「腐女子が読む『やおい本』を『ホモ』とは呼ばない」などと提唱したい今日この頃。
ボーイズラブ系の本やら漫画をホモ本と呼称するのには抵抗があります。男性同士の恋愛もの(しかもかなりの高確率でセックスシーン付き)の話をホモと呼んで何が悪い、という向きもありましょうが、実際問題としてそこに描かれている人々は現実のゲイとはかなり隔たりがあるだろうし、それにやおいってやっぱり腐女子のファンタジーだと思うんですよねー。そのファンタジーに登場してくる人々の織りなす愛とか恋とかは、同性愛の形は取っているけれど同性愛そのものではない別の何かのように私には感じられるのです。
[ 先輩後輩の森岡と山本はつきあい始めて3ヶ月。押せ押せで迫ってくる山本に森岡はついパンチで応酬、それが元で山本に怪我をさせてしまうが……。 ]
巻頭カラー。
高校生もの(年下攻)。
よく「素直になれ」という台詞があるけど、もともとの性格が意地悪言いまくり、本心を口にするくらいなら舌かんで死んだ方がマシというような生来の天の邪鬼の場合、“素直になる”ってどういう状態なんだろう。無理に本心をしゃべったりしたりしたら、それなりにカタルシスはあるだろうけど、却って素晴らしくストレスがかかるんじゃないだろうか。
で、この主人公はそこまでひねくれてはいないけど、それでも後輩の山本に心を見透かされるようなことを言われてカチンときたり、或いは体の大きい山本とのHに抵抗があったりしたりしつつも、結局のところ山本を受け入れてしまうってのは、そんなことより山本を好きだと思う気持ちの方が大きかったということなんでしょうかね。オトコゴコロも複雑ですな。
それにしても葵彰の頃から絵柄変わったっすねー。
[ 父親の車を修理しに来た整備士と関係を結んだ主人公は、教習所通い中にも関わらず、父の車を運転し誤って隣の家の飼い犬を轢いてしまう。せがまれて同乗していた整備士は、運転していたのは自分で主人公は助手席にいたとするよう言い含めるが……。 ]
(とりあえず)整備士の兄ちゃん×いいところの坊ちゃん。
何故かピエロを連想させる絵柄は結構耽美が入ってます。殆ど固有名詞が出てこないので国籍不明ですが、アメリカあたりの設定なのかな? 話は上に書いたのがすべてなので、これから愛犬を失った隣人がどう出るかで流れが決まりそう。
[ インディアンの少年・シャナイアを拾ったグレイブとアレク。かいがいしくシャナイアの世話を焼くアレクに、面白くないグレイブは……。 ]
西部もの。
グレイブ(青年)×アレク(青年)にシャナイア(少年)が加わっての3P。アレクにフェラしてやってるシャナイアのテクを見たグレイブ、ライバル関係なのも忘れて自分もやってもらいたいと一瞬思う正直さが良し(笑) しかし発言内容からして一番オトナ(かつ正論)なのはシャナイアですな……。
[ 自分では判らないままに何故かいつも男達の欲望を向けられてしまう穂積。そしてまた……。そんな時、同じ大学の石原が訪ねてくるが……。 ]
カラー付き。
大学生もの。
穂積が何で男達の性欲の的になっていたか判ったような気がする。その、クールになり切れてない、もったりしたしゃべり方が相手のイライラを呼び起こすのだな。構ってほしいんだろ?と相手に言わせてしまうというか。当のご本人がまったくの無自覚というのはご愁傷様と言うほかはない。で、度重なるレイプを受けて半ば人間不信になってしまっている穂積が、そんなに簡単に心を開いてしまうものかなー?とやや疑問。もっと石原と心が繋がってゆく様子を描いてほしかったな。こんなことを言っては何だが、穂積のモノローグの90%はカットして差し支えないと思う。その分を描写で補った方が、もっと深みのある話となったのではなかろうか。
ところで「あばずれ」って男性にも適用できる言葉なんか?
[ 10歳の子供が義理の父親を刺すという事件が発生、子供が父親から虐待されていたことが判明する。しかし子供は何故かその事実を否定。それから5年後、事件に関わった刑事の北原は思わぬところでその時の子供、田島ミロクに再会するが……。 ]
あっさり終わっているけど、結構鬼畜な話かも。つーか北原、警察官なのに買春してていいのか? しかも常習らしいし。その後のミロクが「誰にでもなんでもさせてくれるってさ」と風評が立つほどの行為を繰り返しているのは、判りやすい原因探しをするなら、人を殺しながら罰せられないことへの贖罪の意識が働いているとか、そうしなければ他人を引き留められないと思っているからとかなのかな。まだまだ続きがあってもよさそうな話だけど、続編はないのかしらん。(……って『楽園の扉』というコミックスが出てるんだけど、その関連の話なのかな?)
[ 友達三人で初日の出を見る予定を立てたものの、一人にドタキャンされ仕方なく残りの二人は片方の家で新年を迎えることにするが……。 ]
一応すでにカップルとして成立している二人なのだよね? なのに、このもじもじ加減は一体どうしたことだ(笑) それともセックスフレンドから固定の二人になる途中なのかなー? 恥ずかしさからいえば、直接相手に二人きりになりたいと言うより第三者に二人きりになれるように頼む方が恥ずかしいと思うがのう。王子様やハンサム君でもない二人の日常的なセックスを描いているだけにドラマチックな展開は全然ないけれど、それはそれでほのぼのとした温かみが伝わってくる。日常的ゆえの萌え台詞ってもんもあるのですなー。何より二人がラブラブだしね。
非ボーイズラブ、しかしやおい系な雑誌(多分)。なかなかにハードです。今までに読んだことがなかった雑誌を読むと新しい世界が開けるものですが、この雑誌で一番目についたのはところどころにある露骨な消しでした。大抵はホワイトをかけたりトーンを張ったりするところを、そこだけ真っ黒に塗り潰したら(局部をそのカタチの通り黒く塗りつぶした箇所も有り)余計に目立つと思うのだが……、まさかそれを効果として狙っている訳でわ……。
「ナチュラルプレイス」大竹とも 実業之日本社MBコミックス ISBN4-408-43328-4 C9979 \533E
[ 自動車メーカーでテストドライバーを務めていた安藤は走行試験中の事故が元で自動車学校の教官に転職する。初日に冷たい言葉をぶつけてきた津久井が実は一番安藤が来るのを楽しみにしていた、と他の教官から聞かされた安藤は……(『ナチュラルプレイス』)。他読み切り5編。 ]
社会人もの4編と高校生もの2編。
何をおいてもまず社会人の皆様が、なんちゃってリーマンではなくきちんとそれぞれの仕事をしている人々なことに好感度大。日々の暮らしの中、ささやかな触れあいを通して自分の、そして相手の気持ちに気づいてゆく――というストーリー集になっている。ラブシーンも描写自体は少ないものの、むしろそれが想像力を刺激してくれる色っぽさがある。ただ、話運びがあまりにさり気なさ過ぎるので、盛り上がりどころがつかめないという点も。どこに向いて話が進んでいるのか判りにくい。特に登場人物の心情が掴みにくく何度か読み返してしまった。もうちょっとだけアクを強くしてもいいかも。
「恋愛化学実験室」梶本潤 マガジン・マガジンジュネコミックスピアスシリーズ ISBN4-906011-76-4 C9979 \619E
[ 女性に欲情できない自分に悩む生真面目な高校教師の越谷は、意を決してゲイバーへと足を運ぶ。店の前で躊躇しているところを生徒の加藤に見られてしまい……(『恋愛化学実験室』)。他読み切り6編。初コミックス。 ]
強引に関係を結んだことが転機になって相思相愛になる、という話が多くて、殊にヤッてる最中に心の関係も出来てしまうだけにその急転直下ぶりには「あれれ〜」という感じがするけれど、「そんな気はないのにカラダが気持ちいいから、きっと自分は相手を好きなのに違いない」という勘違い路線ではなく、それなりに双方とも脈ありで、手段としてはかなり問題があるものの強姦まがいのセックスも二人の関係を問い直すきっかけとして描かれているから、あまり「そんな訳ねーだろ!」感は高くない……かな?
で、掲載誌が掲載誌なので、Hシーンは濃い。リバ有り腸内洗浄有り(驚いた)のアダルト志向。が……、コマ中にナニやら効果音やら効果線やらトーンやら喘ぎ声やらが存在する上、更に消しの一部白黒反転処理が入るので、何がどーなっているのかよく判らなくなってしまっている箇所があるのには苦笑するほかはなく(笑) せっかくハードなんだからもっとちゃんと見せてくださいよう(何をだ)。という訳で、掲載誌のカラーに合わせているのか、もともとの画風がそうなのかは不明だけど、コマいっぱいいっぱいに描くのではなくもっと余白をいかして、ついでに普通に告白して紆余曲折を経つつ恋人同士になってゆく――という甘い雰囲気の話も描いてみてほしいなあ。
[ 幼い頃、隣に住んでいた若菜のことをずっと想い続けていた福島隆は、入学した高校の生徒と教師という形で若菜に再会する。6年ぶりに会った若菜は何故だかつれなくて……。 ]
巻頭カラー。
教師×生徒。
隆の外見がとっても女のコで、これで「過去には付き合った女の子もいる」というのは嘘だろ〜?という感じ。教師として自分を見るのではなく、いつまでもお隣さん感覚で接してくる隆に、さぞ若菜はやりにくいことだろう。というか普通、教師に勉強をみてもらうのにわざわざ事務に住所聞いて自宅に押し掛けるか、隆。んなことは学校で聞け、と思ってしまった。最初は隆が空回り気味で読むのがツラかったけど、若菜の真意が判るあたりはやはり読ませる。続編があるなら、その時こそ「可愛い可愛い思ってた子が立派にボッキするのにおののく攻くん描きたかったんだケレド」(作者コメント)な展開を期待。
[ 何をするにしても一緒にいるととても居心地の良い千尋のそば。その延長で千尋と寝てしまった忍だが、翌日から千尋に避けられるようになってしまい……。 ]
メンクイ!シリーズ番外編。
高校生もの。
過不足なく洗練された絵が綺麗。はっきり言って忍が付き合っていた女の子に目覚まし時計を投げつけられたのは自業自得でしょう。用済みなんて言っちゃあねえ。そんな性格の悪い忍でも千尋との関係はごく自然で、肌を重ねることも特別な恋愛イベントとか煮詰まった欲望の果てとかではなく日常の触れあいの線上にあるという風に描かれていて穏やかないい感じ。実はそうだったのね、な千尋の告白シーンも、さりげないけどいい場面です。千尋を泣かせたら承知せェへんぞ>忍
それでもって千尋は、ぽやややーんとした雰囲気といいい髪のはね具合といい、お母さん似なんですな。
[ 透と元カノ・瑛子の関係を誤解し、傷ついたまさみは透の謝罪の言葉にも本当の気持ちを伝えることができずにいた。そんな時、瑛子がまさみを訪ねて来て……。 ]
とりあえず、おめでとう。ここまで来るのに何年かかったのか考えると気が遠くなりそうだが、ようやく一線を越えた透とまさみに祝福の言葉を。でも問題は何も解決してないような気がするんだけどな。好きだ愛してる言うばかりで、その実なにも形に表そうとしない透が悪い。いざとなったら親や職場にカミングアウトするつもりはあるのか、実行に移さなくともその覚悟はあると伝えるだけで、まさみの不安はずっと解消されるだろうに、そのあたりに透が気づいてもいなさそうなところが、ほんの最初のハードルをクリアしただけで根本的な点では二人はまだすれ違ったままなのではないかと思うのだが。
……雅美はいい加減兄離れをするように。生徒に慰められてんじゃねーよう(笑)
[ 父親の法律事務所に勤め、自らも弁護士の高橋一紗は、急な雨を避けるために借りた軒下で若い男と二人きりになる。その男は我が儘かつ傲慢な口振りで、だがしかし綺麗な顔立ちをしていて……。 ]
デンジャラスMAGNUM番外編。
カラー付き。
こんな警察官がいていいのかー?ということに話は尽きるのだけど、雨宿り代わりの情事はともかく(別れ際の蓮見と一紗のやりとりや、ひとり部屋に残された一紗がタバコの煙を吹き上げるシーンは結構好きだ。個人的好みとしては、誘いをかけた蓮見はあくまで翻弄する側としてクールな受でいてほしかったけど)、冒頭での蓮見が傘立ての傘を無断拝借しようとする場面は何の意図があって描かれたものなんだろう。いくら顔が良くても、あれで私の中では蓮見への評価ガタ落ちなんですが。こういう倫理観のなさは駄目だなー。(しかもかなりセコいし) 蓮見が真実こういうことをする人間なら好きにはなれないし、蓮見と一紗の性格の違いを出したかったのなら、もう少し何か違ったエピソードを用意して欲しかったな。それと、一紗のまんまる目玉が、瞳孔が開いているようで怖いでやんす。
[ 警視庁特別調査班班長・十文字蓮二の目下の悩み事は、甥で直属の部下でもある十文字大輔に悪い虫がつきそうなことだった……。 ]
こんな警察官がいていいのかー?Part2 言うだけ野暮なのかもしれないがー、こんなんで日本の治安は大丈夫なのかー!?と叫びたくなってしまうー。あんまりというか全然、登場人物が警察機関の人間である必要はないのでは……。ところどころ顔だけ漫画になってしまっているのが気になった。大輔と上岡(=悪い虫)のデートの場面で何で大輔が急に駆けだしたのか、一読しただけでは理解出来なかったし。もっと背景とか全身図も入れてください。ラストは無敵な大輔の笑顔が素敵。どんでん返しがキレイに決まっている。ふふふ、大輔ヤッちまえ〜。
[ 荷物を取りに光太郎の部屋に戻った千里は、光太郎の冷たい拒絶の言葉に激しく反発する。一方、薫は椿から同居をやめ引っ越すことを告げられる。 ]
連載が終わるからといって彼らの日常がそこで途切れる訳でもなく、皆ままならぬ状況を抱えていらっさるようで。それぞれに浅からぬ関係にありながら、緩い絆でつながれていてこの先も友人同士として続いてゆくだろう薫・椿と、愛情故に拒絶も激しい光太郎・千里の2組が対照的。その中で一番気ままに振る舞っているのはやはり椿ですな。薫は早く椿のことは吹っ切って新しい誰かを見つけた方がいいですねー。ところでマホリンは元気なのでしょうか。思えば本人恋愛エキスパートのつもりで、あちこちで踏み台にされてしまった不器用な人でした……。あと目の回りにトーンを張るのは止めといた方がいいのでは……。お面じみて不気味です。次号にて連載終了。
[ 共に「弟に虐げられている兄」な夏八木楓と橘龍翔は一週間弟を交換し、その間に元気を取り戻そうと試みるが……。 ]
人語が通じない弟を持つ兄の苦難。それは弟同士を交換しても変わらず――というか一層ひどくなっただけで、我が道を突き進む弟sに押して押して押しまくられる様は、人は何故かく在るように生まれついたのか、またその在りようの理不尽さについて深く考えてしまうほど。いっそ自宅を出たら……親の目がなくなったら更に大変なことになりそうだし、海外逃亡しても追ってきそうだし、果たしてか弱い兄sに明日はあるのか!?
[ カヲルに自分との同居を求める天涯。天涯の父親に攫われた影響が抜けきらないカヲル。そして二人の前に現れた謎の男。 ]
カラー付き。
天涯&カヲルシリーズ。
今回、カヲルの書生の広太の友人の竜虎(長い)がなかなかに注目株。でも当分その想いは報われそうにないのはお気の毒さまです。で、謎の男の正体は以下6月号。彼は、カヲルではなく薫と呼ぶのですな。
刑事もの2作、バスケもの2作。特にバスケものは台詞までダブってるし。ネタが重ならないように調整できないものでしょうか。
もう一つ引っかかったのは、マンガ講座に「判りやすい参考書は自分が好きな漫画」とあったこと。確かに判りやすいし、自分の萌え心を解析するのはいいんだけど、人の創作物を土台にしても縮小再生産で原型より小さいものしか作れんのじゃないだろうか。
[ 謙二郎の実家で正月を過ごす課長と謙二郎。最初の妻が死んだ後、一向に女性と付き合う様子を見せない息子に、謙二郎の母は見合いを強く勧めるが……。 ]
巻頭カラー。
町田親子シリーズ第4弾。
ちょいと時季外れだけど初夢ネタ。そして思いがけず話はシリアスな展開を迎えるのでした。まっこと人生、一寸先は闇。何事が起きるのか予測がつかないものですねー。そしていざという時、どのような態度を取るかでその人がどういう人間であるかが自分にも他人にも明らかになる、信頼するに足る人物であるかどうかも判ってしまうという……。おお怖い。最近のボーイズラブはぬるいものが多いので、こういういきなり崖っぷちに立たされるような話は久々に読んだような気が。ただ、課長・謙二郎の両サイドから描いているので、かえって物足りないというか、それぞれの行動が唐突に感じられてしまう面も。どちらかの心情に絞って読者がそれに浸りきれるようにした方が良かったんじゃないかな。
[ 若返りの薬を研究中の大学教授・山崎は一学生の桜井に密かな恋心を抱いていた。そんな折、誤って実験中の薬を自分に注射してしまい……。 ]
見た目は大学生同士だがその実、教授×学生。
肩が凝らずに読める一作。個人的にはショタ系より今回のような大学生クラスのキャラの方が好みだなー。桜井くんの笑顔がとってもキュートざます。そして山崎教授、酒は飲んでも飲まれるな。とりあえず元気棒はしまっとけ(笑)
[ ゲイの弟を持つ宮島太一は派遣社員の美恵と不倫中。同僚で一番親しくしている篠だけはそのことを知っていたが……。 ]
カラー付き。
リーマン系。
話は面白いし別におかしな箇所もないのだけど、妙にあらすじが書きにくい話だった……。こんなん↑でも、結構苦労して時間かけて書いてるんです。ううっ。
それはともかく、ちょっと絵が荒い印象が。話で読ませるタイプなのでストーリーを追っている間はあまり気にならないんだけど、コマごとに目を止めると「うう〜ん?」と思う箇所が散見され、時間が足りなかったのかな?などと余計な邪推をしてしまいました(失礼)。あと、P.114の2コマ目〜4コマ目は何に対応しているのか首をひねってしまった。前ページとは時間軸が異なってて憲二の家出シーンなのかな?
ところで、篠の正体に気づいた憲二が焦っているのは、すわライバル登場とブラコン魂が刺激されたためか、それとも純粋に兄の身を心配しているのか、どっちなんでしょうねー? で、「篠ちゃんてあのシノちゃん?」って、いったいどんなシノちゃんなんだ……。本筋には絡んでこないですが、懐が深いのか適当なのか判らない宮島親父もいい味を醸し出しています。
[ 執筆に専念するために田舎に転居した小説家で幼馴染みの章造にひっついてきた民生だったが……。 ]
素直になれないのにも程がある〜、な民生の妄想暴走日記。絶対どんでん返しがあるだろうと用心しながら読んでいたのに、まんまと作者の罠にはまってしまったー。不覚。神様、いつまでも章造の魔の手から民生の貞操を守り給え。……面白いから。
[ 地元で就職した滝野と、東京に大学進学した深町。二人の絆は揺らぐことはないと思われたが、演劇にはまりつつある深町に、滝野は次第に距離を感じてゆく……。 ]
カラー付き。
祈る人6。
滝野視点なのと深町視点なのではこのシリーズも随分話の雰囲気が変わってきますな。底辺ではちゃんと好きだし大事にしたいとも思っているのだけど、どうしても今の感情を優先してしまって相手を傷つけずにはいられない……なんて子供じみてるかもしれないけど(でもよくあることだ)、だけど自分の気持ちを内側に閉じこめてしまいがちな滝野のようなタイプは、そうやって八つ当たりでも何でも感情を表に出しているうちはまだ安心できるような気がする。昏睡状態から意識を取り戻した母親に「…知らない…」と言われてからの滝野なぞ痛々しくて、ことに微かに笑顔を浮かべる場面なんか見ちゃーいられない。滝野母は無碍に滝野を拒絶した訳ではなく、突然青年になった自分の子供が目の前に現れたから驚いたのではないかなあ。彼女の中の“圭ちゃん”は小さな子供のままだろうからして。でも子供にはそんなことは判らないしな。その動揺が収まりきらないうちに、今度は深町と田川のキスシーンに遭遇(以下次号……ラストのコマで滝野がまんまる目玉になっているのがちょっと残念)。後編で、滝野が怒って田川なり深町なりを殴りつけてくれたら、むしろ私はホッとするのではないかと思うよ。田川もねー、演劇部の飲み会ではいろいろ滝野に言ってくれちゃってるけど、頼まれもしないのにそんなことを言ってくるヤツの方が余程子供っぽいんじゃないかねえ。憎まれ役として、無惨に散ってくれることをキボー。あと深町君、狭い部屋を広く使うコツはとにかく積むことなりよ。積んで積んで積み上げれば、自ずと地表は見えてくるぞ〜。
[ 死神のカムイと共に暮らす元殺し屋の夜刀は、殺し屋としての育ての親、白河に再会するが……。 ]
00年3月号掲載『秘密のナイフ』の続編。
事情を夜刀から明かされた白河が困惑しまくるのも無理はない――というか、「殺りすぎてとうとうイカレちまったのか?」というのは正しい感想でしょうなあ。“人外大魔境”すぎて、白河の夜刀への気持ちが霞んでしまったのはお気の毒様。読者にとっても入り込みにくい話になってしまっていると思う。夜刀はこれまで無感情だった分、倍返しで動揺しやすくなっているような……。まだ感情の制御の仕方に慣れていないんだろうか。もっと図太くならないと、永久に存在するなんて到底無理でっせー。
読み応え有り、次回以降もこの調子で頼んます。
先日、テレビをつけていたら「部屋を片付けられない女たち」なんてコーナーにぶち当たりまして。思わずじっくり見てしまったのですが、「ベッドの隅に衣服が山積みで寝る時には足も伸ばせない」とか「20cmほど堆積した古新聞の上に暮らす」とかなかなかに天晴れな部屋が紹介されていました。しかしあれですな、リポーターや視聴者は“最終状況”のみを目にするから、唖然呆然「あ〜〜」としか言いようがないんだけど(ちなみにその時バックに流れるは、さだまさし「北の国から」)、そこに暮らす住人にとってはある日いきなり部屋が凄いことになってしまう訳ではなく、少しずつ少しずつ物資に部屋が侵されてゆくので、結果的に床が見えなくなってしまってもあまり気にならないんですよね。
――などと他人事のようにコメントしていたところ、親に足を蹴飛ばされてしまいました。
さて、雑誌の感想コーナーは現在、マガビー・ゴールド・麗人を定点観測しつつ、その時々に読んだその他雑誌(アンソロジー含)の感想を書いているのですが、最近路線変更しつつあるらしいゴールドがどうにも趣味に合わなくなってきたので、定期的に感想を上げるのは止めるかもしれません。「OL!仕事人」もよしながふみの連載も終わっちゃったしなー。とりあえず今月末に出る4月号は直野儚羅の舞鶴探偵事務所シリーズが載るので買いますけど。ははは。代打には花音かDear+あたりどうだろう……なんて考えてますが、予定は未定です。いっそ弾けてピアスとか?(笑) でもマガジン・マガジン系の雑誌って目次の一覧作る時、やたらと項目が多くて面倒なんですよね。桜桃系は何故か以前から手を出したことがないので漫画家さんが判らないし。ううむ、今よく読まれている雑誌ってどのへんなんでしょうか。