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2001.10.03 (Wed)

『冬の蝉』前編 新田祐克

[ 江戸末期。長く続いた幕藩体制が大きく揺らぎ始めた動乱の時、長州藩の草下十馬は幕臣の秋月景一郎と出会うが……。 ]
 巻頭カラー。
 時代物。
 作者コメントにて曰く「銘打ってはいませんが「春抱き」の2人の前世編です!」。言われてみれば、草下は香藤に、秋月は岩城にうりフタゴ。“銘打たない”ということは、まったく春抱きとは独立した話となるのか、それとも反対に後編で夢オチ的に香藤&岩城が出てきたりしてもビックリしないでねということなのか、と余計なことを考えたり。今回は、何やらツッコミどころが多そうな時代背景説明と二人が出会っていろいろあって再会するまでを取り纏めてご紹介という感じでややダイジェスト的。濃ゆい展開は後編に持ち越しなのかな?

『ヌードな視線』第2回 東野裕

[ ストーカーの妨害を避けるため、西鷹の別荘に場所を移してヌード写真集の撮影を続行する律也と西鷹だったが……。 ]
 横暴な西鷹のカメラにすべてを暴かれてしまう律也、そして西鷹もまたいつしか律也に魅入られていく――という話だと思うのですが、なんつーか、律也くん、過敏すぎ。人気ショーモデルがそんなに視線に敏感になってどうするよ? か弱い仔猫ちゃんになりすぎなので、誘惑系でも反抗系でもどちらでもいいのでもう少ししたたかになってくれると嬉しいのですが。西鷹センセイもねえ、自分で煽っといてゾクゾクしてりゃーしょーがねーなー、というか、純情な横顔に思わず笑ってしまいました。(すんません) 二人に足りないのは職業意識ではないでしょうか。次回最終回。

『万太夫とオレ』〜コミックヤロウ〜 櫻井しゅしゅしゅ

[ 男性向け同人誌即売会に初参加するエロ漫画家・万太夫について会場入りした京平だったが……。 ]
 カラー付き。
 01年2月号の続編。
 カッ飛んでいた前作に比べると、いまいちギャグものなのかシリアスなのかノリが中途半端な気が。というか、今回はシリアス寄りなのかな。ちと話が平坦になってしまっていたのが残念。盛り上がりどころが判らないままに読み終わってしまいました。それに、本に“なにせオレらの愛がこもってる”と言われても、サークル参加するのに当日製作のコピー本10冊のみ(原稿そのものは事前に出来ていたようだけど)、しかも会場では喧嘩騒ぎまで起こして、これではサークルとして失格なのでは……。まあ話の方は、トラックの荷台でのエロシーンはそれなりに大胆ではありましたが。……しかし、周囲から丸見えって、アンタら、警察呼ばれますがな。

『ワイルド・ロック』第一章 始まりの詠 高嶋上総

[ 原始の時代、“東の森の部族”の長の子として生を受けたユウエンだったが、父や兄の足手まといとなるばかりで……。 ]
 カラー付き。
 ううーん、一度顔を合わせているのに同じ人物だとは気づかないのだろうか。よもやあんな薄衣で抱き合って男同士と気づいていない訳ではあるまいな。等々いろいろと疑問が涌いてしまった。とにかく主人公のユウエンが後ろ向きなのにイラつくというか、しゃっきりせいと気合いを入れたくなるというか。いつの間にか恋に落ちてるし。ちょっと雰囲気に流れ気味なので、お話をもっとしっかり作って欲しいところ。絵は整っているんだけどな。続きは2月号。

『禁断の甘い果実』 みなみ遥

[ 英語教師の須崎は異動先の男子高で出会った生徒・和久井に思わず見とれてしまうが……。 ]
 三十路直前ゲイ教師×誘い受け男子高生。
 24ページでいまいちオチ無しという感じ。続編有りを前提にしてるのかなあ。須崎に積極的に迫る和久井は実はノンケなクラスメイトに片想い中という切ない一面も持っていたりするんだけど、時々表情がキレイすぎて醒めているようにも見える。すると、読んでいるこちらもふと我に返ってしまうのですな。仮面じみた表情などする余裕もないような泥沼恋愛に一度はまってみてはどうでしょうか。ところで学ランの下はハダカって、ばっちいような気がするんですが。まめにクリーニングに出してるのかなあ。

『雲の上でキスをしよう』前編 加山弓

[ スチュワードの麻生は国際線初乗務。憧れの機長・日野原と一緒のフライトでときめく麻生だが、しかし日野原にゲイだということを気づかれてしまい……。 ]
 カラー付き。
 見かけによらずなかなか優しいところもあるじゃあないの日野原機長、と思ったけど、麻生が初心者だから手加減していただけで基本はイジワル路線なのでしょうか。つーかコンドーム使い給えよ、機長。泌尿器の病気になっても知らんぞえ。斯様な機長にどのように麻生くんが憧れていたのかもうちょい説明があった方が親切だったかも。で、初めての相手としては日野原は悪くないけど、ここは日野原は矢崎に任せて、麻生くんには新しい恋を探すことをお勧めします。あと、だんだん麻生の顔が幼くなっていくような気がするので、最初の頃の表情をキープして欲しいですにゃー。

『めざせHERO!』第2回 こだか和麻

[ 選挙事務所に爆発物が投げ込まれた事件を捜査していた虎之介は、事情聴取の最中に懐かしい匂いに気づくが……。 ]
 立て板に水の如くだらららーっと読んでしまったが、それだけで終わってしまいました。起承転結はきちんとしているし虎之介の過去も盛り込まれているけど、あまりにも事件解決がスムーズ過ぎて粗筋っぽい印象が。淋しいくらい後に残るものがないっす。この淋しさは、ワタクシ的にこの話にキャラ萌え要素がないからなのかなー。結局誠二の弟の行方はどうなったのでしょうか。そういえば、広川氏は「選挙前ですから」とゆーとりましたが、トラの安眠を妨害したのは選挙カーではないのんですか? あれ? 次回最終回(56頁)。

 今更ながらの感想で相済みませぬ。ところで、読者ページのカットって羽海野チカに激似と思うのは私だけでしょうか。むーん。(*1)

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*1: 同一人物でした。
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2001.10.04 (Thu)

『ハートをKissで刺す』 東城麻美

[ 剣道部の三瀬とバスケ部の辻。付き合ってはいるものの、三瀬は恋愛経験豊富な辻に翻弄されがちで……。 ]
 巻頭カラー。
 00年10月号掲載『熱視線』の続編。高校生もの。
 華やかな絵柄で巻頭から盛り上げてくれているけど、三瀬って早いの気にしてたっけ?とか、辻のバスケ部内でのトラブルはどうなったんだとか、いかにも唐突な渋矢先輩の乱入とか、どうも話の要素がてんでんばらばらな感が否めない。もうちょっと初めに播いた話のネタを上手くまとめてほしかった。あと、麗人やピアスなんかよりよっぽどマガビーの方が、絵柄によっては露出度高いよなーと思いましたなり。

『LOVE MODE』I'm hungryII 最終回 志水ゆき

[ 葵一が拉致されたのは父親の悪行絡みだったことを知り激昂する怜二。一方、晴臣は天雷に再会するが……。 ]
 なかなかに激動の最終回。やはり、言葉より何より一番大切なのは行動して気持ちを形に表すこと。それがきちんとできた天雪/晴臣は、間にいろいろ行き違いがあったにせよ、天雷にとっては立派な兄貴でしょう。ところであの場合、晴臣の存在がなければ葵一は天雷と行動を共にしたのかなー。案外、葵一って流されやすいタイプかもしれんと思ってしまいました。まあ、あくまで仮定の話ですが。(晴臣がいなくても)一緒に行けないと判っているからこその“一緒に行ってやれたらどんなによかったろう?”かもしれないし。病室で晴臣に「どうしても……」と言う葵一の、力なくとさえ見える表情が印象的。しかし何ですな、雑誌表紙での“揺れる姫の心!!”ってのはどうかと思うよ。姫って誰さ……。

『ステキな山男』 CJ Michalski

[ 山林の売却に応じない所有者を説得するよう上司に命じられた吉野は、持ち主に会うため山に向かうが崖から転落してしまい……。 ]
 カラー付き。
 マタギ×新入社員。
 「このストーリーはフィクションです。実在の人物・団体とは一切関係ありません。」と注が入っているのに大笑い。自然保護活動が盛んな折りでもあり、万が一にも余計な誤解を招くようなことがないようにという配慮からなんだろうけど、会社関係筋はともかく、まさかあんな山男がいると思う読者はおらんだろうな〜? それと『時の羅針盤』(芳文社)を読んだ時にも思ったんだけど、マタギの陵太郎も暁人と同じような不思議な服を着ているのですな。あれ、素材は何なんだろう。

『満天の星』 生嶋美弥

[ 満州の母親の元を訪ねているカヲルの帰りを待ちわびる天涯だったが……。 ]
 天涯&カヲルシリーズ。
 カヲルの留守宅に押し掛け着物の匂いは嗅ぐわ、着物に添い寝はするわ、その落ち着かなさといったらまるで主人に置いてゆかれた犬のようです>天涯 ナリがデカイだけに、可愛さ三分、鬱陶しさ七分というところか。というか、かなり恥ずかしい振る舞いだと思うんですが。日本に帰ってきたカヲルを船のタラップに見つけた時の顔ときたら見ちゃいられんくらいだし、愛はここまで人を変えるか……と思うと怖いほど。小西氏というのは、幼い薫に手を出していたけれども、ありがちな幼児虐待タイプとはちと感触が違うような気がしたのは何でだろう。あまり露骨に執着心を表していないからかな。

『ハダカの将軍』act.2 藤崎こう

[ 「ダチ同士でしごき合う=大人の嗜み」が嘘だと知ってしまった嵐は、統世と距離をおこうとするが……。 ]
 極端から極端に生きる人々じゃの〜。好きじゃなければ嫌いなのか。その中間は存在しないのか。白と黒しか存在ない、中間色のない世界に住む男、統世。嵐にしたって、統世を遠ざけるのにもう少しうまいやり方があると思うんだが。でもって、嫌われたと思った統世が強引にセックス、のち沈み込む程後悔。“ずっと一緒にいられるだけでよかったんだ……”と嘆くくらいなら、初めからやらなきゃいいのにねえと思うがブレーキ効かないのが恋の道というやつか。次号最終回。

『君に好きと言ってから』 村上左知

[ 年下の彼・智宏と付き合っている映日は、智宏が女の子に人気があるのに気になって……。 ]
 智宏の表情について、「お前っていつ見ても顔が素直ー」とか“……わかりやすすぎるぞお前"とか言われているけど、とてもそうは見えなかったのですが。どちらかというとあれは、親しい者にだけその表情筋の変化が判るって類じゃないだろうか。お話は、ゲイの映日がもともとはそうでなかった智宏と恋愛関係に陥ったこともあって、一人でぐるぐる回ったあげく相手に当たり散らしてしまう、いやー若いって青いですね〜という感じの空回りストーリー。年上だけどそうは見えない尖った性格の映日とマッタリした性格の智宏はなかなかお似合いのカップルではないでしょうか。映日×智宏の展開を強くキボー。

『もしも ぼくが きれいなら』最終回 梅太郎

[ シンと連絡がつかないことを心配する城は、殆どシンのことを知らなかったことに気づくが……。 ]
 今後シンと城の二人がどうなるかはともかくとして、前向きな最終回でした。建設的なラストはいいですのう。ただしかーし、結局城がかなり重度の片想いを患っていながら、シンと体の関係を持っていたのは、要するにキモチとカラダは別物だよん♪ということだったんでしょうか。それとも小谷への想いは憧れまじりのもので性愛的な面はあまりなかったのか、もしくは報われない片恋に疲れてきていたところだったのか、或いは実は城は愛情と友情にあまり明確な境を持たない男なのか、そのあたりが判らずじまいだったのがちと消化不良気味。

『コンプレックス ぼくらの場合』act.2 まんだ林檎

[ ガッ君と距離を取るようになった健太。二人は別々の高校に進学するが……。 ]
 話の進行上、キャラとキャラがぶつかり合いそうになったりトラブルに巻き込まれそうになったりした時の、この作者の暗転癖は以前から気になっていたのですが、今回も前回からポンと時間がたって高校生になっています。ややこしい展開になりそうな時こそ、腰を据えて描ききってほしいのですがねえ。で何をとち狂ったかガッ君に向かって「一緒に暮らそう」なんて健太は言っておりますが、もしもそれが「責任を取る」だの「放っておけない」だの、そんなバカな考えからなら即刻捨てろと申し上げたい所存でございます。次号最終回。

『YELLOW』 立野真琴

[ ペアでヤバい仕事を請け負っているゲイのゴウとヘテロのタキ。今回の依頼は警察の手入れまでにヤクザから麻薬を横取りすることだったが……。 ]
 カラー付き。
 むーん。やや説明的ながら話そのものは面白く読みました。が、エッグノッグのくだり(p.486-490)、二人の間合いの意味がよく掴めませんでした。つまりタキはゴウのことをどう思っているのか? 「愛してるよ」とは言っていたけど、それは相棒としてなのか、恋愛対象としてなのか。どっちなんですかね。あと、これもタキの台詞「その年でもう男によっかかって生きてるお前には(略)」ってのがありましたが、裏を返せば他人をアテにしなければ生きていけないくらい幼い、ってことなんじゃないかと思うんですが。まあ、タキの言いたかったのはそういうことではないんでしょうが。

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2001.10.07 (Sun)

『ビバノンノン温泉旅行部』 猫田リコ

[ 行楽日和の秋の日、教師の朝香は突然生徒の井ノ頭に部活顧問に指名されるやいなや、早速部活動へと拉致されてしまうが……。 ]
 強引生徒×気弱教師。
 井ノ頭の言うところの部の名前は「ビバノンノン温泉旅行部」。以後、目くるめく部活動が展開される訳でありますが……、18頁という短さもあってか、朝香が延々と井ノ頭に押し切られるままに話が終わってます。朝香がただ流されるだけなので、いまいち気持ちの引っかかりようがないというか、余韻を期待していると思い切り肩透かしだし、ギャグにしてはオチがない。率直な感想は「なんじゃこりゃー」。よく見れば「かわいーくち」と言う井ノ頭の愛しげな視線とか、トキメキシーンもないではないが、それは好きな漫画家だから探して見つけた結果であって、いまいち萌え場所が見つからない漫画でした。

『悪魔とレンアイ革命』 神崎貴至

[ 就職浪人を経てようやく男子高の体育教師として採用された岩田大地は、一人で校内を見学している最中、怪しげな教師・吉沢が男子生徒に手を出しているのを目撃してしまうが……。 ]
 カラー付き。
 新米ノンケ体育教師×美形ゲイ物理教師。(が、吉沢のがよっぽど強気かつ経験豊富なので、実質、吉沢×岩田)
 初顔合わせの場面が場面だったため、岩田は吉沢を「校内で生徒に対し淫行に及ぶとんでもねー教師」と勘違いし(本当は相談役)、吉沢は岩田を「ホモフォビアで頭の固いヘテロ」と思いこむ。以降、このすれ違いが話を動かしていくんだけど、うーん、誤解をメインに持ってくるよりその後の吉沢による岩田の開発話にページを割いた方が良かったんじゃないかと思う。何しろ、どちらも互いの話を聞こうとしないまま話が進んでゆくもんで(ことに吉沢)、読んでいて落ち着かないことこの上ないし、二人とも結構いいキャラクターなので、それが思いっ切りすれ違ってると、正面からぶつかればもっと面白くなりそうなところをみすみす逃しているようですごく勿体ない気がしてしまうのだなー。という訳で、続編を希望〜。

『ラブラブフォーチュン』 蝶天よん

[ 秋の新ドラマで初共演する人気タレント・綾乃慧と実力派アーティスト・富樫アヤノ、この二人は熱愛報道をされているカップルだったりするのだが……。 ]
 芸能界もの。年下攻め。
 熱愛報道をされている男性芸能人カップルだなんて、おいおい「春抱き」かよ、なぞというのはさておくとして、まず綾乃と富樫がマスコミによりお熱い仲だと報じられている、というのが言葉でしか表現されていないので、どうも「そういう状況にある二人である」という気がしない。なので、実はそれは売り出しの為に事務所が作った話で熱愛カップルなんて真っ赤なウソだよーん、と言われても更に実感が涌かない。全体にこの実感のなさというのが話の終わりにまで及んでいて、読んでいてもいまいち読者側の感情が動かない。主人公がどういう風に努力してどういう風にそれが認められずにへこんだか、台詞やモノローグだけではなくもっと具体的なエピソードで状況を説明してほしかった。

『ニグマの襟足』 明治カナ子

[ 大学時代の仲間から飲み会に誘われた竹中が約束の場所に向かうと、そこには一人の人物しかおらず……。 ]
 大学時代回想もの。
 タイトル『ニグマの襟足』。襟足は判るが、ニグマとは何か。ニグマとは仁熊、攻め君の苗字でござった……。
 本当は合意の上での行為のはずが、酔いが覚めて無理矢理ヤッてしまったと勘違いした仁熊に「気が済むまで殴っていいから」と謝り倒されて、遠慮会釈無く実行する竹中が素敵です。が、仁熊がそんな失礼な勘違いをしたのも無理はないという気も。最中の仁熊って、強引というか、竹中と微妙に会話になってないもんなー。ラストシーンの竹中の笑顔がとても優しくて、誤解が解けたこれからの二人の話も読んでみたいところ。

『いびつな箱』 藤原タクト

[ 同じ大学院生の広瀬、久我、真宮は中学の時からの付き合い。広瀬は久我が好きで、久我は真宮が好き。ところが真宮が結婚すると言いだし……。 ]
 院生もの。
 前に電波度の高い作品を読んでいたこともあって、Hの最中に突然広瀬が叫びだした時はどうしようかと思ったが、電波度はそのあたりがピークだったらしく、キャラクターも何とかエキセントリックな程度に収まっているので、結構楽しく読めました。ただ、いくら何でも久我の唇は赤すぎじゃろうと思います。

『ヘイ!ドクター』 内田かおる

[ 変態医師にあれこれされてから何だかとってもHな気分の五十嵐は、元に戻させるべく狭間医院に直談判に行くが……。 ]
 カラー付き。
 01年SpringSpecial掲載『世紀末カルテ。』続編。医者×高校生。
 いやー、今回もカッとんでますねー、センセイ。前から後ろから攻めまくり(ローター5個使用)。言うまでもなく白濁度は雑誌中一番高いです。ここまでくると五十嵐のおバカさ加減も含めて、もーどんどんイッちゃって下さいと言うしか。いっそのこと五十嵐のバイト先の店長も交えて3Pでどーだ。

『恋におちたら』 吉池マスコ

[ 亡くなった父親の跡を継いで定食屋を営む濱田だが、借金の取り立てなどもありなかなか大変で……。 ]
 オーソドックスな展開、絵柄も地味ながら、飽きずに読ませます。こういう吸引力というか魅力はどこに潜んでいるものなんでしょうねえ。チンピラのアキラが、嫌なヤツだけどキャラクター的にいい感じです。

『38.5℃の情熱』 森臣貴衣

[ 風邪で寝込んだ紺地の脳裡に残るセックスの記憶。おぼろげなそれは夢か幻か……。 ]
 寮生もの。二段オチ。
 うーん、この漫画家さんの漫画って、気づいたら同性を好きになっていたとか、好きになった相手がたまたま同性だったとか、好きになった相手は同性だったけど特に気にしないとか、そういうボーイズラブ的なノリではなく、かなり登場人物達が同性愛に意識的だと思う。しかし寮内で君ら大胆だねー。若いってイイなー。あと、風邪っ引きさんのいる部屋は、時々窓を開けて換気いたしましょう。

 続編作品3作『ヘイ!ドクター』『夏は来ぬ』『夢の旅人』。前作を読んでいなくても大丈夫だけど、読み切りメインな麗人にしては珍しいかも。

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2001.10.30 (Tue)

『胡桃の中』 川唯東子

[ 映像作家見習いの中居草平と画廊経営者の谷崎英生が美術館を訪れている最中に絵画の盗難事件が発生する。後日、谷崎の画廊に1枚の絵が持ち込まれるが……。 ]
 盗まれた絵に秘められた物語。芸術の秋に相応しくしっとりと読ませます。――が、導入部がちょっとガチャガチャして話に入りにくかった感が。というか、ぶっちゃけた話、中居がうるさくてうるさくて邪魔なんですが。ラストで画廊から去ってゆく草間の後ろ姿をビデオ撮影しているのも相当に悪趣味だと思ったし、質問役と賑やかしのためにいるんだろうけど、谷崎と中居の関係も今回の話には殆ど関係してこないので、いっそメインキャラは谷崎と草間だけで十分じゃないかと思ったのですがどうでしょうか。
 あと、途中夭折した画家・椎名類の作風についてネガティブに語られる場面があるのだけど、何に惹かれて谷崎は椎名の絵を見に長野まで行ったのか、ちらりとでも彼の絵についての見解を語って欲しかったですな。
 重箱の隅ツツキ。谷崎がコーヒーを飲むシーンで、投入されているはずの角砂糖が見えないのに、「ポチャンポチャンポチャン」と音だけが描き込まれているのが不気味でした。

『コンプレックス ぼくらの場合』最終回 まんだ林檎

[ 同棲資金を貯めるためバイトに励む健太と学。そして高校卒業後、二人だけの生活がスタートするが……。 ]
 またまた時空がぼーんと飛んでますね。うふふ。と思わず笑ってしまいました。うふふ。
 一見センシティヴでドラマチックな話のようでいて、結局いいとこどりな話だけのような気がしなくもなく。何というか、描いているようで、実は描くことから逃げているような感触があるのですが。あっさり“俺達はすっかり元通りになり”なんて脳天気なことを言ってしまえる健太サイドから読むから、余計そう思ってしまうのかな。……ガッ君は飛行機が墜落するか、山で遭難するか、しそうですなァ。

『太陽と月に照らされて』 九条AOI

[ 初見はクラスメイトの白石に告白するが……。 ]
 高校生もの。淡白系。
 ちょっと間延びしたような独特な間があります。言葉を必要としない世界と申しますか、よくよく瞳に語らせるのがお好きな漫画家さんだと申しますか、ぶつかり合う視線から雰囲気を醸し出させるのもテクのうちだとは思うのですが、あまりに連発されると、ついつい「男たちは分かり合ったのだった」とナレーションを入れてみたくなっちゃったりします。あとちば拓『キックオフ』を連想してみたりとか。

『メンクイ! 4』短期集中連載 田中鈴木

[ ラブラブだけどそれ以上の関係の前で足踏みしている赤岩とことりだったが、そんな二人に佐伯は必要以上に過敏な反応を示してきて……。 ]
 カラー付き。
 勢いに任せて突き進めずに思い悩む乙女なことりが、いじらしくも可愛いです。そいでもってお話は意外な方向へ。この先どう展開するのか待て次号、というところ。それにしても、相変わらずシャープな絵柄が美しいですのー。

『ハダカの将軍』最終回 藤崎こう

[ 無理矢理抱かれ、合宿を解消したものの、統世のことが気になる嵐。そして遂に徳川家後継者決定の日を迎えるが……。 ]
 剣道勝負は嵐の迫力勝ちといったところでしょうか。二人の仲も無事修復されてハッピーエンド。つーか、統世も最初から嵐にちゃんと告白するなりしてれば、こうも揉めずに済んだものをねえ。まあ、失うことを恐れるあまりより大きな過ちを犯してしまうというのは、よくあるパターンではありますがねー、覆水盆に返せるケースはごく稀なので、いつも上手くいくと思うなよっつーか、こんな二人が背負って立つ徳川グループの将来が物凄く心配です。

『夜だけが知っている』前編 あさぎり夕

[ 高校生の有村水樹は姉の夫・仁科森人に密かに片想いをしていたが……。 ]
 義兄×義弟。(人妻という言葉の反意語は何なのだろう)
 晶(魅せられてシリーズ)の元彼で竜也(瞳&竜也シリーズ)の従兄弟・森人が攻め様で登場。迂闊にも今の今まで、この妻子持ちの旦那が両シリーズにまたがってご出演されていたとは気づきませんでしたわい。で、この作品には竜也がゲスト出演しています。水樹に向けた「自分の姉貴の男横取りしてーなら、根性据えねーと、なぁーんも手に入んねーぞ」という竜也の言葉は尤も至極。ついでにその後の竜也が森人の子供をあやしている場面にあやうくこちらは恐慌状態に陥りそうになりましたが、いやいや瞳ちゃんにかまわれて、ようやく人が丸くなってきたのかー?>竜也 良かった良かった。(散々瞳ちゃんは泣かされているだろうけど) 本題の水樹と森人の方はキャラクター的にあまりトンがったところがないので、話は読みやすいです。後半何か波瀾が起きるのか? あの姉貴なら結構あっさり弟に旦那を譲ってくれそうな気もするけど、それはないかな、やっぱり。

『やんなっちゃうくらいそばにいて』 高座朗

[ TV局での心霊番組収録中、怪異現象に巻き込まれた緋室優と最上享二は……。 ]
 扉には読み切りとあるけど、実質9月号の続き。なのでいきなり話が途中から始まっております。“その体 誰のモノだと思っている”という優のエゴイスティックなモノローグが素直で大変結構。だけど、優が享二をかばうシーンはもっとドカンと見せ場チックに描いてほしかったですなー。ちと勿体ない気が。で……結局、今回もHは出来なかった訳ですが……、仕切直してもう一度トライすれば良かったのでわ……。ちゅーか、優はイッてないと思うんだけどそれでいいのかー? それとも前ページでイッちゃってましたー? いや、まったく余計なお世話ならいいんだけど。

 休載が2作品。うーむむ。

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