[ 色町で死んだ父の仇を捜して橘屋を訪れた桂木右京は、店の前で倒れてしまうが……。 ]
巻頭カラー。
なんちゃって時代物。
うーん、世間知らずの右京は遊郭の亭主・炎雨に他愛もなく騙され、いろいろ仕込まれてしまうものの、炎雨の寵愛を受けて客は取らずじまい、そもそも右京を見世に出したのも逐電した弟をおびき寄せる為で――と、男娼ものというよりニアピン止まりの作品。
エロい台詞もあるけど、状況に対する右京の反応がお手軽すぎるので、あまり感じるところのないライトなエロ漫画、という印象が否めないかなー。どうせなら、姫泣き輪をご使用あそばされて、もっと濃ゆいHシーンを繰り広げた方が少しは記憶に残る話になったんじゃなかろうか。もっともそれはそれで、エロ漫画からエロエロ漫画になっただけという気がしなくもないけど。
[ グループを一流企業へと伸しあげた藤堂は、機嫌を取ろうとする業者から『ローズグレイス』という美少年を紹介されるが……。 ]
ハッピーヤローウエディングシリーズ等にご出演の藤堂父、若かりし日の物語。
うーん、曲者同士の邂逅にしては解り合うのが早すぎというか、やや安直な感触。もう少し意味深な会話を楽しみたかったです。
あと、ラストの「誰とも会ってませんよ」(ローズグレイス)という台詞は、親しく自分から連絡を取りたいと思う恋人のような相手はいませんよ、ということなのかな。一瞬、無人島にでも住んでるのかー?と思ってしまいましたなり。
[ 娼館で客をとっている“夏いろ”は、オーナーの息子に密かな恋心を抱いていたが……。 ]
幼馴染み系身分違いもの。
ぬーん、リアルだと美少年が美少女風ななりをして客をとる、というのはそれだけで倒錯性が生まれてくると思うのですが、漫画だと、キャラクターの地と化けた後のギャップを少しなりとも見せてくれないとイメクラは難しいかも……。
つーか、夏いろは素のままで女のコなので、ボーイズラブというより、ただのロリに見えますです。
[ 城戸家次期当主の雪之介は、家臣の竹内藤十朗に身分を越えた想いを寄せていたが……。 ]
家臣×若君。
雪之介と藤十朗の身分違いの恋も切なくていいですが、一計を案じて二人の間を取り持つ陰間茶屋の主人・惚左が実にいい味を出しています。
しかしこの間、マガビーに掲載された漫画でも疑問に思ったのですが、Hシーンで一部ページだけコマ外を塗りつぶすというのはいったいどういう意味があるのでしょうか……? それと時代ものなのに、インポという言葉をつかうのは如何なものかと。
2/28にコミックス「罪人のキス」発売予定。
[ 組織の元で一流どころを相手に売春しているジョンだが、マネージャーにクリスがついてから仕事に身が入らず……。 ]
マネージャー×商品(男娼)。
一番、今回のテーマに添っているのはこの話かしらん。しかし西田漫画なので、若干トウが立っております。よれよれのジョンにときめいてしまいましたわ〜。
始めは軽口を叩きながらクリスを誘っていたジョンが、物語の進行にしたがって次第にシリアスモードになっていく様子は痛々しささえ覚えるようです。今までにない大ゴマで描かれたジョンの表情がたいへんに印象的。
んで、美しく決まった反面、微妙にクリスの身体的問題を回避したラストとなっている訳ですが、やはりあれは暗黙の了解ってヤツなんでしょうか、それともあくまでクリスはそのことには触れないつもりなんでしょうか。ちょっと気になってしまいました。や、だって、一度ジョンの前から逃げるように姿を消した身にしては、随分堂々とした態度だなあ、と思ってしまったもので。開き直ったか、ボスの後押しとかあったんですかねー。クリスから居場所については口止めを頼まれていたものの、あまりに沈み込んでいるジョンの姿を見て「べそべそして鬱陶しいから何とかしてやれ」とか何とか電話の一本もしてやりそうじゃないですか、あのボス。ただ、あの人、「…バイバイ、ジョン」というキャラクターかいな、とそこだけ違和感を持ちました。「あばよ」とか「じゃあな」とか、そっちの方が似合うと思うんですが。
[ 幼馴染みの来栖未那(くるす・みとも)が趣味と実益を兼ねて同性相手に援交をしていることを知った藤堂俊介は……。 ]
幼馴染みもの。
いやー、毎度ながら、このはじけっぷりには言葉を失ってしまいます。今回は特に、ある意味ジェットコースターラブとでも言いますか、理屈を越えたノンストップストーリーなので余計にその感が強いですな。強烈なドライブ感がクセになりそうで怖いです。
でもなー、俊介が本当に“誰よりも未那が純粋で自分に素直な奴だってコトを…”理解していて、だから未那のことを好きなのだったら、“未那は自分専属!”みたいな相手を束縛するようなことは言い出せないような気がするんだけどな。無理矢理未那に突っ込もうともしたりするし、どうも信用できんです>俊介
そいでもって俊介って、てっきりニキビ出来すぎのブツブツ顔なのかと思ってましたが、あれは赤面アセアセ顔だったのですな。
いつもアンソロジーのタイトルの付け方は上手いと思うのですが、特集と内容とがマッチしているかと言えば微妙なところかと。
結局、純愛で受けが大事にされる話が多かったですな。もうちょい手練手管に長けたキャラクターが出てくる話を期待していたのですが。
[ アンドロイドのナイトは、主人のダンデライオンに命じられて、助力を求めてきたグッド・ハートと共に彼の屋敷に赴くが……。 ]
アナログ調近未来もの。人間×アンドロイド。
アンドロイドを制御する“エンジェル・ハイロウ”の秘密を暴きにかかるグッド・ハートが大変に人でなしな野郎で、絶対嫌な奴だと思うのに、その徹底ぶりに目が離せません。目的を達成するためには、己の抱く好意も踏みにじってしまえる容赦のなさが……魅力的、でございます。
ただ、ナイトがやすやすとグッド・ハートに組み敷かれてしまったのが、ちょっと残念……というか都合が良すぎだと思うので、ナイトが抵抗したくても出来ないような、アンドロイド版ロボット三原則のような縛りがあると一層エロっぽくなったかも。
それと、一箇所背景に夜景のスクリーントーンが貼られていたところがあったんだけど、折角の非日常的雰囲気が壊れてしまうので、できれば手描き背景で統一してほしかったところ。
[ 王子のクリスと駆け落ちしたアレックスがシンガポールに落ち着いて半年。アレックスはクリスの友人達に紹介されるが……。 ]
むむ。おハイソっつーか、カスミを食べて生きてるような恋人達ですな。
アレックスとクリスの友人・アラムの、探り探られ誘い誘われ〜な意味ありげな会話は相変わらず上手いっす。この作者の場合、具体的な行為より、ちょっと思い切った台詞でエロっぽさを匂わせる方が私は好みです。
それにしても、様々に使われてきた手とはいえ、別々の場所でしかし恋人達が同じ台詞を口にするというのは、二人の絆を強調するのには最適の手段ですな。
[ 施設出身の蓮は人気アイドルのソウヤこと実は蓮の幼馴染みのアオと一緒に暮らすことになるが……。 ]
芸能界絡みもの。
ううう、蓮の言動が青いというかピュアというか、ストレート過ぎてちと甘酸っぱいキモチにさせられますです。いや、出会いや家族を大事にするというのは大切なことなんですけども、ホント。
だがなー、新進気鋭の脚本家として登場した黒羽サンの独り語りはなー、結局蓮をカラオケに引っ張っていこうとしたリストラサラリーマンと何ら変わることはないと思うのですが。性格悪そうなふりして、この判ってチャンめ。
あと、それぞれのキャラの描き分けをもーちょっとくっきりはっきりさせてほしいかも。
[ 両親亡き後、義弟のワタルと一緒に暮らす渡辺くりすだが……。 ]
連れ子同士もの。
今では完璧にワタルを家族と思って気を許しているくりすだけど、本当の兄弟ではなく、元が他人だとはっきり判っているからこそ余計にワタルの存在が嬉しいんだろうなあ。その過剰さはちょっと力を加えてやれば恋人方向に行きそうな気もしますが、それにはまず一旦家族破壊という過程を経ないとならんと思うので、せっかくできた新しい家族を果たしてくりすちんは壊すことができるのかどうか……、つーか、そもそもワタルの気持ちは奈辺にありや?
気になるところで以下次号。
コミックスはまだなのかしらー?
[ 失われた“文化祭前夜”空間に嵌りこんでしまった陣内と神野だが……。 ]
じわじわと進行してきたこの話。ようやくコトの次第が明らかになりつつありますが、ここまでくるのに2年か。な、長かった……。そして、いよいよ核心に迫るか?といういいところで邪魔が入るのもお約束なのかー!? は、早く続きを……。
それにしても絵に力があるので、ホラータッチは怖いです。おまけに生徒会抗争ものっぽい気配もあるし、一体この先どう展開するのでしょうか。
最後に、事情を説明してくれた鈴木君の絵は見てみたかったなあ。
[ 三兄弟の父がアメリカに戻ると聞かされた学は、意外なほど淋しさを感じていない自分に気づくが……。 ]
学と父親の出会った経緯を知って、学を巡る二人の態度が大きく分かれた訳ですが。
学を振り向かせようとするあまり、父親と学の絆を断ち切るようなことを言ってしまう次男・秀二と、自分の気持ちを置いておいても、学の心の底にある想いを尊重する長男・優一とでは、どうやら長男の方に軍配が上がりそうです。頑張れ、次男。かなーり分は悪いけど。当て馬になりそうだけど。もしかしたら押しの強さで学も折れてくれるかもしれないし。カラ回りするのも青春だし。
春の大リニューアルということで次号より新連載が3本開始。いっそ雑誌化は無理なのでしょうか。季刊アンソロからいきなり雑誌にするのは無謀か……。それと、南京ぐれ子『DROPS』の続きはいつ……?
[ モデルを経て現在はカフェ「RECIPE」のオーナーであるカイヤに何かと面倒をみてもらっている洸だったが……。 ]
巻頭カラー。
新シリーズ。
カイヤにほのかな好意を抱いている洸だけど、実はそれ以上にカイヤの方が洸にご執心でどう料理してやろうか狙っているという、マニアックっつーかちょいと変態入った話。
カイヤが計略を巡らせるまでもなく、すでに十中八九カイヤの手の中に落ちてるって気もしますが、まー頑張って抵抗しつつ調教されてください>洸 多分、その抵抗こそがカイヤにとってはたまらない快感をもたらすだろうからして。
結構きわどいカットもありますが、もーちょい具体的に、見えそうで見えないコマを増量すると、よりヤラしい雰囲気になると思いますです。
続きは5月号。
[ 月哉の心配をよそに、豪と親しくなる絢だったが……。 ]
話が月哉から絢にスライドしていってますな。
しかし絢と豪のことについては、うーん、こればっかりは外野がどう忠告しようと、本人が身を以て知るしかないんじゃないですかね。つか、絢は人間に対し“情欲に負けて命を差し出す欲深い生き物だ”と批判的なことをのたもーてますが、その言葉そっくりそのまま絢側にも言えることなんじゃないかと。相手が死なない程度のお付き合いとかは出来ないんでしょうか――?
そして豪よ……。仕事サボって見た目未成年に野外でツッこむとはいい度胸してますな。そのうち淫行罪で逮捕されないように気ィつけーよ。
ところで、絢は生きてる年数でいうと25才の豪より年上になるそうですが、確か成人したのはつい最近だったような。ということは、ものすごく成長に時間がかかる一族ということでっか。ま、寿命自体えらく長いようだからそれも仕方なしか……と、ここで雑誌ハシラのあらすじを見たら“不老不死”と書いてあるではないですか。不老不死の一族で、でも子供も結構ボコボコ生まれてて……となると、世の中、同族だらけっつーことになってしまうのでわ……。
[ 紗聡のことが忘れられない拓は、紗聡の稽古の様子を見に行くが、そこで演出担当の後藤亨に見つかってしまい……。 ]
一件落着の後編。おいしいところは亨がさらっていったという感じですかね。
それにしても紗聡はいつの間にあんな録音を……? もしや今までの電話はすべて録音済みとか……それを夜のオカズにとか……いやいやいや。
芝居の場面は、もっと舞台の広さを感じさせてほしかったかなー。
[ 誘拐されたケイトを助けるべく、ウィルとTRASH COMPANYの面々はとあるビルに向かうが……。 ]
囚われのお姫様かと思いきや、蓋を開けてみればケイトは実にオットコマエな女の子だったのでした。カッコイー。恐らくは、銃なんか扱えないだろう、という意味で「撃てるもんか」と言った男に、一発威嚇射撃をくれて「サイレンサーだから撃ったって平気」と返すあたりが堪りません。親の仕事もちゃんと知ってるしなー。
で、ウィル君のアレは頭を強打すると別人になってしまうというヤツですか……?
続きは5月号。(早速白い背景が忍び寄ってる気配があるんですが、たのんますよ〜〜)
[ 不安定な母親、暴力的な兄と共に暮らすトモ。そのトモの心の支えだったカジタが転校する日が近づいてきてしまい……。 ]
1月号掲載『ファーラウェー』続編。
純朴な方向に話が進むのかなーと思っていたら、いきなり69に行っちゃってちょっと驚きました。が、これはこれでヨシ。というか、お約束的な受け攻めの関係じゃないのが新鮮で良かったです。
なんというか、どっぷりボーイズラブでもなく、かといって本物風味でもなく、透明感はあるものの精神的すぎず……と、微妙なラインなのですが、私の中では、なんとなく嶋田双葉を思い出すようなそんな漫画家さんです。次の掲載予定はあるのかなー。
[ 「次期総帥候補選定プロジェクト」指定校の私立浪矢(ろうや)学園に転校してきた大山鈴芽は、早速勝負の申し込みメールを貰うが……。 ]
幼馴染み系特殊学園もの。
次期総帥候補選定プロジェクト施行校では生徒が様々に競い合い、敗れた者は勝った者(マスター)の従者となり、マスターに絶対服従しなくてはならない。マスターは優秀な成績で卒業すれば、次期総帥候補生として成功を約束された地位につける――というのが基本設定な訳ですが、いやあ、ここまでネタ満載なのってのも珍しいかも。イロモノ中のイロモノ。ええっとー、猫耳をつけるのも“過酷な命令”のうちに入るんでしょーか? そもそも総帥って一体? しかし折角次期総帥候補生への道が開けるかもしれないという学校にいるのに、生徒の皆さんは権勢欲より性欲で頭が一杯のようですねえ。
それにしても主人公の父は何を思って、息子をこの学園に転校させたものか……。自分の息子がマスターになれるかどうかぐらい親だったら判りそうなもんですがねえ。まあ、お気に入りの従者となって内側から権力の中枢に食い込むって手もありますがー。
とりあえず泣き虫すぎる主人公は滝にでも打たれてきてもらうとして、むしろ、主人公を狙っていて黒沢に従者にされたヤツらと黒沢のやりとりの方がおいしそーな気がします。
短編が多数掲載されていた号でしたが、イマイチ感は拭えず。新人の皆さん、頑張って下さい。