[ 中学の時出会った柏木律と時田ひろ。大人になってからも友人づきあいが続く二人だが……。 ]
巻頭カラー。
自分のせいもあって怪我をしてしまったひろを、家の人に無理を言って一晩看病させてもらう律。でもこれって結構メーワク。結局きちんと面倒みきれてないし。成人し、仕事の都合でたびたび律の部屋に泊まりにくるひろ。いつも急に連絡を入れてくるひろは、律の“男”と出くわしてしまったり、これも端からみればかなりメーワク。だけどそれを許容できるのは、二人の間になにがしかの感情の繋がりがあるから。それは友情だったり愛情だったり。ところで、続き物らしいこの話、目次にもタイトルページにも「昼顔の章」って書いてあるんだけど、本タイトルは「Love Me Thru The Night」なんでしょうか……?
[ 男の妓を見てみたいという金持ちの意向により、陰間茶屋から郭替えさせられた“お有”だが……。 ]
第1話。有と他の娼妓のやりとりが結構和ませてくれる。有も弱々しい男娼ではなく、軽蔑した風の客に嫌がらせ的に近づいていく様子がなかなか意地があっていい感じ。しかし水ものに異様に関心を示す若い男の事情とは何ぞや――?
[ 赤坂総合病院303号室。訳有りの金持ちや著名人が逃げ込んでくる「悪党専用」室、通称アクセンを担当することになった芥川医師は、“患者”であるヤクザの代貸し・貴田にびしびしと指導説教をかますが……。 ]
最近とみに口がデカくなった絵柄にふさわしく意志強固な人物達が登場する。年齢もこの手の話の中ではかなり高め。(恋愛的場面はこれっぽっちもありません、念の為) が、いまさら貴田もそれまでの生き方を変えることなどできないだろうし、その後が妙に気になる話ではある。
[ 四至本淳の仕事のデータをすべて飛ばしてしまった友坂直也。淳は近所に住むミカを巻き込んで三日間の貫徹仕事に突入するが、パソコンの知識のない直也は……。 ]
淳が身を挺して止めなければ、本当に直也はそれを切り落としていたのだろうか。若さって怖い。32頁というせいもあるけど、細かいコマ割りでかなり会話の多い漫画になっている。小さめのコマでもそれなりに強弱をつけた絵が描ける(顔だけ漫画にならない)人の方が、限られたページの中により沢山の情報量を盛り込むのには有利ですな。
[ 妹の療養のため転校してきた香住柊也は、病気で長く学校を休んでいたという隣のクラスの榊と親しくなるが、何故か妹はひどくそれを嫌がり……。 ]
マントをはおった少年たちが出てきて、和風『トーマの心臓』といった趣がなくもない作品。藤間の言葉の真意はどこにあるのか、そして妹の“感じる”ものとはいったい? コマ外がすべて黒塗りされていてミステリアスな雰囲気を盛り上げている。
[ 自分たちよりも弟が選んだ人間を見てみたいと、ユキの兄アマネはサカキの元を訪れるが……。 ]
素敵にファンタジックで無国籍風な話。羽根もの。サカキが仕事中にかけている眼鏡はきっちり描いた方がいいんじゃないだろうか。眼鏡なのか影なのか判別がつかないことが。(そして時々アライグマチック) あと、恐らく「無表情」のつもりで描かれてると思われる顔が、「つまらなそうな顔」に見えるのがちょっと気になった。
続きものの話が多くて、アンソロジーというよりは季刊雑誌という感じ。最後に載っている「小川国夫万歳 永遠の文学少年の場合」というエッセイを書いているのは誰なのでしょうか?
[ 家庭教師の宮本に拉致された葵一。しかしそうなるよう仕組んだのは父・将伍だった。そのことを知った怜二は……。 ]
巻頭カラー。
宮本父というのは政治家ではないんかね。形勢不利とはいえ、交渉事にはもう少し粘り腰を発揮していただきたいもので。でないと話全体が軽く見えちゃう気がするんだけどな。それと鹿島、いかに屋敷内、いかに身内同士とはいえ、将伍と怜二の間に割って入るぐらいのことは出来ないと護衛役は勤まらんのじゃないだろうか。ラストページの葵一が妙に可愛く感じた。これで葵一による女王様プレイが展開されたら大どんでん返し?
[ 高級遊郭の女郎候補を見つけるために孤児院を訪れた征典は一人の少年に出会うが……。 ]
第6回ビブロスまんが新人大賞奨励賞受賞者(早口言葉のようだ)ということもあって、掲載順も早く扱いはいい。……んだけど、それに見合う話かどうかというと……。設定やそれぞれのキャラの感情と話運びがうまくかみ合ってないような。あのラストシーンでは、まるで紫馬が死んでしまったようです。
[ 斉藤にキスされ何故か落ち込む永井。元彼女の涼子にもう一度交際を申し込まれて……。 ]
カラー付き。
男達のラブ・トライアングル、どちら様も大いに揺れております。同性愛への目覚めという感じで結構生々しくもあり。永井と涼子の間は決着がついたようだけど、結局この話は誰と誰がくっついて誰がふられて、というはっきりした結論は出ないで終わるような気がしないでもない。続きは5月号。4色カラーのタイトルページ、唇が妙に赤くて、皆で酔ったあげく口紅を塗りまくったのかと思いましたなり。
[ 鷹巣に捕らえられた彦根は公開制裁<フラッグ・ゲーム>にかけられることになる。制裁期間は三日間。自分の味方がいないことを痛感した彦根は……。 ]
あふれそうなプール番外編。
いつのまにか「後編」がついていた番外編。何やら、少女漫画の具を少年漫画の衣につけてボーイズラブの油で揚げたような展開だったよーな……。深読みしたらどこまでもできそうなのは流石ですが。鷹巣の「お前をちゃんと鎖につないでやる」という自信はどこからくるのでしょう。それにしても彦根、あれから随分、健全な方向に育ったもんですなあ。
[ 光洋高校の臨時教師になった森咲瞳は切間竜也が高一と知ってショックを受けるが、二人の関係はまだ秘密裡に続いていた……。 ]
ううむ、前編より盛り上がりに欠ける感じ。山場がないというか、エピソードが均等に並んでいて、いまいち単調。竜也が瞳に一目惚れしたあたりとか、或いは竜也が森咲父を殴り倒すとか、何かもう一つ強烈な印象がほしいところ。あと、この話に限ったことじゃないんだけど、強い視線の描写のはずがかえって遠い視線に見えることがあり、ちと逆効果かと。
[ サラリーマン叶廣明が彼女と揉めていると急に割り込んできた女子高校生がいた。だが実はそれは男の子で……。 ]
社会人×高校生。
廣明が菜摘に赤面する場面がかなり唐突。廣明って非常にデリカシーに欠けるタイプではなかろうか。しかも悪気はない、そして自覚もない、というタチの悪さ。それを「やっぱヤなタイプ〜」と言い当てた菜摘が、どうして廣明とくっついてしまったのだろう。謎だ。
[ シシルと身体を交わしてから動揺続きの晴己。そんな時、英国からシシルの父が倒れたとの連絡が入り……。 ]
展開を急いでいるという訳ではないけれど、ところどころ端折ってある感が。入らない云々だってキーポイントになるかと思ったら、話には絡んでいたものの、いつの間にかすんなり入っているし。ラストもあっけないというかあっさりしすぎていて拍子抜け。ページが不足気味だったのかなー。もう少しあちこち間合いがほしかったです。
[ 如呵は一年前の夏、日射病で倒れた自分を介抱してくれた恩人を探していた。ふとしたことでその人物・雪掛と再会するが、雪掛は他人に対して無関心で……。 ]
中華風。台詞回しがなかなか綺麗。しかし“今まさに蕾がひらいた”シーンは、それこそ言葉でこんなふうに言っちゃわないで、絵でどどーんと表現するべきではないのかなー。勿体ない。
[ 後期教育課程に入った藤崎。明日の試験に備えて勉強中だが……。 ]
何だかんだいって立派なカップルの藤崎と室見。室見と弥生三尉との過去をさらりと流せるあたり藤崎も余裕ですな。だけど、自衛隊なんてもろ階級世界の上下関係が厳しいところで、上官を殴っちゃって大丈夫なのか?>藤崎 ……で、「百道二曹は――… 他人のモノを落とすプロセスを楽しむ人なんだ…」というのを読んで、百道ってば藤崎に手を出してくるのか?と思ったんだけど、違ったようですね。ははは。
決してアラを探して読んでいる訳ではないのに、むしろ楽しむために読んでいるのに注文をつけたくなる箇所が多数というのは……。アラがあって嬉しいのはお鍋だけにしてください。
小さな暖房器具しかない自室はとても寒く、寒いと思考停止状態になる私は、夜、部屋が暖まるまでネットでふらふらしているのですが、それだけで2〜3時間は軽くたってしまうため、サイトの更新をする時間的余地がなくなってしまい、これではマズイので膝掛けと厚手のカーディガンを引っ張りだしてきましたが、しかしそれでもまだ指がかじかむので、指先の部分を断ってある手袋を準備してみましたからもう大丈夫のはずです、多分
[ 同じ芸能事務所に所属している鮎川と水原は極秘で交際中。しかしキスシーンを追っかけカメラマンに撮られてしまい……。 ]
カラー付き。
少年娼婦シリーズ。
ううむ、点目ならともかく、瞳の中味はもう少し描いた方がいいのじゃないだろうか。キャラの心情は伝わることは伝わってくるんだけど、いまいち押しが弱い。あと、読んでるだけでは到底、水原がカッコ付きで“水原”と強調されるような、誰にも代え難い人間であるという実感が持てないのが難。キレたらヤバイ奴だというのはよく判ったが、その魅力の方ももうちょっと読者にお裾分けしてください。
[ 大学教授・藤堂瑛の家事手伝いのバイトをしていた津崎夕飛は、酔った藤堂にキスされるが、「妻と間違えた」と言われ……。 ]
互いに本当は好きなのにすれ違ってしまう二人。距離をとろうとして夕飛がついた嘘に逆上した藤堂は夕飛を押し倒し――ってねえ藤堂教授、いー加減大人なんだから無闇に暴走するのは止めましょう。夕飛が藤堂のことを好きだったから良かったものの、でなければ傷害罪で告訴ものだ。言葉って何のためにあるのだろうと思ってしまうよ。
[ 高校入学は果たしたものの、てんでやる気のない友達・和希を心配する慎二。階段から転落した和希を揺り起こすと、知らない人物の名前を呟きながら和希が抱きついてきて……。 ]
高校生もの。
何故和希が「桔梗」になってしまうのか、前世の記憶なのか何かが憑依しているのかなどの説明らしいものはほとんど入らず、大ゴマでかなり内容薄く話は進むが(失礼)、ラストの慎二の思いがけない一言が効いてる感じ。ところで、何で途中からコマとコマの間が黒く塗りつぶされているのでしょうか。はて。
作者急病の為、カラー頁のみの掲載。
カラーは締め切りが早いようだから、そこだけ先に原稿が入稿されてたんでしょうね。で。すみません、とあらかじめファンの人には謝ってしまいますが、ワタクシこの2枚だけの掲載原稿を見て「すんごいギャグだわ〜」と大笑いしてしまいました。(何かでこういうぶっちぎりなオチのギャグ漫画ってなかったかなあ) ああ申し訳ない。
[ カラダだけのつきあいでなく深い気持ちのやりとりをしようとすると、相手から「ごめんなさい」を言われてしまう山田礼はまたしても振られて深く落ち込む。そんな時、大学のバンドに新人の池田薫が入ることになるが……。 ]
大学生もの。
好きな人以外とは関係を持っちゃいけません、と青臭いことを言う気はないけど、礼は、相手の自分に対する好意を確認しないで微妙な雰囲気のまま、セックスをするような仲にスライドさせるような付き合いを繰り返してきたのかな〜? 惚れっぽいというか、確かにさびしいんでしょうねえ。しかしそれじゃあ、いざとなると「セックスだけならとか好奇心だったとか」と相手に逃げられてしまうのもむべなるかな、という気が。まあ、これからは薫がいるし、大丈夫だろうとは思うけど。
[ 森澤昴は、家族同様に暮らしてきた七つ年上で遠い親戚の入江が修士論文が書き上がったら独り暮らしをしようとしていることを知って……。 ]
言葉って何のためにあるの?な話その2。昴よ、パソコンに打ち込まれた修士論文をデリートするなんつー非常手段に出る前に、一度でも入江を引き留める言葉を吐いたか〜? 16にもなればやっていいことと悪いことの区別ぐらいはつくと思うのだが。ラストで「こーなっちゃったからにはちゃんと責任とってよね」なんて台詞を目にした時は、どうせ昴の尻に敷かれるだろう入江に成り代わり、鉄拳をふるってやりたくなってしまった。
[ 川江務は元妻に頼まれて、旅行代理店「楽園企画」の店番を一週間という期限付きで引き受けるが、実は「楽園企画」は500万の借金を抱えていて……。 ]
どこかで見た誰かだと思ったら、以前読んだアンソロジーに出ていたお二人さんではないですか(「HOTEL−ホテル−」収録『真夏の城』(*1))。巻き込まれ型タイプだが、それなりに事態を何とかしてしまう川江のバイタリティーが素敵。あと、欠陥住宅のくだりや、浅田と菊池妻との会話が、ちっと引きが強い気がして、次編構想があるのかそれとも作者の思い入れが強い話なのかと思いましたなり。続きがあるなら是非読みたいものです。
『ママと呼ばないで!』『水温む』と子連れやもめの話が2つ。『好きじゃないけど愛してる』の旭も入れれば幼児3人。ファミリーブームなんでしょうか。
次号よりリニューアルして、A5判定価670円32頁増。
[ 外見正反対な野々宮泉と谷口テツヤは、つきあいだして半年目、でもHはまだの微妙なカップルで……。 ]
巻頭カラー。
00年7月号掲載『神さまの言うとおり』の続編。
うう〜ん、何だか調子が狂う話だったなあ、というのが正直な感想。これはギャグとして読めばいいのでしょうか、それともシリアスなのか……って、勿論コメディなんだろうけど、登場人物がみんな外見と中身にギャップがあるせいか、話そのものもアンバランス。オチがそーくるかって感じでちっとばかし欲求不満だ。
[ 国語教師の宮田は、質問があると威圧感のある生徒・月城に放課後呼び出されるが……。 ]
不良風高校生×教師。
問答無用でヤッといてからに、「先生のこと弄ぶつもりなんて…」だの「先生に嫌われたかったわけじゃない…」だの、どこの幼稚園から脱走してきたのだ、月城よ。
[ 真夏のランニング中に倒れた山口悟朗を助けてくれた、いけてるアポロン様は、実は悟朗の勤務する会社の新社長で…… ]
カラー付き。
秘書×社長。
ストーリーがあるようなないような、生活感なく場面がぱかぱか変わる様子は、初め観光地巡り殺人事件タイプかと思ったけど、どちらかというとこれはビデオクリップ漫画ですな。それと登場人物の外見年齢が場面により10代〜50代とフラついているので、統一してほしい。おじさまシリーズの頃は好きだったんだけどなあ。
[ コンビニでのバイト仲間、山本民人と荒井也寸志。荒井がゲイだと知っても山本は動じもせず、二人の間には美しい友情が育っていたが……。 ]
いつもながら、こういう話ならアリかも……と思わせる話作りが上手い。もう一人のバイト仲間、名もなきおデブちんもいい味をだしてます。ところで、荒井が「彼女いない歴3ヶ月」というのは「彼氏いない歴」か「アニキいない歴」だと思うんだが〜(*1)。
[ 二人きりの姉弟の、姉が自分の担任・水上崇と結婚したため、高校生・島田智之は姉夫婦との三人暮らし。だが、姉が家庭内の事故で死去してから崇の様子がおかしくなり……。 ]
カラー付き。
義理の兄弟もの。
ここのところずっとSMづいているこの作者、今回もSM風味。素朴な疑問なんだけど、死んだ妻と義弟を誤認しているなら、崇は相手の性別の違いをどうやってクリアしたんだろう。変なものがくっついてる……とか思わなかったんだろうか。そして話は、次号3月号では番外編(予定)、本編の続きは5月号掲載という謎の展開へ。うまくひとつの物語にまとめきれなかったんだろうか。
[ ずっと片想いを続けていた駿が姉と結婚してしまった光は……。 ]
ううむ。駿の台詞自体はおかしくないんだけど、どこか「駿が光を押し倒す→告白する」のあたりが唐突な気がするような。というか、普通何もない人間が他人に勃×した腰なぞ押しつけないと思うので……、たとえば光あるいは駿がバイだということは二人の間では共通認識であり〜とか、光と駿は一時期付き合っていたこともあり〜とか、二人の関係は普通よりはもう少し深いんだよ、と示してくれるエピソードが欲しかったかも。
[ 部長である大滝の角が取れてきたこともあり、和やかな雰囲気の弓道部だが、大滝に目をつけた新入部員の登場で葉山は気が気でなく……。 ]
00年11月号掲載『永遠のため息。』の続編。
前作では日本男児の大滝となごみ系の葉山が好対照だったけど、今回はお邪魔虫・岡宮のために葉山はマジモードな場面が多かったようで。大滝に迫る岡宮を、襟首つかんでの一投であっさり排除する様子がとっても男前でした。