまったのですが。トラウマの原因が目の前の男であると知ったらそこで一悶着ありそうなのに、それを小津の好意ごと藤がすんなり受け入れてしまうのが納得いかないのですね。
[ 正一は、滞納している相続税の支払いを拒む三角への説得を続けるが……。 ]
滞納者の三角が無理なく無駄なく筋に絡んでくるところが、作者の話作りの上手いところ。(よったんはまあ、彩りということで……。)
つかの間、家族という関係を忘れて過ごしていた正一と俊二が、三男坊の帰宅によってそのまやかしの生活に気づいてしまう場面がとても切ないです。
正一にとって家族とは「あるのが自然なもの」とか「鬱陶しい繋がり」ではなく「失ってしまうかもしれないもの」として認識されているように感じられるのは、やはり自分が養子だと判っているからなのかな。無論、あの両親のことだから、養子と実子で差をつけるようなことはしなかっただろうけど、あまりに自分とはタイプの違う人間達の中にいたら嫌でもよそ者として意識してしまうだろうし。それに長男というのがまた、いち早く自立を求められる微妙なポジションで、もしも俊一・正二だったらもっと早く俊に陥落していたんじゃないかなという気がします。
俊二については、十年前はかなり残酷に正一を追いつめたりもしたけど、正一の本当の気持ちを知ってからはきっぱりハラをくくっていたりと、情が深いというか、オトナですのう、としか言いようがありまへん。もてるはずだわ、この人……。
それにしてもラストでへろりと彼氏がいることを言ってしまう賢三って(笑) おいしいところを持ってくなー。
[ ある朝、家の前で瀕死の犬を発見したキラとカンちゃんは……。 ]
1月号、5月号の続き。
死にかけたカンちゃんが生き返った謎が解けたり、それなりなサービスカットがあったり、かわいい外見と裏腹にキラが図太さを発揮したり……な第3弾。今までは完璧読み切り態勢だったけど、新キャラも登場して、これは続きを期待してよろしいのかしら……?
[ 何故か雪村のことが気になる千秋は、思わず男との関係を雪村に弁明してしまうのだったが……。 ]
千秋が、自分のせいで父親が交通事故死したという罪の意識を紛らわすためにマゾヒスティックに男に抱かれているのだとすれば、じゃあ何で相手は義理の父親なんだろう。実の父を死に至らしめ、義理の父親と寝てるってのは、二重に自分の母親から夫を奪っているということになるんだけど、それは千秋にとってはどうでもいいことなんだろうか。千秋が第1話で口にした“あの女”とは母親のことなのかな? 坂口家の母子関係を覗いてみてみたいところではあります。
[ 家を飛び出してきたミュージシャン志望の名取淳哉は、行くあてもなく道端で歌っている最中、柄の悪い連中に絡まれるが……。 ]
カラー付き。
アパートの大家×大学生。
なかなかおもしろそうな話だとは思うんだけど、如何せん誌面が白いです。それに半裸で雑魚寝する男6人とか、漫画的においしいところを沢山描き逃しているような気がするのですが。美男揃いのはずのアパートの住人も誰が誰やらいまいち見分けがつかないし、もっと画面構成的にも話の展開的にもメリハリをつけてお願いいたしますですわん。
[ カイは詢之介に会うために、敢えて自身の暗殺予告が出ている幹部会議に出席するが……。 ]
どわー。今まで足踏みをしていた分、話がえらい勢いで展開していてぴっくりしました。うってかわってシリアスモードだし。
幹部会議の開かれた屋敷といい日本でカイが滞在していた屋敷といい一体どういう地理的条件のもとにあったのだろうか?とか、カシアスが登場してごちゃごちゃ言っていたが誰も何も声明を出してもいないのにどうしてフレッドがカシアスを騙そうとしていたと判るのだろうか?とか、エヴァンスの身分を知らないでどうしてフレッドはエヴァンスに指示を出していたのだろうか?とか、読者に新たな疑問を抱かせつつも、カイがいい男だと判ったり、エヴァンスはやっぱりいい玉だったと判ったり、伏線がうまいこと張られていたと判ったり、隠されていたそれぞれの事情が判ったりして、結構読み応えがありました。ただ、中身が高密度すぎて混乱する面もなきにしもあらず。それとコマがぎゅうぎゅうなのでちょっと顔マンガになってるかなーと。畳みかけるようなコマの連続で迫力が感じられるのも確かなのですが、でもあれはやはり詰め込み過ぎだと思いますです。が、まあ話はあとは終結に向けて進むだけなので、どんなラストを迎えるのか楽しみ。という訳で次回最終回。
[ 父の乗った飛行機が墜落したというニュースを見て、急ぎ帰国する怜二だったが……。 ]
この先、悲しい別れが待っているのだとあらかじめ判っている話のせいか、すでに切なさムードが嫌というほど充満していますが、でもなあ、ブープー言ってる割には、怜二が唯々諾々と蒼江家を継いでしまうのが解せないのですが。父・将伍が存命中ならともかく、継ぐべき伝統があるでなし、返さなければならない負債があるでなし、将伍代行のような立場から逃げる方法はいくらでもあるんじゃないかと思うのですが。どうせならコテコテなくらい、怜二の選択肢の無さを演出してほしかったですな。
次回最終回。
[ 父親の圧力により小説の発表の場を奪われてしまった天涯。カヲルは天涯の父の元に話し合いに行くが……。 ]
天涯&カヲルシリーズ最終話。
天涯の新作の一節と共に描かれるラストシーンが美しく決まっています。……が、天涯と彼の父の間にあった葛藤は結局どうなったのでしょうか。その後、天涯は『人でなしの恋』の続編を上梓しているので、何らかの形で過去の出来事を吹っ切ることができたと思うのですが、どう決着をつけたかは、結局曖昧なままという気がしなくもなく。
漫画スクール投稿者って、ペンネームなどからも本気かどうか判るような気がいたします。