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2004.06.20 (Sun)

『二本の指とスキャンダル』 内田一菜

[ カリスマモデル・灰原悠樹はその顔とカラダでスキャンダルを振りまいては、異母兄でマネージャーの環にフォローさせる日々。ある日、悠樹はロケ地への移動中、見知らぬ男に拉致されてしまうが……。 ]
 巻頭カラー。
 一応、「陰謀もの」「拉致監禁もの」「調教もの」「兄弟もの」にカテゴリされるんだろうけど、複数ジャンル(?)にまたがっている分、いまいち味が薄れてしまった感じが。一番印象に残ったのが、トイレを要求した主人公に洗面器が差し出された箇所でございました……。ご使用に至るシーンがあったらどうしようかと思いましたよ。(ちなみにその後の展開はありません)
 しかしなー、想い人の調教をその道のプロに任せるのは、確かに効果的ですが、悠樹のことを物扱いしているようで、何だかちょっと冷たいような気もします。そんなことをしてしまう程に愛が深い……と取ればいいのかなあ?
 それにしても一週間で調教終了とは随分スピーディーですな。迅速丁寧安心確実、しかも依頼主の持ち物にフィットするように仕上げるので、引き渡し後のHでも違和感ナシ。まさに職人の仕事。匠の技。……って、どうやって環のナニの型どりをしたんでしょうかー?

『for you』 東城麻美

[ 柔道部の先輩と付き合っている結城は、先輩に自分の誕生日を忘れられたりして不安になるが……。 ]
 1月号掲載『WITH YOU』続編。ONLY YOUシリーズ。
 高校生もの。
 最近見るたびに絵柄が変わっているので、扉絵をめくった瞬間、「今回の受は女のコ受かー?」と思ってしまいました。ホントの女の子キャラでした……。すんません。(だって何か大ゴマで描いてあったしー<言い訳)
 だけどなー、折角男らしい受くんなのに、エロシーンであっと言う間に涙目になってしまうとは、何とももったいない。ここはあくまで唇をかんで堪えて欲しいところ。
 ついでに言うと、主人公は二人の間に愛はあるのか?と悩んでいたようですが、大丈夫、君の愛情もさっぱり伝わってこなかったから。つーか、単にサカッていただけのような気が……。もっと先輩を気遣ってやって下さい。
 オチは面白かったです。

『誰がおまえを好きだと言った』 山田ユギ

[ 友人の弟から長年に渡って言い寄られ続けてきた昌幸だったが……。 ]
 カラー付き。
 エリートリーマン×脚本家。年下攻。
 たとえ相手の合意が得られなくとも簡単に押し倒してしまう話が多い中で、これだけ待ち続ける攻というのもめずらしい(人としてはそれがマトモ)。受側に肩入れして読んでいることが多いのですが、今回はさすがに宗次郎に同情してしまいました。
 でも、ロクデナシな昌幸の性格も織り込み済みで、それでも好きならこりゃもう業としかいえないのかも……。

『ベイビーカムヒア』 吉池マスコ

[ ヤクザの譲二は仕事上のトラブルで腹を刺されて死ぬが、死神に24時間の猶予を与えると言われて……。 ]
 ソープランド店長×未成年店員。
 ネタ的には結構ありがちパターンですが、さっぱりした気性の譲二と健気なアキラのやりとりが微笑ましく、切なく、また死神のキャラクターもユニークで、カワイイお話でした。

『狂気の沙汰も酒次第』 猫田リコ

[ 幼馴染みで同期の赤丸と本店店長の椅子を争う黒岩は、劣勢を挽回すべく起死回生の一手を打つが……。 ]
 社長×店長候補。
 期せずして、フーテン中年→余裕しゃくしゃくなやり手社長、クールビューティー→一生懸命な幹部候補生、と事前事後でキャラが変化する訳ですが、社長の見事な変身ぶりに比べると、黒岩はコトに至る前に既に本来の自分が透けて見えているので、その陰謀計画の稚拙さと相まって、ちょっととりとめのないキャラクターに見えてしまうのが残念。もっと社長のキャラとのコントラストをはっきりさせた方が形勢逆転がくっきりしてメリハリがついたかも。まあそれだけ社長の役者が上だってことなんでしょうけどねー。
 脅迫写真を放り投げるシーンも格好良かったですが、「君を手に入れるよ 必ず!」と力強く宣言する場面もお素敵でございます>社長

『子供の秘密』 直野儚羅

[ 高校進学に伴い、親戚宅で暮らすことになった本間杜。大好きなイトコの要と一緒で喜ぶ杜だったが……。 ]
 カラー付き。
 高校生もの。
 う、うーむ、「自分を慕ってくる年下が……」という点では、上の山田ユギ『誰がおまえを好きだと言った』の逆バリエーション的作品ですが、ちょーっと微妙。視点が杜と要をいったりきたりするせいか、要の本当の気持ちを知って感動……するにはインパクトが足りなすぎるし、両想いになってヨカッタ……というにはあまりに物語の起伏が少なすぎるし、結局「どこで盛り上がればよかったんじゃい」と釈然としない気持ちばかりが残ることに……。
 そ、それにですね、本人の意識がない時に一発抜いてやってパンツの洗濯をさせることが果たしてお仕置きになるのかどうか……、そもそも高校生男子がそういうことをしたいと思うものかどうか……。うーん。
 あと、涙目赤面受け以外のタイプもひとつよろしくー。で、カラーページの要の時計、文字盤が逆さまのような気がするんですけども。

『だまって泣いているのです。』 内田かおる

[ 体育用具室でサボりを決め込んでいた志野は、体育教師の加持がバイブを使って一人Hをしているのを目撃してしまい……。 ]
 カラー付き。
 高校生×教師(35)。
 高校を舞台にしてはいますが、見た感じ、もっと年齢設定が上でも大丈夫そうです。
 親友に調教されてしまった過去とカラダを持つ教師とそれを知ってしまった教え子、というセンセーショナルなストーリーですが、エロは濃いめ、でも汁は少な目(あ、でも顔射シーンがあったな)、落ち着いた雰囲気のなかなかに切ない作品です。
 ――がッ、Hシーンで台詞末尾にハートマークを多用するのだけは、やめて頂きたいのですが……。特に今回のような話では絶対トーンが合わないと思うんだけどなァ。

『恋愛解禁』 神崎貴至

[ 沢山の女の子に告白されても彼女にしたいと思わなかった吉国は、左座大和にトキメキを感じて自分が理想の高いゲイだったと気づくが……。 ]
 高校生もの。
 03年7月号『負けてたまるかっ』、11月号『恋友』の番外的作品。
 え、えっとー、この作者の漫画って妙に理屈先行なところがあって登場人物にスムーズに感情移入できないことが多いのですが、で、今回もやっぱりそうだったんですが、吉国のリクツ以上に大和の思考回路がトンデモすぎて、はっきり言って吉国と大和のやりとりとかワケ分らんかったんですが、なんかすごーく笑いながら読んでしまいました。一見優等生の仮面の下にこんなオカシな素顔が潜んでいたとは、侮りがたし左座大和。
 がんばれ吉国、場数じゃカンペキ負けてるがファイトだ吉国。しかしナニの勃ち具合で両想いかどうか判定するとは、お主もなかなかすげーオツムの持ち主だな、オイ。

  • 『夜の女王』 この作者の話は、特定の誰かに気持ちが向いたとしても、なかなかそれを素直に表に出さないキャラが多いですな。というより、その気持ちを「好き」と認定することさえしていないような。好意よりも執着に近い感情なのかもしれません。
  • 『青春18キッス』 教師×援交生徒。いろいろ楽しく読みましたが……、とりあえず車に当てられたら医者に行った方が良いのでは……。基本的にギャグなんだろーなあ、この話。

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