[ OBとして母校の水泳部のコーチをしている夏目は、偶然、部室で水泳部員の蜂谷(2年)と綾瀬(3年)がキスしている場面に出くわしてしまい……。 ]
巻頭カラー。
下級生×上級生もの。一応話運びは夏目が担当しているが、内容的にはほぼ部外者。だったら最初からストレートに蜂谷を主役にした方が良かったのでは。その方がラストの綾瀬の表情が効いたような気がする。
[ 別名“男宝塚”とも呼ばれる東華学園にも存在する“おたく”たち。彼らが勘違いしてTRC(東華ロマンスクラブ)の扉を開けた時から1つの恋が始まった……。 ]
美しさが奨励される学校ではおたくも皆美形揃いなのですな。しかし、どうせだったら「眼鏡を外したらあっと驚く美少年」の王道路線を踏襲して欲しかった。で、実はこの話には裏事情が……というのはいいんだけど、それについての伏線の一つもないのでは「なるほどそうだったのか」的読者のお楽しみが半減いたします。ちょっと設定先行というか、空回りしてる感じ。
[ アパートの隣人・相川千尋宛の宅急便を預かった榊裕介は訪ねた部屋で千尋が倒れているのを発見して……。 ]
やさぐれ少年を親切な青年が餌付けしていくうち心が通じ合い……というお話なんだけど、少々、通り一遍という感を免れ得ず。あと、起こったことや気持ちを文字で補足し過ぎ。もっと絵だけで表現してほしい。
[ 前の住人が置いていった鉢植えに貴晶が水をやると、突然咲いた花の中から平安調の童子が出てきて……。 ]
手のひらサイズのくせに妙に押しが強いと思ったら、元に戻った姿を見て納得。花ちゃん、変化する前は目つき悪げな色男じゃありませんか。花ちゃん×貴晶、その後の二人は〜?
[ 腕に覚えのある大学生の高宮・沢田・津川は高宮の発案でストーカー被害者などを保護する会社を立ち上げることにするが……。 ]
何故この漫画がこのテの雑誌に掲載されているのか謎だが、キャラクターのバランスが良くなかなかいい味を出している。8頁のショートストーリーなので、具体的な活動などは全然出る余地もないんだけど、今後続くのかな?
[ 元教師で現在サラリーマンの紺野と大学生の佑介はつきあい始めて3年目。 ]
クールで、目元のホクロが色っぽく、しかしカワイイもの好きでウサギのぬいぐるみを抱いて寝るという一筋縄ではいかない紺野にかなり高得点。プライベートと仕事をきっちり区別しているところもポイント高し。良いわ〜。
[ 作曲家の左京淳弥をギタリストとして迎えた人気バンド「BLANCA」。左京に想いを寄せるヴォーカルの和音は一度だけ左京に抱かれたことがあって……。 ]
バンド物。……なんだけど、この話においての「音楽」の存在って?とやや疑問符。前作を読んでいないし、今回は演奏場面がないからそう思うのかもしれないけど、和音と左京にしても一緒にステージに立つ関係って感じがしないんだよね。もちっと音楽を通しての互いの理解ってものがあってもいいんじゃないかい?
初めて読んだ心交社系の雑誌は、恋愛未満な話も結構あって、あまりやおい濃度は高くない感じ。印象に残る話もなくはないけど、もう少し突っ込んだ展開のものが読んでみたいかな。
「ボクのご主人様」CJ Michalski 芳文社花音コミックス ISBN4-8322-8109-7 C9979 \562E
[ 捨て子だったショーンは、次期領主であるクレイグの誕生日パーティーでクレイグに見初められ、今では周囲も公認のクレイグの婚約者。そんな二人のアツアツラブストーリー4編+描きおろしショート+他1編。 ]
ずばりショタもの。クレイグがショーンに一目惚れ云々というくだりは他社から出版されているコミックスに収録されているので、この本は実質シリーズ2冊目にあたる(らしい)。絵柄は安定しているし、いちゃいちゃらぶらぶだし、雑誌で1話ずつ読むにはいいと思うんだけど、まとめて読むとちょっとキツイかも。H頁が総頁数の34%というのは(数えた)多いのか少ないのか。あまりストーリーの起伏がないので、「ヤッてばっかりやね君達」という印象になってしまうんだな。それにしても、2人の間に愛があるのは大変にめでたいのだが、クレイグ様、もう少しショーンが大きくなるまで待つとかできんかったのかね。あーたの理性って……。まさに「優しげな顔してけっこうな変質者」(作者談)。そこが好きなんだが。
「俺はあなたの犬だから」深井結己 竹書房バンブーコミックス麗人セレクション ISBN4-8124-5367-4 C9979 \562E
[ 戸越隆二。極道の身内からつけられた名前は“狂犬”。彼は組の兄貴分で、実は異父兄でもある小田京一に強い感情を抱いていた……(『俺はあなたの犬だから』)。他読み切り4編。 ]
社会人同士、大学生×先生など、全体に年齢設定が高め。甘めの雰囲気のもの、コメディタッチのもの、シリアスなものなど、話のタイプもいろいろだが、人と人の気持ちの触れあいをありがちな「お約束」に陥らずに丁寧に描いている。
表題作はヤクザもの。“狂犬”と渾名される戸越は小田の身体に欲情するし、小田も戸越に相手をさせるが、そこには恋とか愛とかいう甘ったるい感情はなく、むしろ小田は戸越を犯しているといった方が正しい。何故なら、小田は自分の母親から夫を奪った戸越母子を憎んでいるから。暴力と抗争の中、戸越の小田に寄せる想いが淡々と綴られてゆく。それは決して小田に伝えられることはないし戸越も伝えるつもりはない。
手に取るのが恥ずかしくなるような表紙の本も多いけど、このコミックスのデザインはちょっと見とれるほど格好いい。ミーハーに男の子同士の恋愛を楽しみたい向きより、アダルトな方にオススメ。
[ 警察官の平井透は、従弟で中学生で受験生で悪ガキで恋人の東城貴文に引っかき回される毎日を送っていたが……。 ]
巻頭カラー。
平気でHなことで透をからかう貴文だが、子供扱いされないように無理して突っ張っているところもあって、透はそんな貴文を可愛いと思うのだった……というお馴染みのパターン。だけど外見はともかく、今のやりとりではまだ透と貴文が同レベルとしか思えない。内面的にはやっぱり透の方が大人だってところを感じさせてほしいな。
[ 両親のいない竹国友春は施設を脱走したところを会社員の天瀬邦彦に拾われ、今では年の離れた恋人同士。4月、友春は念願叶って合格した東洋薬科大学で、不穏な噂がつきまとう西邦建仁助教授と知り合うが……。 ]
西邦は友春の名前に心当たりがあるらしく、天瀬と西邦には過去の因縁があるらしく、また天瀬の会社の社長も何かを知っているらしい……等々、まだ話が謎のまわりを回っている状況。これからの展開は? ナチュラルに女言葉が似合う天瀬がステキ(笑)
[ 森下と一つ年上の吉岡は恋人同士。目下の森下の不満は、一人暮らしを始めた吉岡の部屋にいつも、吉岡の従兄弟の梶山がいること……。 ]
絵柄的には好きなタイプなんだけど、ところどころ登場人物の感情が繋がっていなくて、読んでいてつまずかされるところがある。視点も統一してほしいなー。それと、梶山が突然部屋に入ってきて驚く吉岡と森下……というシーンがあるんだけど、この家の玄関には鍵とかインターホンとかいうものはないのだろうか。
[ 先代の跡を継いで喫茶店を経営する匠とそれを手伝う佐武(さたけ)。しかし一向にやる気を見せない匠に人のいい佐武も呆れて……。 ]
怠け者でだらしなく27才になってもだだっ子のような匠だが、見ていて憎めないのは何故だろう。怒っているのに困り顔の佐武とはきっといいコンビ。佐武はそういう星の下に生まれついていると思って、ずっと匠の面倒みてあげてください。
創刊第1号は、学園ものファンタジー兄弟社会人などなど、読み切り連載とりまぜて18作品掲載で、まだよく雑誌の方向性が定まっていない感じ。割と淡泊……というか、登場人物の感情があまり伝わってこない気がする。もう少し一つの作品に対してページ数をとってもいいんじゃないだろうか。
[ 野宮が職員室に入っていくと、音楽担当の吉井が譜面おこしのバイトをしていた。内緒にするから俺のも内緒に、と野宮が煙草に火をつけると吉井はそれを取り上げて……。 ]
実に6頁のショートショートなんだけど、何本か掲載されていた先生と生徒ものでは、間の取り方といい、吉井の存在感といい、この話が一番良かった。やっぱり、先生は生徒よりは年数生きてるんだから、それを感じさせるような人物造形にしてくれなきゃツマラナイよ。生徒と同レベルのセンセーが押し倒されても何も楽しくないんだよ〜って、この話自体は全然そういう話ではないんだけど、でも妙に色気を感じさせてくれる漫画です。
[ 西暦2100年。孤児の春音は行き倒れていたところをナツミに拾われる。東京では春音のような「ストレス過敏症」の症状をみせる者が増えていた……。 ]
カラー付き
近未来というのは何年先のことをいうのだろうか。とりあえずこの話には状況説明は一切ないのだが、何となく未来かな?という気配は伝わってくる。この作者の描く人物はいつもストレートでそれが魅力かな。
[ 高2にして空手道場師範代の周防は、ふとしたことでガソリンスタンド勤務の我妻に殴られる。それ以来、周防は1日一度は我妻の顔を見なくては気が済まなくなり……。 ]
見た感じ、分厚い唇に敬遠気味だったのだけど、読んでみたら面白かった。やはり食わず嫌いはいけません。しかし何で185.6cmだの187.2cmだのいう人々が安那(あんな)だのみゆきだのいう名前なんだろう……。
[ 暴漢からカヲル達をかばって負傷した天涯は、しかし彼を気遣うカヲルに帰れと言い放つ。そしてまた、カヲルもある不安を抱えていた……。 ]
カラー付き。
天涯&カヲルシリーズ。
今まで天涯がハダカになったことってなかったっけ?と思い返してみたが、そういえば着物を脱いだことってなかったかもしれない。いつも割と暴力的なHだから気づかなかったけど、それにもちゃんと理由があったとは。ただの野獣ではなかったのだな岩田天涯。(←失礼) それでもって今回のカヲル君は結構肉欲的です。ところで下らんことを尋ねてもいいだろうか。最後数ページ、障子は開けたままだったんでしょーか。それって、外から見えたのでは……。
[ 小学生カップルの正津と進藤。ある日、進藤は正津の家に泊まりに行くが……。 ]
正津&進藤シリーズ。
とってもエッチで可愛くて笑える話。一見ひねていそうな正津とおバカさんな進藤は、正津の方が主導権を握っているようにも見えるけど、実は正津は進藤の言葉にイカされていたりして、二人とも相手にメロメロで一方的じゃないのがいい感じ。泡だらけのお風呂のシーンもいいけど、二人でお握りを作っている台所のシーンがほのぼのしていてカワイイ。
読み切り17本。ネタがかぶっているものが2、3あったけど、そういうのは編集部はチェックしないのかな。「寝言で呼んだ別のオトコの名前は、実は」な、ありがちパターンを続けて読まされてしまった時は、どうしようかと思ったよ。でも、面白い話もつまらない話もあったけど、どうでもいい話が少なかった。それぞれの物語の押しは結構強いと思う。
[ 社員旅行で温泉にやってきた町田課長と謙二郎は、偶然取材で訪れていたカメラマンで謙二郎の兄・宗一郎に出会うが……。 ]
巻頭カラー。
町田義親子シリーズ第3弾。
しょっぱな、燃える卓球勝負、課長vs謙二郎から魅せてくれます。優しげな容貌と相まって無意識のうちに相手をオトしてしまう癖のある、謙二郎の兄・宗一郎が初登場なるも、やはりメインは課長。オヤジを描かせたら当代一かというこの作者、今回はまさに課長の魅力大爆発!の号でした。イカス〜。
[ 常盤と清洲は森口先輩から連絡を受け、追われている少年・友哉と同席していた。そこへ友哉の兄が率いる池袋のグループが現れ……。 ]
オイシイところ丸ごと森口先輩に持っていかれてしまってます、常盤も清洲も。サブタイトルに“―未成年―”とある通り、真正面から『青春』を描いた作品。真正面すぎて……いささか……というか、かな〜り照れますな。
[ 気持ちが通じ合ったのもつかの間、女優小篠繭美の隠し子であったことがマスコミにバレ、アツシはハルキの前から姿を消してしまう……。 ]
急転直下、アツシの涙で開眼してしまうハルキがやや唐突。アツシからのアプローチがなければ、そのままケンカ別れになっていた訳で、ハルキはこれからのためにももう少し人の気持ちを思いやる習慣をつけた方がいいのではないだろうか。その後のハルキ×アツシは、立場が変わったら今までとは打って変わったハルキの攻様ぶりが堪能できる14頁。ちょっと濃すぎ……。
[ 失恋続きで未だ彼女がいない、色白痩せ型カワイイ系の大学生野々宮泉は、ふとしたことで、大型頑強不愛想系の隣人谷口がオナッている場面に踏み込んでしまう。翌日、谷口に部屋に引きずり込まれた泉は一緒に死んでくれと懇願され……。 ]
カラー付き。
某少女漫画家が名前を変えて初登場。さすが起伏のあるストーリーをコメディタッチで楽しく読ませてくれる。……けど、元のペンネームを知っているせいか、どうも普通の漫画とやおいの微妙な一線を越えていないような気がしないでもない。「何故?」と問われて「登場人物の自然な存在感」と答えたらかなり理不尽な回答になるんだろうけど。この作品も「ヤングユー」に載ってても案外大丈夫そうな感じもするけどなあ。……無理?
[ 野球部エースの田部は、二軍にいる伏見のバッティングセンスに惚れ込み、いろいろと世話を焼くが……。 ]
カラー付き。
Spring Special掲載『かわいいあのコ』続編。
前作と同じようにヤリまくりシーンもあるものの、伏見の真剣な顔とか照れた顔とか仕方なさそうな顔とか優しい顔とか、いろいろ見られたからそれで手もなくほだされてしまいましたとさ。やっぱりちゃんと気持ちが通じ合う話は読んでいても心が暖まるものです。
[ 近衛雅也と華月夕馬は、三代にわたってライバル関係にある不動産会社の跡継ぎ同士。そんな二人は密かに恋愛関係にあったが、雅也は夕馬が他の女の子と浮気しているのを見てしまい……。 ]
巻頭カラー。
1月号の続編。
な、なんかとっても展開が少女漫画チックというか、雅也が女の子でも全然差し支えないというか、むしろその方がごく自然というか。雅也は初体験の痛みにいまいち腰が引けていて、夕馬はそんな雅也に嫌われたくなくて、ギクシャク……ってねえ、コトに及んでは絶対に入れなきゃならん、という呪いがかけられているのかね君らは。無理に入れなくたって十分気持ちよくなる方法もあるでしょーが。それと、他社との合併話に思いっ切り私情を挟めるなんて、近衛も大した規模の会社じゃないのかな〜、とちと思ったり。
[ 落ち込む晶に代わって兄の芳が大地の素行調査に向かう。誤解はとけたもののどうも上手くいかない晶と大地。そんな時、晶は子連れの元カレに再会し……。 ]
カラー付き。
相手のことを考えているようで実は、結局自分が傷つきたくない晶のぐるぐる回る性格が諸悪の根元だったこの話。しかし大地も、晶を縛って「あんたのことなんか考えてやらない。俺のしたいようにする」と宣言した割には、愛撫に走ってしまうあたり奉仕攻の見本の如し。それにしてもつくづくこの作者の描くキャラクターって「ワタシ脱いでも凄いんです」状態ですな〜。で、これがコバルト文庫作品の続編とは、時代も変わったものでございます。
[ 母校バレー部のコーチを努める八代と部長の日々谷は付き合っている――というか、SEXをする仲。ある日、八代の元チームメイトでカラダの関係もあった松坂が日々谷をスカウトにやってくるが……。 ]
3月号掲載『愛をちょうだい』の続編。
うーん、前作で「過去のアナタじゃなくて今の八代コーチが好きなんです」と日々谷に言われて、てっきりもう気持ちが通じ合っているものとばかり思っていたら、まだ八代は堂々巡りしていた模様。そのくせ、自分が日々谷の言葉に動揺するのと同じくらい、日々谷にも自分の言葉で動揺してほしいと思うのは、つまりそれだけ自分に関心をもってほしい気持ちの表れなんじゃないだろうか。カラダは開いてもココロを開くのは難しい八代の恋愛、日々谷視点だとまた違った雰囲気になるんだろうな。
[ いつの間にか頼りない後輩の斉藤を好きになっていた永井は最悪な気分で彼の結婚披露宴でスピーチをするハメに。二次会をサボッて飲んでいた永井は、新婦の同僚の本田に絡んだあげく酔いつぶれてしまう……。 ]
やや泥くさい絵柄がスーツを着た男たちがジタバタする物語によく似合って(褒め言葉)、本田のなぐさめセットオプション付きまでの話運びにも無理がなく、こんな失恋の一夜もアリかも、と思わせる。次は11月号掲載。久々に続きが待ち遠しい作品。
[ 誠太郎とヒロトがつきあい始めて2ヶ月、しかしヒロトは何故か我慢強い誠太郎の手を振り払ってしまう。そしてヒロトが自分に嘘をついていたことを知った誠太郎は別れを口にする……。 ]
判っていた結末といえばそうだけど、それを読者に飽きさせずに丁寧に描く作者の姿勢に好感がもてる。しかしまー、誠太郎って、もう高校生って感じじゃないね。すっかり大人の顔になってます。
[ 相変わらずビミョーに三角関係な日々を送る、馬場、黒沢、三木。しかし元々、謹慎のために体育科男子寮に入れられていた馬場は、寮を出ていいと先生に言われて……。 ]
カラー付き。
山あり谷ありギャグありケンカありだったこの話も終わってしまえばあっけなかったような、木清君も絡めてもっと読みたかったような。結局、一番まともなキャラクターって黒沢だったのかな。三木はクールな人なのではなくて実は妙な人だったということが明らかになったし。木清が着ていた黒沢のシャツの匂いなんて嗅いでるしさ……。意外に、馬場の「のるよ」に男らしさを感じたなー(笑)
[ 天涯が新聞連載の依頼を蹴ったことを知ったカヲルはその理由を天涯に問う。天涯の言葉にショックを受けたカヲルは……。 ]
天涯&カヲルシリーズ。
「JUNK!BOY」と同時展開。「JUNK!BOY」掲載『紅蓮の刃』で一部明らかになった天涯の過去がこちらの話に絡んでくる。うう〜ん、天涯がどうやってあの髪型をキープしているのか判らないのと同じくらい、カヲルが天涯のどこに惹かれているのかがよく判らない……。天涯→カヲルだったら判らないでもないけど、その逆はなあ。流されているようにしか見えないんだけど……というか、究極の“受け入れる人”というイメージがあるなあ。
久々に(失礼)読んだ気がした一冊(エラそう)。
[ 複雑な家庭環境にある長嶺家次男の斗紀は、家族の反対を押し切り一人暮らしを始めるが……。 ]
巻頭カラー。
断ち切りがたい恋心を押さえるために家を出たものの、まだ高校生の身では一人はやはり淋しく、自由を満喫しようにもアパートはボロくていまいち盛り上がらず、気分は沈んでいく一方――とはいえ、酔いつぶれたあげく、自分から「帰りたく…ない」なんて誰とも知れぬ相手に縋りついたりしたのでは、こりゃもうナニされたって文句言えないってもんでしょう。あと、目の大きさ(横幅)が危険な領域に入りつつある。これ以上大きくなったらヤバいと思う……。
[ あこがれの先輩・末延卓が夏前に引退してしまうと知ってやる気がでないバスケ部所属の中野織衛。カノジョの更井愉香の部屋でセックスをしていると、突然桑原竜巳という男が混ざってきた。しかも愉香は末延とも付き合っているらしく……。 ]
カラー付き。
ずいぶんと脈絡無く展開する話も、原作が高口里純と聞けばいかにも納得。かなり原作に忠実に描いているのか、高口里純の絵が後ろから透けて見えるような気がする。1月号から本格連載開始ということだが、絵が綺麗だから雰囲気が出ているものの、話がヨタればただのだらしない話になってしまう危険性もあるような。『衝撃のセクシャルストーリー』の行方はどっちだ。
[ 新宿歌舞伎町「シュナップス」No.1ホストの岩城京介は、自分を裏切ったNo.2の鷹秋亮をできる限り傷つけ捨てようと決意する。 ]
岩城に捨てられたとびーびー泣く鷹秋もはり倒してやりたくなるほどの甘ったれだが(岩城にべったりしがみつくんじゃなくて、対等になってやろうという気概はないのか)、自分の言う通りにしなかったからといって騙したの裏切ったのと大騒ぎする岩城も相当に情けない。そんなんで「俺のプライドを傷つけた代償だ 俺はお前を壊す」と言われてもねえ……。それっぽっちのことで堂々とプライドが傷つけられたと認めてしまえるほどのプライドこそ、捨ててしまった方がいいのじゃないか?
[ 幸哉は高校で小学校の頃の友人、田所風太に再会する。風太の部屋を訪れると、風太は「ゆきや」と名づけた金魚を飼い、幸哉の写真をたくさん貼り付けたコルクボードを飾っていた……。 ]
どこか小学生のまま時を止めてしまったようなストーカー風太がいい具合に不気味さを醸し出している……と思ったら、ラストあっさりくっついてしまってやや拍子抜け。風太はいい友達だけど恋愛対象としては見られない幸哉が、それでも風太を拒絶はできなくて次第に風太の独占欲に絡め取られてゆく……というアリ地獄的な話を希望〜。
[ 鬼マネージャーとして陸上部員をシゴく藤本だが、何だかんだいって下級生からの人気は高い。しかし次第に安孫子との関係はぎくしゃくしつつあった……。 ]
カラー付き。
『バス停留所』シリーズ。
藤本も安孫子もどっちも男らしいっつーか、それにしても怒鳴りあいが多かったですな、今回。多分きっとどちらも相手をちゃんと好きなのに、すれ違ってゆく感情が痛ましい。ところで安孫子よ、ちみは潤滑剤を日々持ち歩いてんのかね……?
[ 朝陽がふと目を覚ますと、隣に身体にリボンを巻いた光基が寝ていて……。 ]
無言編っつーことで、台詞ナシの4頁。旭が逃げていった通り、ちっと、はしたないかもね(笑)
学生ものが半分を占めるなど身近な設定が多く、読みやすい。割とストーリー性も高めかな。
[ 借金取りを殺したと思いこんだ藤堂忍と川口勇介はあてもなく列車に乗り込み逃亡を図る。そして札幌から東京へ……。 ]
巻頭カラー。
'99 10月号〜12月号掲載の同名タイトル作品の続編。
淡々と交わされる忍と川口の言葉が小説を読んでいるような錯覚をもたらす。追われていてもいなくても同じこと。ほんの少し世界が狭まるか広くなるかだけで、閉鎖的な毎日に変わりはない―― そんな印象を感じさせるこの作品が、これからどう動くのか、見たいような見たくないような。
[ 財閥の御曹司で優等生の藤原豊の生活は、遠野麻紀が転校してきてから次第に歯車が狂ってゆく……。 ]
優等生転落の図。というより、ひどく子供っぽい感じを受けた。自己中心的でしかもカラ回りしたあげくに責任転嫁。成績が落ちたのを両親に叱られたって、もう少しうまく言い訳できんものかのう。ところで、「遠野麻紀」という同じ名前の漫画家がいるのだが……。そういうのはもう少し気をつけた方がいいのじゃないだろうか。
(2002.06.04追記 上記ネーミングは意図されたものだというご指摘を戴きました。事実誤認についてお詫び申し上げます。)
[ 芸能界からもスカウトが来る高久静は、実は母親にときめく男子高生。だが、その“母親”である遙さんは性別不明で……。 ]
高校生にもなって親の仕事を理解していないうえに、性別すら判っていない静って、今までいったいどういう生活を送ってきたのだろうか。大名屋敷に住んでいる訳でもあるまいに。謎だ。しかし、この棒のような首は何とかならんかい。
[ 真田宝珠は、美人だが情緒的に問題がある先輩の白銀とつきあい始めるが……。 ]
「美人」とか、学校に誰も来ないような中庭があるとか、そこで昼食をとるのにわざわざシートを準備してくるとか、そんなところがやおいというよりはむしろ百合チック。さすが同人誌でのうたい文句が“男と男のりぼん”なだけはある。で、今更きちんとした背景を入れようっていう気にはならないんだろうな……。
連載物が多いということもあるけど、新書館カラーが強くて一見さんにはかなり入りにくい雑誌のように思う。現実感のあるやおいも、まあ滅多にないけど、この雑誌はファンタジー寄りというか、また別方向で現実から離れている感じだからなあ。
[ エロ小説書きの一ノ瀬哲生の姉は未亡人。カタブツな幼なじみで友人の史朗は姉の顔を見に哲生の家にやってくるらしい……。 ]
〆切間際という割に、哲生に緊迫感のカケラもないのはどういう訳だろう。商業じゃないのか? まさか同人? こういう場合定番としては、史朗は姉のことが好き――と哲生は思っているけれど、本当に史朗が好きなのは哲生、というパターン。だけど友人と思っていた男から「お前ってどういうセックスすんの?」と尋ねられたあげく実地で「教えろ」と迫られた日には、史朗が哲生と距離をおこうと考えても無理はないとも思う。
[ 長老会から遣わされてきた湯名牧師に人気を奪われ、いじける矢内牧師だが、ピアノ教室の生徒から、とある相談を持ちかけられ……。 ]
vol.7掲載『羊たちの番人』の続編。
目付役の湯名がついたものの、矢内のふてぶてしさは勿論健在。というより恰好のエモノを見つけてより一層磨きがかかったというべきか。目つきの悪さがたまりません。お茶目な浅間山さんもなかなかステキ。教会・牧師といった設定が名前ばかりでなく最大限いかされているのがさすがです。
[ 久々宮緋里の父親は出版社社長。緋里は、幼い頃から何かと頼りにしてきた父の秘書・藤城のそばにいるために小説家になるが……。 ]
内実はどうあれ、自分の父親の出版社で新人賞受賞だなんて、よそから見たら商売のための話題作り、ただの内輪受けとしか受け取られないんじゃないだろうか。無邪気に喜んでいる主人公がガキっぽいというか世間知らずっちゅーか。とにかくやることなすこと小学生レベル。子供っぽいという設定でこういう描写ならいいけどさあ……。
雑誌表紙の矢内&湯名に見とれつつ、ひょいと裏返してみればチビキャラの二人が。か、かわええ……。だが定価 870円は高い。高すぎる。