あけましておめでとうございます。
昨年は、作品の出来如何にかかわらず、あまりにボーイズラブ系漫画に萌えを感じなくて、これは一体どうしたことだ?と考えたことも一時期ありましたが、自分の萌えポイントがかなり範囲限定なもの故(*1)という結論に達しましたので、いつかそんな話に巡り合うのを楽しみにしつつ、これからも男×男漫画を読み続けていこうと思います。結局好きなのよねん。
では、本年も宜しくお願いいたします。
[ 同居していた友人に彼女ができたため部屋を出た神崎芳巳。行くあてのない芳巳は、顔見知りの店員・恭二とその兄・晶のところに厄介になることになるが……。 ]
巻頭カラー。
吸血鬼×一般人。
吸血鬼ものといっても、話が始まってかなり早い段階で、恭二&晶の正体がバレてしまうので、サスペンスやホラー的な要素はほぼ皆無。特殊な設定ですが仕掛けは少なく、恭二と芳巳の関係の方に重点が置かれています。ついでにいうなら、とても現代的なバンパイア達なので、お耽美チックな要素とも無縁であります。
話は、undeadな存在についてのさまざまな切なさをはらみつつも、割合ソフトタッチに仕上がっているかな。
[ 同好会の夏合宿で泉水は、以前告白されたことのある篠岡に寝込みを襲われてしまうが……。 ]
大学生もの。
3回連載の最終回。篠岡が泉水を押し倒した場面で前回が終わったため、続きとなる今回は、のっけからHシーンが展開されています。しかも32頁中22頁が本番シーン。スバラシイ。
一応ノンケなのに、自分の上に乗っかってる篠岡のブツの堅さを、自分に対する好意の大きさに変換できる泉水の柔軟さも大変に素晴らしいです。ただ、篠岡に攻められる泉水の顔が時々子供っぽくなってしまうのが残念。表情変えても、最後まで大学生らしさを崩さないで欲しかったです。でないと萌えないのですじゃー。
[ 川高水泳部に所属する鈴木は、ずっと片想いをしていた部長の生着替えを見ていて、つい股間を触ってしまうが……。 ]
高校生で同学年もの。
時にヌキあう間柄になってしまう鈴木君と部長ですが、そこに至るまでの過程がとてもサワヤカに描かれています。
全体に、その時々にあった感情表現をしていると思いますが、鈴木君の告白を部長がスルーしてしまう場面は、硬直するなり赤面するなり、部長のリアクションにもうちょっとアクセントをつけてほしかったかも。表情が変わらないままなので、告白の言葉を聞きそびれて……というパターンかと思ったですよ。
[ 契約を打ち切られてしまったモデルの啓太は、突然現れた砥部という男の、一流モデルにしてやるという誘いに応じて屋敷についていくが……。 ]
アパレル業界社長×モデル。
あー、ある意味ボーイズラブ漫画を読むのは体力勝負だということを思い知らされるような漫画でした。眩暈のあまり倒れてしまいそうです。
やたらとモノローグで修飾する癖がなくなったと思ったら、代わりに主人公が「えっ」とか「なにっ」とかいちいち激しい反応を見せるようになって、それはそれで鬱陶しいものが。もう少し落ち着け。
で……、今回最大の見所はやはり、放尿シーンなのでしょうか。ひー。
[ クリスと共にいるアヤにルーク達の手が迫るが……。 ]
うーん、今回はちょっとコマを重ねすぎ、という気がしなくもなく。あまり激しい動きのない回だったので余計冗長に感じられるのかもしれませんが、もっと切りつめてもいいんじゃないでしょうか。というか、早く先が読みたいのですねん。アヤが逃げ出したことをまだ上には伝えるなというルークの心の内も知りたいところだし。
[ 接触恐怖症の舞鶴は恋人の那珂川に触れられて、つい逃げ出してしまうが……。 ]
舞鶴探偵事務所シリーズ。
うーん、舞鶴はやっぱり元設定の30代後半という方が、可愛い年上受という感じがでるのではないでしょうか。32歳でアレでは、ただのブリブリになってしまいます。まあ、今号はショートショートで登場なので、その分通常バージョンよりかなりデフォルメきいているんだとは思いますが。
それとオチの付け方がいまいちかと。
キスされて「やらしい顔」になるのはそんなに不思議なことじゃないと思うんスが。日常での接触でヤらしい気分になって困るんと違いますのん?
山下さん、無精ヒゲもお似合いで素敵ですが、歯磨きしながら煙草とは、よっぽど疲れてらっしゃるのですな……。
[ 何だかんだで職場恋愛を続けている熊谷と香月だが、ある日学校に香月の母親が訪ねてきて……。 ]
未来の記憶シリーズ。
これまでの経験も性格も対極にあるような熊谷と香月ですが、香月の生い立ちが明らかになるにつれ、ますますそれが激化、というか実に鮮明に二人の立脚点の違いが浮かび上がってきた感じです。
しかし今回は、熊谷が自分の鈍感さに気づいて香月に歩み寄る姿勢を見せたので、3作目にしてようやく私はこの二人の未来を祝福する気持ちになったのですが、でも、この先の話が描かれる可能性はあるのでしょうか……。もうすっかりまとまっちゃってるんですが。
それと、最早モロ出し本番が当たり前になったボーイズラブ漫画界で、ヤバいシーンはモノローグでカバーしまくりな作画に、失われた慎みを感じました。嗚呼。
[ 実家で撮影の準備をしている香藤の様子を見に行った岩城だったが……。 ]
カラー付き。
春を抱いていた・26。
極論すると「勃った……、クララが勃ったわッ」という話だった、ということになるのでせうか。いつもの新田節(香藤節?)なので、深刻度がどのくらいなのか、いまいちよく判りませぬ。
あと、話の中で出てくる「集中力」のつかい方が、何だかしっくりこない感じがするんですが。あれは「すごい熱中ぶり」とか「こだわり」とか言った方が適当じゃないでしょうか。
もひとつ。石橋貴明似のキャラクターが、香藤を応援する場面がありますが、さすがにそこまで自キャラを持ち上げられると引くですよ……。
[ スケーターのアレックス(アル)は、まったく違う滑りをする由良に恋をするが……。 ]
スケートもの。
由良のスケーティングに惹かれつつも、他者と我の差を知り、アルが己を高めていく様子が美しいです。前作2作があるようなので、早いとこシリーズまとめてコミックスにして下さい。
そーいや、スケートのダブルスって見たことないですね。エキシビションか何かでやってくれぬものでしょうか。
エロシーンのパーセントを思わず計算してしまいたくなるような作品が多かったですな。とってつけたような設定はいらんですから、どうせなら最初から最後までヤリつつ、しかし物語もちゃんと展開されているような、技ありの漫画を読ませて下さい。
[ 海外旅行から戻って以来、体調のすぐれない課長だったが……。 ]
世界の反応とズレまくりの課長・原田ペアのボケぶりがたいへんに愉快です。課長はともかく、原田はどうしたらあそこまで課長と同レベルのボケをかませるようになるのか……。まさにお似合いのカップルと申せましょう。
その原田君ですが、おずおずしているように見えて、ちゃんと男の子(というトシじゃないか)なんだなあ、とこれまた意外と少ないHシーンを見て思いました。
ところで、やはり課長は全裸のまま救急車で運ばれていったんですかね――?
[ 男狩りに出かけた絢だったが、思わぬ邪魔が入ってしまい……。 ]
うーんうーん、人間の倫理の外側に存在しているはずのキャラ達が、古い倫理観の物語の上に乗っかっているのがミスマッチというか、読んでいてちょっと気持ち悪いです。
個別に人間の中に埋没して暮らしているならまた別ですが、それなりに一族のコミュニティもあるようなのに、いまいち彼ら独自の流儀というか個性が感じられないのが、違和感を覚える一因かと。もうちょっと一族の文化や風習を詳しく教えてほしいところ。そーれーにー、こういう手垢のつきまくったネタの場合、何かしら新しいものを感じさせてくれないと、どうしても古くさい印象が残ってしまいます。
そうそう、子供は精を吸わないみたいですが、じゃあ何を食べて成長するんでしょうかー?
[ 事件現場で霊に襲われた亨二と優。亨二は必死で除霊を試みるが……。 ]
事件解決後、亨二が死に隔てられた恋人達に思いをはせ、自分達の“いつか”と重ね合わせる場面などは、なかなかいい雰囲気なのですが、ちょーっと前振りが長すぎたかな、というのが正直なところ。そして結局、寸止めなのね。床を乱打する優が哀れでございます(笑)
4/7にコミックス「やんなっちゃうくらい愛してる」発売予定。
[ 拓と紗聡は互いの声に惚れあっている仲。しかし、大学演劇界の人気役者でもある紗聡はスランプで……。 ]
カラー付き。
02年9月号掲載『セクシーボイスに腰くだけ』の続編。
相変わらず極端な二者択一を迫る展開ですのう。
今回は、紗聡に芝居第一を要求する演出家・後藤が熱烈恋愛中の二人の間に介入してくる訳ですが、紗聡の才能に対する後藤の熱意が狂信的で怖いです。拓と別れたからといって、即スランプから抜け出せるかといえばそうではなく、別れを紗聡が演技の糧と出来なければ意味ないのになあ。結局、いつも同じタイプのカップルの話になっているような。
[ 親戚の家で暮らしているウィルはいとこのケイトを公園で待っている時に、昼食用のホットドッグをペンギンを連れた怪しげな風体の若い男に食べられてしまうが……。 ]
カラー付き。
かなり久々な真東砂波は新シリーズで登場。
舞台はN.Y.。女ボス率いる何でも屋“TRASH COMPANY”にちびっ子が絡んで――と、大人グループに男女のガキんちょという組み合わせは、前作『FAKE』を彷彿とさせますが、新作では、ケイトの父親は実はイタリア系マフィアだったり、父の側近メルも活躍していたりと、更にいろいろな要素が加わっています。活劇的要素も強く、アクションシーンも楽しめそう。
ところで、ボーイズラブ的には誰と誰がくっつくのでしょうか……。
[ 先輩社員・広井と付き合っている安達六だったが、広井にちょっかいを出してくる客の富沢が頭痛の種で……。 ]
鍵屋もの。美人攻×16才受。
うーん、冒頭のドアを蹴破るシーンはインパクトがあってツカミはオッケーだったんだけど、その後、コマがぎゅうぎゅうだったのとキャラクターが大勢出てきた上に内輪な会話に突入してしまったので、ちょっと話に入り込みにくかった感じ。シリーズもので読者にももうお馴染みのメンツだったらそれでも問題ないんだろうけど、単発の場合はもう少し丁寧に説明してほしいところ。
効果音が活字なのも見慣れないせいか、違和感が。ちゅーか、手描きの音で雰囲気や感情を表している面もあると思うので、それが画一的な活字になってしまうと、絵の一部というより台詞と同じように“読んで”しまうので、手描き効果音の持っていた情報量が失われてしまうのではないかと。クールな表情と赤面顔のギャップが激しい登場人物達は少々過敏なハートの持ち主らしいので、バックはそのくらい無機質でもいいのかな。活字効果音にこだわるなら、もっとフォントの大小や種類にバリエーションをつけた方がいいと思いますです。
[ 警備会社に勤める佐治は性格の悪い竹内と共に、市議会議員の息子のボディガードにつくことになるが……。 ]
無鉄砲二人組。
危険を伴う仕事に従事する二人、というのは今も昔も大変においしいシチュエーションですが、佐治&竹内も、佐治に恨みを抱いて事務所に乗り込んできた男を返り討ちにする場面などは過激でとっても格好いいっス。
が、二人のラブストーリーの方はどうかというと、最初に互いの関係(ことに佐治のスタンスが)はっきり提示されないので、後で竹内が佐治の上に乗っかってきても、いまいち意外性も、待ってましたッというお楽しみ感も得られず、どうにも平板なまま終わってしまうのが残念至極。せっかくキャラがいいのに、もったいのーございます。本業でも大チョンボをやらかしてしまっているし、ここは是非リターンマッチで、ナイスな仕事ぶりとスリリングな二人のやりとりを見せて欲しいもの。という訳で、続編キボー。
[ 野球部の練習中に、学園を訪れていたOB宮川忍の眼鏡を割ってしまった玉置勇次は、お詫びの気持ちを示すために、チームメイトと共に宮川邸でバイトをすることにするが……。 ]
実業家×高校生。
ペンタッチが柔らかくなってきていい感じです。ラストが決まっていてグー。
案外とムード作りが上手いので、あまり道具立てに凝らずに基本的なboy meets boyストーリーでいった方が(boyでなくとも勿論良し)、いい結果が出るような気がします。何かしら特色づけようとして、こだわりの設定を導入するから自爆するのではないかと(大失礼)。
しかし、使われすぎて今ではお笑い設定になってしまっている台詞やシチュエーションをどの程度意識して話に投入しているのかが気になるところではあります。
一部シーンだけコマ外がベタになっているのはなにゆえ?
[ 周囲の人間の性格がまったく逆になっている世界に迷い込んでしまったことりだったが……。 ]
殊更に派手な出来事がある訳でもないのに、しっかり読んだ気にさせられるのは、きりっとした絵の上手さもさることながら、ことりと別世界の赤石のやりとりを通して、ちゃんと二組の赤石&ことりの関係を浮かび上がらせることができているからなんでしょうな。何を描いて何を描かないかについて、ちょっと考えてしまいました。
マガビー10周年に向けて盛り上がっているようですが、空回りしないように頼みます(暴言)。