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2002.12.02 (Mon)

『プライベート・ルームの恋人』 みなみ遥

[ バーで知り合った青年・羽鳥紘輝をセカンドハウスに連れ帰った竜崎翔。そのまま紘輝は翔のマンションに居ついてしまうが……。 ]
 巻頭カラー。
 H満載だし受は美人さんだしセクシーだし、薄味ながら切なさのフリカケもかかっているし、トータルではまあいいかとは思うんですが、攻がご出勤あそばされたシーンで、途端に何やらどよ〜〜んと萎えるものが。
 高層ビルの一角にオフィスを構える一流企業、若き実業家である兄が社長を務め、当然こちらも美人の男性秘書がそばに控えていて……って、いくら物語は現実に即している必要はないし、攻は金と権力を持っているのがあらまほしいといったって、何もここまで判りやすく嘘臭くしなくったっていいではないですか。どこをどうしたらこの兄弟が会社経営者に見えると? どうせ、この兄貴だって秘書とよろしくデキてるんだろー?と思ったら、BE・BOY GOLD 02年8月号掲載『blind』のお二人でした……。嗚呼。
 スーツさえ着せればビジネスマンになると思ったら大間違いでっせ、というのが率直なところでございます。

『セミダブルベッドで君と』 水上シン

[ トモこと広田友弘は、高校卒業後、同じサッカー部だった上坂利伸と一緒に暮らし始めるが……。 ]
 キャプテン×10番で、新米サラリーマン。
 せっかく二人暮らしを始めたのに邪魔が多くてなかなか甘い雰囲気になれないトモとトシノブ。でも二人でいれば、味気ない生活もとても素晴らしいものに感じられる――と、派手な展開はないですが、その分、細やかに二人の間の愛情を拾い上げていて、しみじみといい感じなお話です。日常感あふれるトホホな出来事も、ほのかな笑いを添えていてマル。
 Hも、体位や設定で頑張っている感じですが、それより気になったのが、何気に相手が暴れにくそうな態勢でトモを押さえ込んでいるトシノブ。実はかなり場慣れしてるんじゃ……? それにしても二人のナニの大きさは差をつけすぎかと(小声)。
 12月にコミックス2冊同時発売。

『Three Wolves Mountain-Baby,You are my home-』 直野儚羅

[ 太狼次狼らと墓場の巡回中、何者かに襲われた雪。翌日、気がついた雪は、二人が急用で実家に帰ったと知るが……。 ]
 カラー付き(2C)。
 墓守×人狼少年。BE・BOY GOLD 02年8月号の続編。
 ぬーん、他人の話を聞かないのは一族の血なのか、一家の伝統なのか、兎にも角にもそれぞれに強引な月原家でした。そして母最強。一番協調性があるのは太狼か……。(でも趣味悪いのか……。親公認で凶悪らしい彼女のご尊顔を一度拝してみたいですにょー。)
 ところで、「息子二人を雪に取られ父立場無しでいと哀れ。ま、それもしょーがないわな」と最初思っていたのですが、しかーし、次狼が雪に示した媚態には「どこでそんなことを覚えてきた! そんなふしだらな息子に育てた覚えはなーい!」と、つい父に成り代わり教育的指導をしてしまいそうに。普段あまり穴とか図示されても一向に萌えないのですが、今回の次狼くんのポーズはかなーり刺激的でございましたよ〜。確かに雪&次狼との同行を避けた太狼の判断は正しかったですな。
 それと、Zips本体表紙の二人は中身には関係ないので、念のため。

『悪魔な美神』 加山弓

[ 塚原紘治は、恋人の矢崎保が「セフレの中では一番淫乱だった」と彼の同僚から言われて……。 ]
 サッカー選手×スチュワード。BE・BOY GOLD 02年10月号掲載『対流圏より愛を込めて』続編。
 うーん、セフレと交わすカラダだけの快楽より、多少Hが下手でも恋人とのセックスの方がずっといいって話なんだけど、なんというか肝心の塚原×矢崎のHシーンがですね、セフレバージョンと恋人バージョンで大した差異が見えないので、いまいち話に締まりがなくなっているような。もっとくっきりはっきり矢崎の言動を変えさせた方が良かったんじゃないでしょうか。
 それにしても相変わらず日野原機長はタチの悪いやっちゃ。

『心の家』黒の騎士・3 剣解

[ 刺客に襲われて森に逃げ込んだ王子とジークは、王室出入りの商隊に拾われて無事に城に戻るが……。 ]
 平民×第三王子。
 何やら話が飛んでいるような気がしますが、3とついてるから3話目なんだろうなあ。
 『黒の騎士』(b-BOY Zips30(王子様特集))、『遠い夜明け』(02年BE・BOY GOLD 6月号)、今回、といささか接続が悪い作品。Zipsは読み切りが建前だから、今までの粗筋説明もなくて、初めて読んだ人にはかなり不親切な掲載となっているのではないでしょうか。作者のせいではないですが。というか、作者が一番大変だろうし、読者にとっても不幸なことなので、なんとかならんすかね>出版社
 で、敵の正体は不明なままだし、王の容態も本復とは程遠いようだし、まだまだ話は続くのかなー? 次はいつどこに載るのでしょうか。

『エア・キャッスル』 新田祐克

[ 映画出演のため、事務所に頭を下げにきた香藤だが、社長からキツい言葉をぶつけられ……。 ]
 春を抱いていた・23。
 『ダブル・キャスト』後の話。
 ズバズバと鋭い台詞を吐く女社長がたいへんに男前です。しかしどんな辛辣な言葉も、香藤はすべて自分と岩城の間のことに変換してしまうためちょっと報われない気も。本当に、岩城以外の人間にも悪かったと思っているのか?>香藤
 しかし、「その香りにつつまれてなんて最高だよ」なーんて言う台詞回しに私なぞは悶絶してしまう訳ですが、あー、カレー鍋の隣でAFをしてしまう香藤と岩城に脱帽。や、だって何か連想しませんか……。今更そんなことを気にするのがひ弱なのか……。

 ラブラブカップルにインタビュー&突撃!!隣の朝ご飯「スウィートホームへようこそ」は思った通り極寒企画でした。ああいう原稿って誰が書いてるのかな……。

 次号より、タイトルがZipsからLUV(ラヴ)に変更。第1号は「メロメロ特集」で1/18発売。

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2002.12.10 (Tue)

[雑記]卒業未定

 久方ぶりにb-Boy Zipsを読んで、ずいぶんエロ増強してきてるなあと思ったんですが、でも誌面で展開されるHそのものは激しかったものの、何というか、やおいセンサーが作動した時のような、脳細胞が一気に活性化するような衝動には駆られなかったな、というのが正直なところでした。
 そもそも、やおいが「ある人間関係を妄想によって読み替える」作業なのに対して、ボーイズラブというのは、女性向けにアレンジされた男同士の恋愛を描くものであって、妄想どころかそれが主題な物語なのですねー。あらかじめ二人が恋に落ちることが決まっており、そのことに馴れた世界です。そこではやおいの持つ「世界を変える力」は半減してしまいます。おまけに、ボーイズラブ作品も数多く描かれてきたせいか、最初は告白やキスぐらいでキャーキャー言っていたのが、今ではもう挿入へのショートカットがあるとしか思えない速さで、二人はデキあがってしまいます(*1)
 斯様にボーイズラブ作品は、こんなシチュエーションの話が読みたい、あんなキャラのHが読みたい、という読者の要望にかなり応えてきた反面、直截な描写の増加により、むしろ読者の想像力を刺激する力はどんどん低下してきているのではないでしょうか。
 一概にそれが悪いというつもりはありませんが、ただ、何だか更にエロ満載になりそうなb-Boy LUVの予告を見ていたら、Hメインの男男恋愛にばかり固執せず、むしろあまり恋愛を意識しないキャラ達とチラリズムによって読者の妄想を煽る方向に、ある意味逆進化してみてもいいんじゃないか、という気がしたのでした。
 ま、もっとも、この先どうなろうともボーイズラブ漫画を読むのを止める予定はないですがねー。萌えツボ一発で、すべて不問にできてしまうというのもこのジャンルの不思議な魅力の一つですしね。

*1: 尤も今回読んだb-Boy Zips35は、短編ばかり、しかも何らかの続編である話が半数以上ですが。
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2002.12.18 (Wed)

『SEX PISTOLS』 寿たらこ

[ バイク事故で九死に一生を得てから、急にモテだしたり周囲の人間が動物に見え始めたりしだした円谷ノリ夫だったが……。 ]
 巻頭カラー。
 新シリーズ。(かなり一応)高校生もの(高3×高1)。
 ヒトは人類と斑類に分類することができる――とボーイズもののお約束を遥かに越えた奇態な設定のお話。恋愛がどうこうという展開ではありませんが、設定の不思議さとキャラクターのユニークさでグイグイ読ませます。
 それにしても、動物的な設定だと、愛とか恋とかいうより交尾という印象が強くなってしまいますなー。攻めの諸君は、通常のボーイズものの彼氏たちよりよっぽど理性的に振る舞おうとしてくれていますが。特に注釈はなかったけど、斑目国政×ノリ夫だと猫又(外来種)×猫又(先祖返り)ということでいいのかしら? 人類(猿人)と斑類(犬神人、猫又、熊樫、蛟、蛇の目、人魚)とでは人類の方が優性遺伝するらしいですが、斑類同士での遺伝の優劣はどうなんでしょうか。次回はもっと斑類について詳しく教えてほしいっす。でもって不良系眼鏡スキーな私としては斑目ブラザーズの片割れにも再度ご出演を願いたいところ。
 次回5月号。

『金のカイン』最終回 あさぎり夕

[ 舜はカインを兄・圭一の入院している病院に連れて行き「もういない兄さん」という言葉の本当の意味を語るが……。 ]
 いやいやホント久々に驚きの最終回というやつでした。しかも、兄の生死と兄の本当の想い人の正体とでびっくり二倍。途中で急遽路線変更したにしてはうまいこと辻褄も合わせているし。本来予定していたラストはどういうものだったんでしょう。
 ただ惜しむらくは、これでHシーンがもうちょっと色っぽかったらなー……。

『異邦人〜エトランゼ〜』第2回 こだか和麻

[ 玄斗の末息子・留衣を預かることになった月哉だったが……。 ]
 ええとー、魔族の通例として生みの母が亡くなったらすぐ一族の寮に入って成人するまでそこで過ごすことになるようですが、おっ母さんが死ななかったらどうするんでしょうか。それとも魔族の子を産むと大概早死にすることになってるのかな。おそらく異種交配になるだろう人間や堕天使の場合はともかく、同族同士でもそうなんですかね。……って、もしや魔族ってのは、男性しか生まれない一族なんでせうか……?
 まあそれはともかく、子供を産ませると相手の寿命が大幅に縮む(その割にボコボコ子供を作っている)、性交を通して一族以外の者の精気を吸う(所詮、人間は魔族のエサ)なんて条件下では、彼らの持ちうる「愛」の概念そのものが、一般の人間とかなり異なってくると思うのですが、それにしては(エサである人間の死を悼んでしまう月哉はレアケースとしても)、若い絢も結局はベッタベタの愛情像を引きずっているようなのが、かなーり違和感ありました。人をエサとするのが自然なら、殊更「男狩り」とはしゃぐのもおかしな話だしなー。

『可愛いひと』後編 紺野けい子

[ 池内の気持ちを誤解したまま、新宿二丁目を目指した篠田だったが……。 ]
 とりあえず、物凄い瞬発力だと思いました>篠田の飛びつき
 この話は前後編でなく、やっぱり1本の読み切りで読みたかったかも。前編の終盤でたいへんに説得力のある池内の表情(喧嘩した翌朝、篠田にキスする場面)を見た後では、後編の篠田はただのお馬鹿さんにしか見えません。
 あと、この作者のボーイズものでは女の子が酷い目に遭うことが多いので、ラストの会話にほっと安心したりして。自分のあげたキーホルダーを外して、という彼女の方がずっといいコだと思いますですよ。

『山のお医者さん』 魚束ねる

[ 毎週、長時間かけて恋人の住む山奥に通う国分春幸は、吹雪に行く手を阻まれ遭難しかけるが……。 ]
 カラー付き。
 サラリーマン×精神科医。
 雪と老人達に囲まれた恋人たちのまったりした週末。『どらきら』とはがらりと趣を変えて普通の人間同士の話だけど、かなりゆったりした雰囲気なところは同じかな。ほのぼのしつつ、ちょっと色っぽくもあり、しかしあのオチにはどう対応すれば……。

『君主サマの恋のお相手』最終回 こうじま奈月

[ 学園祭当日。いよいよ生徒会演ずる「ロミオとジュリエット」の幕が上がるが……。 ]
 英語劇でアドリブ入れまくりとは大したもんです>侠吾&織人
 何だかんだいって、ロミオを途中で倒して劇を滅茶苦茶にする訳にはいかないんだから、それを承知で敢えて負け戦を仕掛けた侠吾はやはり“いい奴”なんだと思います。脇役の悲哀よの。それに比べて、どうしてキスでとどめておけないかな織人君。お守り云々のあたりはいい感じだったのに、もっとムード出してやれよー。それからそーにゅーしたからって所有権を主張できるなどとはゆめゆめ思わぬように。
 絵にしても心理描写にしても、随分とキャラクターに密着している印象があるので(でもってキャラが無闇にドキッとかビクッとか訳わかんねーよーとか騒がしいので、読んでて疲労感が)、もーちょっと全体的に引いて描いてもらえると年寄り読者としては体力の消耗を防げるかなー、という感じです。

『ファーラウェー』 日の出ハイム

[ 小さな田舎町に住む友井は、外に出ていくことを夢みていたが……。 ]
 高校生もの。
 扉絵にある通り、確かに叙情派かも。こういう漫画が載るとは、まだまだマガビーも懐深い。
 展開や場面転換など、かなりたどたどしいですが、それが却って味になっているというか、退屈な毎日が続く田舎の日常や外の世界に憧れている主人公の雰囲気ととうまくマッチしていい感じに。いわゆるボーイズ的なノリには染まってほしくないなー、そんなことを思わされる新人さんです。3月号に続編が載るらしいので、そちらも楽しみ。

『CUT』最終回 川唯東子

[ 千秋の部屋を義父が訪ねてくるが、何か様子がおかしくて……。 ]
 カラー付き。
 正直、刃物片手に義父が乗り込んできた時にはワイドショーのネタになるような事件に発展するかと思いましたが、案外あっさりカタがついてしまいましたな。ちょっと盛り上がりに欠ける感じ――なんて言ってはいかんのか。でも、千秋と雪村がキスしてる背後で、いつ立ち上がったオヤジがブスリとやるかとハラハラしてたんですが……、安手のドラマの見すぎでしょうか。
 関係ないんですが、雪村が千秋の義父に暴力を振るう場面、千秋が何か遠慮してるみたいに言葉でしか雪村を止めないのが、妙に印象に残りました。雪村が義父から離れた後でようやく千秋は雪村に近づくんですね。危ないと思ったら、タコ殴りにしてる最中だろうと、肩を掴んで引き剥がせばいいのになあ。結局、相手の行動に直接干渉できる程には、二人の距離は縮まった訳ではないのか……?とか思ってしまいました。その後の展開を見るにどうも杞憂のようですが。
 CUTのイメージがリスカから前向きなものに変わる終盤のシーンは美しく決まっていますが、本当のラストページは流石にくさいかも……。(すみません)

  • 『ムコ×婿!?』後編 絵がどんどん怖いことに。エイチの言葉は、ミサオの抱く不安に微妙に応えていないような気がするんですが。ミサオ当人が納得してるなら、まあいいか。
  • 『化学室へどうぞ』化学教師×化学部部員。隠れ鬼畜ですね、先生。「…今日は挿れません」って、じゃあいつ挿れるんですかー? 先生の豹変ぶりもすごいが、脇役筋(主人公兄と主人公級友)のくだりもかなり唐突。
  • 『隣人はアイすればいいのか』サボり魔×クラス委員長で高校生もの。うーん、もうちょっと話の展開に緩急をつけてほしいところ。オチはキレイ。

 クリスマスもまだなのに賀正と言われてもなあ……。

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2002.12.24 (Tue)

『告白〜confession』 直野儚羅

[ 勤労少年だと思っていた松美ヒロトから援助交際を持ちかけられた志水は……。 ]
 巻頭カラー。
 男やもめな課長×孤独な勤労少年。
 本当は互いに相手のことを想っているのに、互いに自分が相手の一番だなんて思いもせずに――という、ダブル切ない系なんだけど、うーん、双方の気持ちが同じように描写されているので、告白シーンで「二人の気持ちが通じ合って良かった」というより、何だか「意外性が無いなあ」という方向に作用してしまった感じ。ちょっと読んでて盛り上がらなかったです。二人とも同じようなマイナス思考の持ち主なのも一因かも。それにカチョー、冒頭のHシーンでのあまりな無表情ぶりはむしろ笑いどころですぜ……。
 とか言いながら、終盤のHシーンで若干強引な志水に鬼畜オヤジのニオイを感じて思わず萌えてしまったりするもんだからまったく度し難し。作者の人も大変です。

『DISTANCE』 国枝彩香

[ つきあい始めて半年たつのに、ますますつれない態度の秋本に不安を覚える慎也は、秋本が見知らぬ男と親しげに話しているのを見てしまい……。 ]
 カラー付き。
 大学生×美容師。02年9月号掲載『BLIND』続編。
 堅い。絵もストーリーも堅すぎる程に手堅い一作。ボーイズラブなんて素っ頓狂な話ばっかりなんだろー?という偏見を打ち破るのには最適の作品かもしれません。
 ――が。
 作者に一つだけ質問することが許されたなら、私はこう尋ねたい。「先生、この話の慎也といい、未来の記憶シリーズの熊谷といい、ドングリまなこで大柄で、純情一途だけど遠慮とデリカシーに欠け、男同士には疎くてでもベッドに入るとちょっと野獣、なこの手のタイプが、実は先生のツボなんですか〜〜〜!?」
 答えがyesなら泣く泣く諦めましょう。しかしそうでないのなら、たまには三鷹×秋本チックな話もお願いプリーズ。

『曝露写真』 星野リリィ

[ 男に押し倒されている写真が教室の黒板に張り出されていた笠木。相手を問いつめる牧村だが、笠木に、相手は牧村と答えられて……。 ]
 クラスメイトもので受け主導。
 受の心情に関わりなく相手がいわば勝手に欲情するのでなく、あくまで受が相手を欲情させている、とでも言いたげな牧村の「男が欲情する身体なんだろ?」という台詞に違和感を持ったのですが。
 で、オチなんですけど、あー、嘘で陥れてまで牧村と関係を持ちたがった笠木の態度を、卑怯ととるか必死とみるかどちら?と聞かれたら。6:4ぐらいで卑怯さに旗を上げてしまいそうです。(すんません)
 ところで時々、笠木から出ているキラキラしたものは何なんでしょーか。

『片想い』 西田東

[ 代理で出席した会合で、男に誘いをかけられた中西は思いきり相手を拒絶する。翌日、彼の前に篠原と名乗る昨日の男が謝罪に現れるが……。 ]
 畑違いのリーマンもの。
 基本的には、結婚を控えた同僚に片想い中の強面室長・中西にノリが軽くて懲りない他社営業・篠原がアタック、という組み合わせなんだけど、心理面での貸し借り(というか傷つき傷つけられ)が微妙にシーソー状態で、スイッチ一つで切り替えられる訳じゃない感情の揺らぎを巧く描き出しています。キャラクターが無言のカットが今回割と多かったような気がするのですが、これまた微妙に表情が描き分けられていて、いくらでも深読みできそうです。
 虚しくないセックスに辿り着いた二人のHシーンは、こういっては何ですが、萌え萌えというよりしみじみと味わい深いっす。あと、眠りに落ちる寸前の中西の顔が、子供みたいでとても可愛かったです。(などと本人の前で言ったら殴られそうだ)
 ただ、受け攻めがあまり重要でない話なので、そこがいいとも言えるし、それが曖昧なのはイヤという人にはお勧めできないとも言えるかと。

『靴下の穴』 山田ユギ

[ バイト先で遅刻常習犯の石川は、毎朝、仕事熱心な島田チーフに叩き起こされるハメになるが……。 ]
 上司×バイト。
 主人公の石川が覇気がないというか、半分眠っているような挙動のキャラクターなので、全編を通じてダウナーな雰囲気が漂っていますが、なかなかこれはこれでいい感じ。すべての人が惚れたはれたでドキがムネムネという恋愛をする訳じゃないんだから、こんな、ぼんやりと独白するような告白も有りでしょう。
 (石川の夜のバイトにうっかり萌えてしまったのは内緒だ)

『散財エクスタシー』後編 鹿乃しうこ

[ 相生に部屋を追い出された河井は、一人で誰かをカモろうと訪れたゲイバーで鏑木と再会するが……。 ]
 カラー付き。
 うううーん。何か焦点がブレてしまったような。相生―鏑木間の過去の出来事が浮かび上がってくる分、肝心の河井の存在が霞んでしまった感じです。河井―相生間が台詞先行というか、具体的なエピソードより、曖昧な会話のままに感情のやりとりをしているので尚更に印象が弱いのかもしれません。前後編でなく読み切りで一気に読みたかったかも。
 3月新刊発売予定。

『犬を使う男の友人』 猫田リコ

[ 腐れ縁の友人・虎田から突然、少年を預けられた龍川は困惑しつつも少年を家においてやるが、少年は口をきく気配すら見せず……。 ]
 龍川を突き動かしたのは、“犬”こと犬井少年自身への愛情というより、犬井と虎田の間にある絆や犬井の向こうに見える虎田の影への嫉妬なんだろうなあ。無論、龍川は虎田に恋愛感情を抱いている訳ではなく、そこにあるのは、他人は自分ではない誰かを選ぶ、という厳然たる現実へのどうしようもなさとかそんなもので。
 ここで龍川が犬井を陵辱しーの本気になりーの、とかなってくると、いにしえのJUNEチックなんですが、いいところで邪魔が入ってしまうのが間抜けなところ。その後明らかになる、豪放磊落な虎田のキャラも、虎田に対しては憎まれ口叩きまくりな犬井の愛情表現もいい感じで、ここ最近のこの作者の漫画の中ではかなり好きな部類ですねー。虎田にしがみつく犬井の顔が見たかったなあ。
 だが……、二人のラブラブシーンをずーっっと見ていたのか?>龍川  さすがにそれは悪趣味というものではないかと思うのですが。それに、犬井の態度に元彼女の態度を当てはめるとすると、彼女の心の中にあるのは前の彼氏ということになってしまうのではないかと愚考するのですが。まあ、ガンバレ。
 絵がシャープで綺麗です。

『真冬の奇跡』 青樹糸忽

[ クラスメイトの片倉に片想い中の弥久保薫は、子供達がいじめていた奇妙な生き物を助けるが……。 ]
 高校生もので、掟破りの女体化もの。(ベッドの上で薫がバスローブ姿のままなのは、一応読者に配慮してなのか……?)
 何か安直……?と思いながら、メリハリが効いているのでつい乗せられて読了。薫の内心描写がお茶目だったり、あまりに現金な片倉の反応とか、笑いどころが多いっす。でもでも、せめてあと2ページ増量してめくるめくエロな世界を堪能させて欲しかったなーなーなー。(エコー)
 1/27コミックス「そんな君と僕だから」発売予定。

  • 『スタディ マン』家庭教師×受験生。先生の豪快な変人ぶりはたいそう愉快でしたが、それだけに先生が自分の気持ちに気づくシーンではもう一捻りほしかったところ。
  • 『ハウスボーイ・ワタル君 2』(カラー付き) 02年11月号の続編。なかなか純愛だったかも。それはそうと私に瞳慈の部屋をどうこういう資格はありません。ワタル君、掃除に来てください。
  • 『愛 戦士〜LOVE WARRIOR』 近未来もの(*1)。バッ、バカ漫画……。(←限りなく褒め言葉に近い罵倒の言葉)

 ゲイビデオのレポ読んでいつも思うんですが、イケメン兄ちゃんズがイカされるビデオは沢山あるようですが、突っ込む側がメインに回るってことは無いんでしょうか。やっぱりイカされるのを観賞するもんなんですかね。(絵的にも撮りにくいしなあ……。)

 [目次一覧] [感想一覧]

*1: 嘘は言ってない嘘は
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2002.12.28 (Sat)

[雑記]使用率5%

 先日、レンタルサーバー会社に契約更新の手続きをした際、ふと思いついてファイルの容量計算をしてみました。
 私が借りているのはサイト領域80MBなのですが、実際に使用しているのは、ええっとー、4MBだけ、であるということが判明。何ていうか、体育館の片隅にミカン箱を置いてそこでごそごそやってるようなもんでしょうか。来年は、もっと更新に精を出そう!と誓った一瞬でございましたよ、ええ。まあ、心は毎月入れ替えてる(つもり)なんですが。おかしいなあ。

 さて、東京国際展示場はコミックマーケット63に行ってまいります(一般)ので、今年はこれが最後の更新となるやもしれません(*1)
 2002年はどうも有り難うございました。明年もまた当サイトに足をお運びいただけると幸いであります。

 寒さ厳しき折ですのでくれぐれもご自愛下さいませ。

*1: まあ、単独行なので、夜、ホテルの部屋でちまちまゴールドの感想を書いているかもしれませんが。サミシー。
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