[ 中学の同窓会で20年ぶりに再会した内藤と小林。話のはずみで離婚経験有りの淋しい独り者同士、一緒に暮らすことになるが……。 ]
巻頭カラー。
予備校講師×会社員。30代。
一生を誓って終わるBLものは多いですが、大抵はやはり10代20代の話で、いまいち年を取った二人の肖像を脳裡に思い描くことは難しかったりします。でもこの話を読んで、落ち着いた30代の恋愛もなかなか乙なものでゴザイマスネ、と再確認(*1)。
それといつもながら、大の男が挿入される側に回ることを納得する描写が上手いですわん。
12月にコミックス発売予定。
[ むさい刑事の有働(39)は、ことあるごとに馴染みの食堂の跡取り息子から迫られていたが……。 ]
年下攻めのオヤジ受け。
デカイ図体の男二人がどったんばったんと、ちと暑苦しげ。しかーし、眼鏡でちょっとキレてて、けど甘ったれな英介も、ヘビースモーカーで万年床にお住まいで、いかにも無骨そうなオヤジの有働も、キャラ的にはたいへんにいい感じです。有働が、それで英介の気が済むならと、彼を抱いてやろうとするシーンなぞ、アンタ漢だね!と諸手を挙げて歓迎したいような展開なのですが、それだけに逆に英介に攻められた有働が感じすぎてすぐに涙目になってしまうのがとても残念。いや、オヤジ受けなのはそれはそれで一向に構わんのですが、すぐにアヘアヘ言わんと、ここは余裕の対応をしてほしいのですよ〜〜。
ところで英介のとーちゃんって何気に懐深いですね。苦労人だからか?
[ 学校をサボって遊びまくっていた結城秀一は、父親に強制的に田舎の高校に転校させられてしまうが……。 ]
カラー付き。
高校生もの。
都会派な結城と、彼に熱く熱くつきまとうアナクロ高校生・黒金光の対比がとても愉快です。ベタな中にもギャグとほのぼのしたところがほどよく同居していて、何だか愛着のわくような話に仕上がっております。黒金からの手紙を、赤面しつつ見やる結城の表情が印象的。
[ 恵介は、成績向上のために家庭教師をつけられるが……。 ]
01年11月号掲載『ハッピーなエンド』続編。家庭教師×高校生。
初めて読んだ時の感想は、家庭教師の行為が悪意のある好奇心からにしか思えなかったのと、恵介が彼の言いなりになっているようにしか見えなかったので、かなり最悪でした。結構気が強そうな恵介がいったいいつ卓袱台返しをするんだろうと思っていたのに、何だか、なあなあで終わってしまったし。
「いやよいやよも好きのうち」を曲解、あるいは強弁して成り立っているBLもあまたありますが、一応それらの話はそこに愛情(もしくは強い執着とか)があるというお約束ごとの上に成立しているので、あからさまにセクハラな話では嫌悪感が先立ってしまうのですな。
が、かなり時間をおいて読み返してみたら、当初のようなイヤーな感じが薄らいでいたのに我ながらびっくり。
家庭教師の人は実はホモの人でそれなりに恵介に気があったのかも、とか、彼の行為を嫌がりながらも恵介がありがちなホモファビアな言動を示さないのは、自分の身内にホモがいるからなのかなー、とか(恵介の双子の兄、佑介も「恵介はホントはいい子だよ」と言っとったし)、恵介が家庭教師のリクエストに応えて学ランを着てみせたのはまあ一応勉強で世話になったからなのかなー、とか、いろいろ読み替えが行われたようです。登場人物の感情の起伏があまり表に出ないタイプの話を読むのはむつかしゅうございますな。
更にこの続き……はあるのかな。読みたいような読みたくないような。
[ 住み込みハウスキーパーの鹿内ワタルは、今の雇い主で小説家の佐々崎がどうやら担当編集者の山田に片想いしているようだと気づくが……。 ]
悩めるダンナ様×さすらいのハウスボーイ。
うーん、作者はこの話をどういう趣旨で描いたんだろう。佐々崎×山田は割と純愛、佐々崎×ワタルはバカ系、全体的にはワタルの一本ネジが外れたような性格のせいでスラップスティック、そのくせ話自体は淡々と進んでいくという、どうまとめていいか判らないような雰囲気の一作です。おまけに癒し系だし。やはりこれはギャグなのかしら……? ワタル君も頑張っているとは思うけど、エッチシーンの突き抜け度では『レッスン-2』に一歩及ばず。それと、ダンナ様にかかった呪いの具体的なところがイマイチ判りませんでした。
[ 美少年の一二三(ひふみ)に付きまとう不良の奈良文、というのは実はまったくその逆で……。 ]
カラー付き。
高校生もの。
毎度毎度ひねくれた愛情関係を描いている作者だけど、今回もちっとも素直じゃない関係ですな。ワガママ大王な一二三に振り回されっぱなしな奈良文の薄倖ぶりが笑いを……訂正、ナミダを誘います。ただ表情豊かな奈良文が、エッチの時には表情の読めないクール顔になってしまうのにちょっと違和感が。あと、「れっかのごとくはなさない」とか「生半可なく」なんて妙な言い回しは故意にやってるんでしょうか?
も一つ、なんでかところどころコマを読み飛ばしてるところがあるなーと思ったら、この漫画、コマとコマとの間に空きがないんですね。前からそういう描き方だったかしらー? (横に細長い空間って、脳内で自動的にコマ間の余白として処理されるようです。ちなみに読み損なっていたのはいずれも、上下を大きなコマに挟まれ、背景がトーンで、目立つ活字台詞がないコマ。)
[ 桜井家三男の睦は血の繋がらない長兄・真希に恋心を抱いていたが……。 ]
カラー付き。
血縁関係のない兄弟もので年下攻め。
初めて睦と真希が抱き合う場面は、睦の必死な心情が表れていてなかなか切ないです。「好きならガマンして…… 頼むよ…」なんて睦の台詞も、勝手な言い草ではありますが、そりゃ攻め側はともかく受け側が最初からキモチイイ訳はなく、簡単にアンアン言ってしまう展開に比べれば、これはこれで有りという感じ。
乱れがちな絵が今回あまり気にならなかったのは、ギャグタッチな絵が多かったからかしらん。複雑ながら大らかな桜井家は居心地が良さそうです。荒れる三男坊から食卓を死守しようとする桜井家の面々が笑えました。
笠井あゆみのイラストは表紙部分だけでは判りにくいのですが、一枚絵として見ると結構ドラマチックですねー。
漫画家や話のトーンによって、かなり自在に脳内で前提条件やお約束ごとが変動しているんだなあ、と思うことしきり。
[ 元No.1ホストの菱谷忍は現No.1ホストの安芸純佑と同棲中。純佑が切り出した真剣な問いにたじろぐ忍だが……。 ]
巻頭カラー。
01年12月号の続編。
1回1回の話が濃いので、二人の関係がまだ形を取りはじめたばかりだというのをすっかり忘れておったですよ。カラダの進展具合と心の繋がりは別物なのでした。
ちょっとツッこんだ話になると忍の腰が引けてしまうのも無理はないというか、多分、純佑の目に映っているより忍は臆病なんでしょう。真意を質すために相手を追いつめてしまう純佑の態度も判らないではないですけどね。しかし、やはりここは二人の脇で黙々と着替えたアヤコさんに是非インタビューしてみたいところ。理解ある女性で良かったねえ。客に甘えてんじゃねーよぅ。
ところでホスト業界にはてんで疎いのですが、イメージ的にホストが客と寝るのも仕事のうち、という印象があるのですが、それも浮気にカウントされてしまうのでしょうか。それはちょっとキビしいですねー。
[ 香藤を起用するかどうかで意見が対立する選考会議だったが……。 ]
春を抱いていた・22。
ううううううむ。結局、草加役は香藤に決定ですかい。つーか、こうなることはハナから決まっていたというか、まあ事前に予測がついていた訳で、どうやってそこに話を持っていくかというところが読ませどころだったと思うのですが、あー、確かに香藤も熱演を見せてくれたんですが、なんつーかですねー、作中に描かれる原作者の強い意向とか結局は香藤起用に全員がいそいそと賛成してしまうあたりに、作者の自キャラ萌えが透けて見えるようで、オーディションそのものが茶番と思えてしまう危険性がないではないというか、つまり3話もかけて結局これじゃあただのデキレースじゃーん、と思ってしまったのでした。みんながみんなOKを出すと嘘くさくなってしまうんですよー。
という訳で、ちょっと不完全燃焼気味だったのですが、そんなこと、どーでもよくなってしまうようなラストシーンに眩暈が。自宅車庫で疑似青姦ってなー……、この脱力度はもはや破壊的です。ええい、このバカップルめ!(個人的には、岩城の足を抱え上げながらの「よいしょ」という香藤の台詞がたいへんほのぼのしていて宜しいと思いました)
で、最後まで読んで思ったのですが、今回のタイトル「ダブル・キャスト」って、まさか受・岩城に対してのダブル・キャスト(長髪香藤と短髪香藤)って訳じゃあないですよね……?
[ 京の五条大橋で遮那王と出会った武蔵坊弁慶は、長じて源九郎義経と名を改めた彼に付き従うが……。 ]
カラー付き(2C)。
時代物。頼朝×義経で、弁慶×義経。
うーん、46頁あってそれなりに読み応えもあるんだけど、でもやっぱり思いっ切り「話はこれから」って感じです。続きはあるのかなー? あと読み切りなんで、どうしても時代設定や人物関係について説明的になってしまうのは仕方ないかな。それらをストーリーそのものに物語らせるには少なくともコミックス1巻分ぐらいは必要だろうし。ただ、衣装などをそれらしく描いても現代的な髪型のせいですべてがおじゃんになってしまうというのは時代物漫画(ことに和物)の宿命でしょうか。
血塗られた者と扱うことで頼朝が義経の心を傷つける場面、搦め手から攻めるのが上手い兄者ですのう、と思いましたが、しかしそれで傷つくというのは武将として、また当時の人間のメンタリティとしてどうなのかなーという気もします。
[ 政は、るり子との縁談の件で橘邸を訪れるが……。 ]
なんだか水戸黄門みたいですな、今回の政は。「お互い坊には弱いって事です」と言って解り合う政と中谷がひっじょーにヤラシイです。しかし……、政ってばあんなに脅しつけて、あれでるり子の交際相手が降りてしまったら、どうする気だったんでしょうか。責任とって結婚? それで終わったら凄い最終回ですな。
まあこれで橘組の恋愛トラブルも決着がつき、付随して政の見合い話も御破算、佳は佳でいつの間にか男に襲われたトラウマを乗り越えているようだし、政と佳が関係を進めるのに何の支障もなくなった訳ですが、そう簡単にラブラブでエッチな展開になったりは……しないんだろーなー。
[ 過去の夢にうなされるクリスだったが……。 ]
アヤ、クリス双方の過去が次第に明らかになってきましたが、過去を引きずりながら生きる二人の間に芽生え始めた絆を見るにつけ、上手いタイトルをつけたなーと思います。
連載にしてはページ少な目、台詞も控えめな感じで、絵にすべてを語らせようとしているためか逆にコマ割りがちょっと多めになっているような。それが独特な間を生んでいますが、正直、もっとガツガツ話を進めてほしいと思わないでもありません。
[ 免疫不全のために屋敷の外に出られないアーサーは、人形師である兄に、性能の良いセクサロイドを寄越してくれるよう頼むが……。 ]
カラー付き。
洋風近未来SF(なのか……?) 坊ちゃん受け。
二段オチ。ストレートな作りにしないところに、なーんか作者の深い意図がありそうで、少々落ち着かない気分にさせられます。
本当の弟なら自分と寝たがるはずがない、と言いながら、我慢しきれずにアーサーと寝て機能を停止させてしまい、そしてまた弟を模した精巧なアンドロイドを作る……というラフウッドの心理も複雑ですな。一体これまでに何人の“アーサー”が存在していたのやら。
それにしても、ミズ・ハミルトンの「体細胞のストックもまだまだある事ですし」っつー台詞は悪趣味だと思いますです。
みんな顎が細すぎです。固いものをよく噛んで食べましょう。
[ 月哉と玄斗は人間の精気を吸って生きる人ならぬ身。人間達の間に立ち交じり永い時を渡ってきた彼らだったが……。 ]
巻頭カラー。
人外系。「JUNK!BOY」01年ふゆやすみ号掲載『愛人〜ラ・マン〜』の続編。
うーん、前作を読んだことがないのでいまいち断言できないのですが、連載第1回目というよりは古い話の後日談といった趣の強い話。回想から始めるというのも一つの手かもしれませんが、ここは新連載らしく、以前の話はすっぱり切ってしまっても良かったんじゃないでしょうか。今回の話に出てきた人達は次回以降も活躍するのかなー。
[ 南条先輩とのことが気になって、取材活動にもさっぱり身が入らない佐田。大事なカメラも無くしてしまう有り様で……。 ]
8月号の続き。シリーズ最終話。
何気に南条父が小綺麗になってきたような……。
それはともかく、佐田のぶかぶかトレーナー姿を見た、南条の呆然とした顔が忘れられません。
ところでですね、いくら「やるときゃやる男」であっても、ソレ(日頃の行い)とコレ(H方面の耐久性)は別物だと思うんスが。落ち着け南条。
しかーし、肝心の本番シーンでは、いきなりショタチックになってしまったというか、服を脱いだ佐田がですね、チビでも一応高校生のはずが、子供――というよりは幼児のようなむっちり体型だったのが個人的に残念でございましたのコト。
これでこのシリーズはお終いだそうですが、毎回完成度も高く楽しく読ませていただきました。そしてスクープという文字を目にするたび「スクープくん」(*1)が脳裡をよぎったことを最後に告白しておきます。
来年、描きおろし付きでコミックス発売予定。
[ 織人との関係に素直になれない隆也。そんな折、練習中の生徒会劇では梓がジュリエット役を降りることになり……。 ]
ほっほー、「直に身体に訊いてやる」なんて大層な台詞ですが、織人君、隆也を無理矢理イカせて、どうしてそんな方法で答えが得られると思うかな? もし隆也が勃たなかったらダメージ100倍返しだろーに……じゃなくて、どう考えてもあれは八つ当たり、相手への暴力以外のなにものでもないので、猛省するように。キミが傷ついた顔してる場合じゃありません。
確かに侠吾の言う通り、隆也も自分の中の織人への気持ちから逃げている節がありますが、それももとはといえば織人の強引さが一因となっているのだからして、ここは逃げ腰になる受けを甘やかしてやるのも攻めの度量の見せどころと心得てゆったり構えてほしいものですが、まだまだ青い織人にそれを望むのは無理なことなんでしょうなあ。
メインキャラ双方がじたばたしているので、結構読んでて疲れるものが。せめて視覚的にはもっと空間を生かした構図にしてほしいかも。ちょっとギュウギュウです。
次回最終回。
[ 夜の公園にいた雪村を連れ帰った千秋。千秋の渡した葉書を前に、雪村は生い立ちを語り始めるが……。 ]
これまでの連載はそれなりに奥行きのある世界を形作っていたのに、どうも今の連載は話が小さく感じられるのは何でなんだろう?――と首を傾げていたんだけど、千秋と雪村の気持ちが通じ合った今回は、ちょっと空間が広がった感じ。二人とも、今までは閉じた自分の世界の中にいたから、話そのものも閉じた感じがあったのかな。雪村が傷痕の残る自分の身体を千秋の目に晒す場面が印象的。
次回最終回。
[ 池内に気安く話しかける女の子が気になる篠田。ささいなことから池内と喧嘩してしまうが……。 ]
カラー付き。
高校生もの。後輩×先輩。コミックス「可愛いひと」続編。
んむー、気持ちは判るが、確かにウザいです>篠田さん
健気を軽く通り越して、自虐というか自縄自縛というか、何でそんなに自分を低く見る癖がついてるのかなー。いっそ池内が傲慢系だったり支配者的だったならいいのかもしらんが、生憎とそんなタイプではないし。以前、気持ちが変わった時点でそれまで付き合っていた彼女に即別れを切り出した池内が、ずっと篠田と付き合っているのはどういうことかちょっとでも考えてみれば、池内の気持ちなんか簡単に判りそうなものなのになー。はてさて、今後どうなるんでしょうか。
それはそうとして、皆さん、鼻の下が伸びすぎだと思います。
[ 兄がカインの恋人だったと知った舜は、兄が死んだ理由をカインに話すが……。 ]
何だか、派手そうなイベントが立て続けに起きる割には、話そのものはいまひとつ盛り上がらない感じ。舜とカインのシーンが台詞先行で、実際には話が小刻みにしか進行していないからかな。奔放なカインのキャラクターがやや自由度が下がっているようで、ちょっともったいない感じ。実はカインってかなり真っ当なキャラなんじゃないかと思い始めた今回ですが(無礼者)、舜の方は、“その爪で僕を引き裂いて”等、あまり形容を重ねられると、真実罰せられたいというより、与えられる痛みによって自分が安心したいのでは?と邪推してしまうです。
次回最終回。
[ オリバー銃撃犯の捜査を進めるコーキ達。一方、アーチャーはバビロン私設更正院を脱走することを決意するが……。 ]
生きる意味なんて曖昧なものはなくて、ただそこにあるのは生き続けようとする意志だけなのかもしれない。そんなことを思わされるアーチャーの言葉でした。
しかし登場人物が増えてくる時期に掲載が不定期だと、次まで人間関係を覚えておくのが大変なので、次もなるべく早く載せてほしいところ。一気に読めるなら、むしろコミックス描きおろしでも構わないのですがねー。
[ 横取り屋ゴウ&タキ、今回指定された獲物は銃。早速二人はターゲットにコンタクトを取るが……。 ]
珍しくドジを踏んだ話だったせいか、地味目な展開。悪者役の木田がパッとしない男だったせいもあるか。
さてさてゴウとタキの関係はどんどん縮まっている気がするのですが、果たしてゴウが本懐を遂げる日は近いのか遠いのか……。
[ 人気官能小説家・椿の次の原稿は何とSM小説。挿し絵担当の知春はイメージを掴むためSM倶楽部に取材に出かけるが……。 ]
体験取材が出来て良かったじゃなーい、なんて言ってはいけないでしょうか。しっかしですな、今時知春みたいな純朴なキャラクターは天然記念物に指定したいくらいですね。椿が知春を弄って遊びたくなるのも判ろうというものですが、知春が椿に感じる恋心というのは、思いがけない過激な経験に思考回路がショートしたとしか……。
で、何で、如何なる場面においても眼鏡を外さないのでしょうか?
表紙が男女カップルに見えまする。