[ 作業現場で右手を怪我した北條タツヤは、偶然立ち寄った店で見るからに無骨そうな店主に何故か胸のときめきを覚えてしまうが……。 ]
巻頭カラー。
ヒゲあり筋肉あり迫力のオヤジ受け。
好みのムッチリケツと好みの性格を兼ね備えた人物に出逢った時、そこに年齢も性別さえも超越する恋のマジックが訪れたのでした――というか、タツヤのケツへのこだわりがよーく判った話でした。そうかそんなに好きかムチ尻。これからは思う存分愛でてやってくれい。しかし、肝っ玉母ちゃんタイプが理想で、“母ちゃん”に世話やかれつつその相手を抱きたいとは、君もしかしてマザコンかね。それで実際くっついた相手がオヤジってのがまた凄いが。
で、今回のHシーンは筋肉増量、汁控えめだった訳ですが、どっちも少な目にしてもらえると嬉しいかも……。つか、オヤジ受け自体は全然オーケーなんですが、受けが即アンアン言わないで、ぐっ……と堪えてくれると読んでる方もぐっとくると思うんですがー。
あと正義さんちの弟達の許容度の広さは賞賛に値すると思いますです。
[ 薬売りの大谷は、地主の息子・小呉に迫られる毎日を送っていた。頑なに拒む大谷だったが、本当は小呉のことが好きで……。 ]
成金跡継ぎ×行商人。逆ギレ小悪魔系。
うーん、恋を手にする前から恋を失ってしまう可能性に怯えて、自分の気持ちに素直になれない主人公、というと聞こえはいいけど、どっちかっつーと主人公の自己満足とか自分勝手の方が目について、読んでいてイライラしてしまいました。もっとコメディ色が強かったなら受け入れられたかもしれないけど、ううむ、どんなもんでしょうかね。無闇にアップのコマがいくつかあったのも、いまいち魅力的でないというか……、何であんなにドアップにする必要があったのでしょうか?
[ 英次は、頼りない幼馴染みの久弥を社会人になった今も何かと放っておけずにいたが……。 ]
カラー付き。
幼馴染みもの。
受けの顔がちょっと変わりましたかねー。
話そのものは、相手への気持ちを口に出して言えない幼馴染みの二人は実はずっと前から両思いで……と、王道タイプのストーリーですが、互いの表情がよく出ているので、平凡な設定に沈み込まない作品になっています。英次の問いに肯定を繰り返す久弥が切なく。ラストはもっと雰囲気に流してもよかったかなー、という気もしますが、とにかく「最期」にならんでよかったですな。
[ 女子高教師のイトウは、過去の苦い経験から同僚・田中の熱い求愛をはねつけるが……。 ]
教師もの。年下攻め。
アタックをかけてきた相手は、実は昔の教え子で……と、これも割と王道タイプの話かも。しかし、暑苦しく迫る田中とそれをことごとくかわすひねくれたイトウのやりとりが、さっぱり甘い方向に行かないのが、この作者らしい。そしてイトウにフラれた田中の憔悴ぶりも、たいへんにこの作者らしいのでした。フツーあそこまで描くかい。
ところで、イトウは謂東でオッケー?
[ 突然訪ねてきた、さして親しくもない知り合いの仁見尚之を部屋にあげてしまった津田だったが……。 ]
そこに愛はあるのか、季節のはざまのミステリアス・ストーリー。
仁見は一見身軽そうでも、外見や立場のせいで絶えず自分にまとわりついてくる他人の思惑や気持ちに内心飽き飽きしていて、それで、それなりに接点はあるんだけどそれ以上の関係には発展しない津田という存在につい絡んでしまうのだろうか……と思いましたなり。彼が胸のうちを誰かに吐露することはあるのかなあ……。
[ 社長の甥を任された店長の島田は、その使えなさにストレスをためこむ日々だったが……。 ]
カラー付き。
1月号掲載『靴下の穴』の続編。
今回は島田視点。
前回と出だしが同じでもキャラが違えばその後の展開も大きく異なってくるというもので、哀れボンクラ社員安岡は島田の鉄拳制裁を受けるハメになってしまったのでした。安岡を殴り飛ばす瞬間もバッチリ描いてほしかったなー。
上司とバイトという間柄ではなくなっても、島田と石川の繋がりが切れずにいるのが、というか一層親しくなっているのが嬉しかったり。そして、島田が石川の恋心を受け入れる展開へと続く訳ですが、うーん、やっぱりオトナですねー、さすがの包容力ですねー、と島田を褒め称えたいと思います。
しかしこの不況の折、石川がどうやって大手企業の内定を勝ち取ったのか、面接会場をのぞいてみたいものではあります。(本番には強そうだ)
[ 閑谷の家庭教師先の生徒・樋口広海は、閑谷の不用意な言葉でそれまでの素直な態度を豹変させてしまうが……。 ]
大学生×高校生。
途中までこの漫画のタイトルは「BITTER」だと思ってました。英語力ナッシングなのがバレバレです。
それはともかく、閑谷のホモ嫌い発言は、ちょっと病的な感じがして、それは「男に惹かれるかもしれない自分」をどこかで意識していて、それに恐怖感を抱いているからなのかなー、と邪推してしまいました。冷めた表情を見せる割に、結構感情的に脆そうな一面もあるようだし、自分の中のブラックホールを受け入れるよりはまず見て見ぬ振りするタイプなのかな。
それに対して広海がやたら攻撃的かつ挑発的なのは、好きな相手とヤッた後にお金を払われてしまった過去と、閑谷のホモ嫌い発言と、彼への恋心が気持ちの中でマーブル模様を描いているからなんですかね。
全体的に閑谷のモノローグが多い話ですが、終盤はそれがちょっとうるさいかも。言葉での補足がなくても、絵だけで閑谷の感情の揺れは十分伝わると思うんですがー。(でも最後の台詞に辿り着くためには、閑谷の自分に対する問いかけがあった方がいいのかなあ)
3/7にコミックス「きみが居る場所」発売予定。
「〜とゆう」という言葉遣いは止めた方がええと思うのですが。
[ 夜の街でキャッチ中の純佑は、大学野球部時代のライバル・佐野に出会うが……。 ]
巻頭カラー。
02年12月号の続編。
今回は純佑視点。
それなりに出来上がってしまった二人を描くのって結構大変なような気がするのですが。まだまだ二人の精神面をメインに据えてじっくり描いています。ただその分、キャラの心情に深く潜った話になっているので、やや掴みどころがないというか、一見さんにはとっつきにくい話になっているかも。
作者インタビュー中の、忍について「男性が求めがちな『自分の存在価値』とか、おそらく考えた事がないタイプ」という発言を読んでたいへん納得いたしました。向上心がないとかそういうのではなく、自分について、有るようにあるがままに受け入れているという感じ(それもごく自然に)がしますからねー。そんなところが、純佑が忍に惹かれるところでもあり、またちょっとすれ違ってしまうところでもあるんだろうなあ。
夏頃、コミックス発売予定。
[ 彼氏持ちの兄がいる双子の弟。彼は、鏡を見るたび思うことがあった……。 ]
UNDER WEAR企画。
たった4ページですが、意味深なタイトルと合わせて、その先がとても気になる話になっています。技あり一本。
しかし、長すぎる鼻の下と分厚い下唇にはどうしても慣れることができないのでした……。
[ 風呂上がりの岩城は、置いてあった着替えがないことに気づくが……。 ]
春を抱いていたシリーズ。
UNDER WEAR企画で、春抱きコンビのショートショート。
パンツを前に大真面目な香藤に笑い、完璧に香藤の相手の仕方を体得している岩城に笑い。つか、生まれたままの岩城の美しさはさておき、脱がせる過程が楽しいんだと思うのですが>香藤
なにはともあれ、永遠に倦怠期なぞ訪れそうもない二人に乾杯。
[ 追っ手から逃れたクリスとアヤはしばしの休日を楽しむが……。 ]
クリスとアヤがすんなり恋人同士になってしまわないのが、簡単でなくてなかなかいい感じです。実際のところ、クリスはアヤ個人のことをどう思っているんでしょうか。
次号は学園ショートコメディ掲載ということで、連載はお休み。じわじわじわじわ進行してきたこの話、ここまで引っ張るからには、それに見合うだけの展開を期待して宜しいんでしょうなー?
ところで、クリスって何歳くらいなんでしょうね。実は案外若そうな気もするのですが。
[ 異常を感知した墓守の雪と太狼は、墓場に一人の青年が倒れているのを発見する。どうやら、太狼次狼兄弟の遠い親戚らしいのだが……。 ]
カラー付き。
墓守×人狼。b-Boy Zips35掲載作の続編で、シリーズ第4作は前後編で登場。“暗黒物質”にはダークマターとルビがふってあります。長いタイトルじゃ……。
行き倒れていたアキを助けた雪に、アキのことを知る人狼兄弟は気をつけろとか追い出せとかしか言わないけど、もうちょっと具体的に、例えば乱暴者だとか根性悪だとか、具体的にどう危ないのか伝えないと、雪にしたって危機感がわかないと思うんですが。実際、親しくなってるし。
そのアキに物陰から熱い嫉妬の視線を送っている次狼ですが……、何か背が伸びたような。まだ成長期終わってなかったんでしょうか。そして相変わらず怖いもの知らずというか厚かましいというか、うっかり雪に欲情して「攻として」迫ってゆく様子は、ふりふりのしっぽといい“いそいそ”という態度といい、何もかもがたまらなく憎たらしいです。くくく。果たして後半でなるか雪受け。アキにとりついた亡霊よりそっちの行方の方が気になってしまいまふー。
あー、でも後半、雪が次狼に平手打ちをかます場面はいまいちその呼吸がつかめなかったかも。
しかし、ナリばかりデカくなっても態度が子供のままだったら、まだまだ大人とは呼べないと思いますですよ>次狼
[ 写真同好会のメンバーがコンクールで賞を取ったことを祝う飲み会で、泉水は酔っぱらって酒をぶちまけてしまうが……。 ]
UNDER WEAR企画。大学同好会もの。
まーぶっちゃけ、酒に乗じたヤるだけストーリーなのですが、テーマに添って下着とその周辺が存分に描写された作品となっております。うーん、いい仕事っぷり。
でもやっぱり顔が幼くなりがちなのですなー。できればトータル大人顔でお願いしたいのですが。
[ 四越グループのおぼっちゃま・圭は人間の女性には目もくれず、只今グリーンイグアナのジュリエッタを熱愛中。その最愛の彼女が変色してしまい、慌てて医師を探すが……。 ]
獣医×お坊っちゃま(……なのか?)。
絵のクセなのか、目の下のラインが気になるなー、と思っていたのもつかの間、怒濤の展開にもう夢中ざます。16頁とは思えぬ読み応えでした。
欲を言うなら、医者と坊ちゃんのごたいめーんシーンで、もう一つ強力に印象づける事件が起きてほしかったですが、いやしかし楽しいお話でした。続編求む。
[ 城に戻る途中だったクリステン王子一行は刺客に襲われバラバラになってしまう。王子とジークは馬を捨てて森の中を逃げるが……。 ]
平民×王子。
『遠い夜明け』(賊に襲われる)と『心の家』(城に到着)の間をつなぐ話。不思議な掲載のされ方をしている黒の騎士シリーズですが、とにかく話の隙間が埋まってよかったです。
で、内容の方は、途中で視点が変わってしまうので、王子を護るジークが、刺客と商隊警備の傭兵とを誤解してしまうところがちと判りにくかったかと。紹介なしで登場してきた人物が刺客とはまったく関係のないキャラだとすぐには判らなかったので、緊迫した場面でいきなり茶々が入って、かなりズッこけたですよ。愚考するに、山中を行く商隊の描写や、ルーク(傭兵)が不審者(ジーク)を誰何するシーン、本物の刺客が先で起こった戦闘に気づいて引き返してゆくシーンなども織り込んであれば「第三者の登場」という展開が理解しやすかったのではないでしょうか。そのあたり、登場人物を平等に描きすぎてしまうことへの弊害がちょっと出ているような気もします。
が、それにしても端整な絵柄は魅力的です。アクションシーンも上手いしね。
この先クリスにはまだまだ試練が降りかかってきそうですが、それをどう乗り越えてゆくのか、今後が楽しみな話です。
しかし、クリスの夢の中に出てきたお母さま、あの人形めいた微笑みが無闇やたらと怖かったなー。
5/10にコミックス「その指のたどる傷」発売予定。
[ 行きずりで殺人を犯した晃一を、被害者の彼氏である高志は自宅に軟禁する。高志の真意をつかめず困惑する晃一だったが……。 ]
復讐譚。
初めは厭世的かつ刹那的な晃一の方が、衝動的に何をやらかすか判らないという雰囲気だったのですが、次第に高志の方が不気味度を増してくるのが何とも。意図不明なのって怖いですね。自業自得とはいえ、不意に気持ちを断ち切られるような行為を高志に繰り返される晃一が哀れです。
で、見事にダークな結末を迎えた訳ですが、どうせなら、いっそのこと晃一を置き去りにして高志が「あっさり死んでしまう」 or 「彼女の名前を呼びながら逝ってしまう」ってなド真っ暗なバッドエンドにしちゃってもよかったような気がしますが。一方通行でもラブはラブ。
GOLD丸ハダカインタビューのインタビュアーの発言はもうちょっと抑えめにしていただけないでしょうか……。はじけすぎて痛い風味が出ています。
UNDER WEAR企画、パンツをかぶる人がいなくてよかったよかった。
[ 編集者の飯嶋は、入院した同僚の仕事を引き継いでチェコ映画の原作本を出版するために奔走する。ようやく見つかった翻訳家は、大学時代の知り合い・日下で……。 ]
巻頭カラー。
社会人系。
大概恋心なんて御しがたいものだけど、自分のそれ以上にある意味コントロールできないのが、自分が誰かに好意を持たれることで。殊に、片想いしている相手の好きな人に自分が好かれてしまった場合には、好きな人に傲慢と思われようが、自分に向けられた好意を無下にするしかない訳で。
山田ユギは、そんな葛藤を静かに抱えている人を描くのがとても上手い漫画家だと思います。
しかし今回一番ウケたのは、本泥棒に関するオチだったりして。
[ 幼稚園の先生の言葉が原因で、幼馴染みの暁への気持ちを素直に表せなくなってしまった庸だったが……。 ]
幼馴染み系高校生で青春の回り道もの。
うーむ、庸はどろどろといろいろ妄想しているようですが、やっぱり基本的には甘酸っぱいですねー。
庸の女性に対する嫌悪感がキツいのがイタかったり、甘ったれた暁の態度がハナについたり、と読むのが厳しいところがあったものの、最終的にはハッピーエンドになってよかったね、と思える話でした。よかったよかった。
絵はもうこのまま固定化しちゃうのかなー?
[ 美しい異形の歌うたい・カナリア目当てに足繁くナイトクラブへ足を運ぶジュノは、ある晩、オーナーの元を逃げ出してきたカナリアに出会うが……。 ]
囚われのお姫様系。
カナリアは表情だけ見れば、時々はっとするほど少年ぽい目をしているのに、トータルなイメージは「女のコ」なのは何でだろう。柔らかな物腰と華奢な体つきのせいかしらん。
ジュノは、どうせカナリアのところに忍び込むなら無事に逃げ出す計画ぐらい練ってこいよ、と思わなくもないですが、命を賭してカナリアに会いに来た心意気は天晴れというべきなんでしょうね。そしてジュノを追って後先省みず塔から飛び降りたカナリアの無垢な心も。
しかしながら、私が一番印象深く感じたのは、塔の上からジュノを蹴落とす女性オーナーの後ろ姿……だったりしたのは秘密です。だって、コトの是非はさておき、実に爽快感漂うカットなんですもん。
[ 幼馴染みの健郎にホモだと告白された武志だったが……。 ]
幼馴染み系高校生もの。
武志が、母親の再婚に理屈じゃない割り切れなさを抱える健郎に寄り添う場面が大変に印象的でした。
ただ、ラスト3コマが微妙というか、オチの小ネタにしては、話題も大きめだしコマの大きさも普通だしまだページが続きそうなのに、話が唐突に終わってしまうので、食い足りなさが残る感じです。もう1、2枚欲しかったような気が。あと、割と味のある絵だと思うのですが、ラストの健郎の顔が壊れ気味だったのが残念。最後のコマなんだし、キメてくださいましよ。
次号より『どらきら』連載スタート。
[ 御園井剛士は、星陵学園にその人ありと知られた生徒会長・橋爪祐一と自分がラブラブな仲であると周囲から思われていることに困惑するが……。 ]
生徒会系高校生もの。
2月号掲載『星陵最恐物語』の続編。
外道だ鬼畜だと散々煽られている橋爪生徒会長ですが、御園井の勉強を見てやってるわ、Hでは受に回ってやってるわで、何てことでしょう、橋爪への好感度がアップしてしまったではないですかー。(イヤ、悪いことじゃないんでしょうが……)
でもホント、この手のキャラでゴーイン攻一本槍じゃないのって珍しい気が。いつもは、自分の性欲最優先な攻の自分勝手な理屈にムカつくことが多いのですが、今回はむしろ御園井にヒトコト言ってやりたくなってしまいました。流されすぎだし、人のせいにしすぎだし、もっと自分というものを持たんかね>御園ッチ
[ シビラ先生がシンバ先生用に準備していた特製スペシャル媚薬入りのチョコレートを、そうとは知らずに残らず食べてしまったデュッカだったが……。 ]
『CARAMEL DEVILS』番外編。
あ、あのう、ワタクシずーっとシビラ先生って、よくいる姑タイプのハイミスだと思ってたんですが、ここで主役を張っていらっしゃるということは、もしや男性のかたなので……? すっ、すみませんすみませーんッ……と平身低頭するべきなんでしょうな、やはり。ハエ叩きで殴るのは勘弁してつかーさい。
バスルームのドアを開けて、デカくなったデュッカを発見した時の、間のヌケた先生の顔がたいへんラブリーでございました。男性だと思って見れば、結構萌えツボを刺激されないこともないんだわな、シビラ先生。メガネさんだし。と、現金なワタクシ。何故か、デュッカを「あんた」と呼ぶのが好きなのでした。
[ 翼揚学園高等部に入学することになった暁と怜は入学式の日を迎えるが……。 ]
カラー付き、カラーポスター付き。
お友達予定者の顔見せと人物紹介、新しい環境に対する暁と怜のスタンスの違い、学園長が“鷹統”に含むものがある理由などなど。怜の態度が判りやすくて読みやすかったです。
次号から連載スタート。
しかし、跡継ぎ云々の話はどこいっちゃったんだー?と思わなくもなく。お祖母サマもまだまだ元気そうだし、二人もようやく高校生になったばかりだし、当面その話がメインになることはないのかなー。
[ 意識を失った豪に動揺する絢。月哉たちは絢の元に駆けつけるが……。 ]
ううううーん。
途中から話が随分豪×絢にシフトしてしまって、月哉と玄斗はどうなったとか、留衣っていったい何だったのさー、とか首を傾げてしまったのですが。長期連載ならいろいろと話のタネを播いておくことも必要でしょうが、そうでないならもっと話の焦点を絞った方がいいんじゃないですかね。いかにも何かありそうに登場した留衣にしても結局、特段の物語があった訳でもないし。子育てする月哉を見せられてもなあ……。かといって豪と絢の話にしても、さほど新鮮味があるでなし、二人の話なら、せいぜい前後編ぐらいで間に合ったんじゃないのー?とか思ってしまったのですが。
[ 三和はクラスメイトで友達の加藤に告白するが、翌日からも加藤の態度は何も変わらなくて……。 ]
高校生もの。
“友達”と定義していた同性から告白されるというのは、日常性の崩壊に繋がることで、保科が言う「愛されるのがこわいんだ」というのとはちょーっと違う気もするのですが。加藤も女の子(性的対象として認識している相手)からの好意なら、あまり問題なく受け入れられるんじゃないでしょうか。
以前読んだ野火ノビタ漫画では、気が弱くて淋しがりやな受の印象が強かったので、一見おどおどしているようで、実は結構気が強い今回の主人公はちょっと意外なタイプだったかも。相手に受け入れられなくても、ひるまずに本当の自分を見てもらおうとする三和の潔さが眩しいです。
H万歳、恋愛至上主義的な最近のボーイズラブでは、それ以外の漫画の居場所はあまりなさそうな感じなのですが、またこの手の話も載っけてほしいと思います。
[ 貧しい孤児院で暮らすアカツキ。ある日、17年間一緒に育ってきたサガミに城から迎えが来るが……。 ]
カラー付き。
サガミの将来を思って心の中で泣きながら、表向き打算的な口振りでサガミを城に追いやろうとするアカツキ――ここまではまあ健気な感じなのですが、2時間もしないうちに、荷物を届けに行くなんて口実で、サガミに会おうとするあたり(そして当然会えずに大ショックを受ける)、おまえさん、ゆるいのはアソコじゃなくてオツムなんじゃないのー?なんて憎まれ口の一つも出ようというものです。しかも、話が全然終わっていないあたり……。しょーもなさで胸がいっぱいでございますよ。ラファエル×ミカエルで、たまらない色っぽさを感じさせてくれたのも遠い昔となり果てたか。
[ 恋人同士の蒼江と直也、ある朝の情景は……。 ]
別冊付録「LOVE MODEスペシャルファンブック」に描きおろされたショートストーリー。
んもーすっかりラブラブっつーか甘々っつーかバカップルっつーか、ごっつぁんですッ、なお話でした。事前に“あおなお初のOoO!”と宣伝されていたこともあって、私もハシタナクも楽しみにしていたのですが、くわえられている蒼江の神妙な顔がやけに可笑しくて。辛抱きかない蒼江サンが結局カラダを入れ替えてしまった訳ですが、直也に完遂させてやりたかったような気も。まあ、末永くお幸せに〜。
ところで直也が処理してくれようとしなかったら、蒼江はどうするつもりだったんでしょうねー。前屈みでご出勤すか?
10周年特別記念号なのに、そこはかとなく季刊増刊系の気配がするのは、新人さんもたくさん載っているからなのかな。