(以下は2004.05.15に書いたものです)
[ 事実上結果が決まっていたオーディションで、新番組主役の座を射止めた上智だったが、その結果自分を励ましてくれた国府がキャストを外れてしまったことを知って……。 ]
巻頭カラー。
本当は結構優しい風間にときめきつつ、単なる仕事仲間以上の友情をも結びたいと願う上智クン。って、恋も仕事も友情も……とは、ちと欲張りすぎなんでは。確かにいろんな意味で刺激を与え合いつつ輝いている二人、という像は格好いいし憧れるものもありますが、反面、各要素のバランスを取るのも大変なんじゃないでしょうかね。
が、思えば新田漫画は同業者間恋愛がその作品の多数を占めているのでした。
全然関係ないですが、ラストのコマ、弓ちゃんの表情がすごいです。
[ 付き合っている生徒の卒業を目前にして、捨てられる予感に怯える保健医の柴咲は自分から別れを切り出すが……。 ]
高3生×保健医。
うーん、人物の見分けがつかない。先生役が27歳に思えない。コマの繋がりが悪くて読みにくい。
しかしなー、別に先生だってガッコに閉じこめられている訳じゃあるまいし、自分から卒業生に会いにいったらいいと思うのですが。っていうか、「昔付き合ってた生徒が皆そうだったから」って、アンタ今まで一体何人の生徒を喰ってきたんですか。極めて判りやすく挿入されているエロシーンでの攻め生徒の台詞といい、読みようによっては純情ぶった淫乱先生が若い生徒の肉体に溺れているだけ、とも取れなくもないので(それならそれで全然問題はないのですが)、切ないラブストーリー仕立てにするなら、もっと二人の気持ちの繋がりを強調して欲しいところ。
[ わがままな弟の頼みを聞いて、有名レーサーのカイルに会うためフィジーを訪れた大和だったが……。 ]
新連載。2色カラー。
リハビリ中のレーサー×小学校教師。
キャラクター配置といい展開といい、作者得意の路線というかワンパターンというかで、どきんっときてキュンッっとなってキュッとくる三連打にこちらも違う意味で腰くだけっつーか、新連載なのに既にラストシーンが予測できてしまいそうです。まだ受の方がバリエーションがあると思うので、次はいつもの強引で逞しい攻とは違うタイプでお願いしますわー。
[ 銀行強盗の現場で爆発が発生する。そのただ中に馬堀中隊長がいたと知って飛び出す相楽だが……。 ]
現場に行く!と言って駆けつけた先が、なんだかんだで結局カレシのいる病院ってんじゃしまりがねーですなあ。(本人も自覚してるようですが) もうちょっと管理官らしい仕事をしているところを見せてもらいたかったなー。
ま、それはそれとして、馬堀兄のボケぶりがなかなかステキです。馬堀弟が最後まで突き崩せなかった相楽の心の壁が割とあっさり乗り越えられてしまったのは、こう言ってはなんですが少々拍子抜けの感がありますが、それもまあ馬堀兄のキャラクター故、なのかな。粗暴そうに見えた大きな手はその実「厚い掌で壊れ物もしっかりキャッチできる優れもの」だった……ということで。“お互いずっと負けてりゃ〜”という台詞は先妻との関係で得た教訓でしょうか。
――でもやっぱりトラと馬堀弟がくっついてしまうのがよく判らなかったり。最終回合わせで、とってつけた風に見えてしまうのですがー。ここはきっぱり相楽の話としてしまった方がよかったかも。
[ 姉が反対しているから、というそれだけの理由で、ようやく口説き落とした東堂和臣から一方的に別れを告げられた滝沢仁だったが……。 ]
カラー付き。
興信所の調査員×ボンボン。年下攻風?
姉だったり上司だったり、身近な女性に振り回される男達――なのはともかく、女性が暴れすぎで盛り上がりどころを逃してしまった感じ。読んでいて冗長に感じてしまいました。絵はとても綺麗だと思うのですが。
[ 急逝した資産家の生島氏のただ一つの遺産であるダイヤモンドの行方が判らなくなり、弁護士の宮脇と刑事の室生が捜索にあたるが……。 ]
遺産相続もの。刑事×書生。ライトなスカシーン有り。
室生の正体が明かされるラストがちょっと意外でした。(道理で刑事にしてはあまりに無体だった訳だ)
それにしてもたいしたご慧眼ですな、室生サン。事前の資料で生島氏と書生の高梨の関係を知っていたとしても、どうして「ソレ」が「アソコ」にあることが判ったんでしょうか。そもそも生島氏が亡くなって何日後に親族会議が開かれたのか判りませんが、あんなところにそうそう何日も隠しておけるものなんでしょうか……。そして、室生の推測が当たっているなら、生島氏は実の息子の息子を可愛がっていたということになるのですが……。うーむむむ。
[ 親の都合で要人が大阪に引っ越すことになり、突発的に志木は要人を連れ出すが……。 ]
03年10月号の続きにして、シリーズ最終回。
何だかすっかり愛と人生を語る壮大な話になってますが(何というか……お育ちがいい人達だなーという気が)、それなりにきっちり一区切りつくまで掲載されて、物語にとってもキャラクターにとっても、多分一番いい形で終われたシリーズなのではないかと思います。
それにしても要人もしばらく見ないうちにすっかり男くさくなっちゃってー。
[ クリスさえいてくれればいいと願うアヤだったが……。 ]
ページをめくってアラびっくりなオールラフ原稿。それはそれで通常読者が目にしている完成原稿にはない味がありますね(←そういう問題ではない)。
……作家的には、「先生のご都合で休載」と書かれるのと半端な原稿を掲載されてしまうのとでは、どちらが痛いものなんでしょうか。
肝心の話の方もなかなか先に進みませんのう。どんなに素晴らしいストーリーも、構想だけでは余人には伝わらないので、読者としては形にされるのを待つしかない訳なのですが……。うーむ。
[ 珠貴と日和を屋敷に迎えて楽しい一時を過ごす暁(と不機嫌な怜)。二人が帰った後、新たな来客が……。 ]
巻頭カラー。
新連載(5回連載)につき、新キャラが続々と。
うーん、それにしても断続的に掲載されてるこのシリーズ、作中時間はまだ半年も経ってないのかー、と連載が始まるたびに驚いてしまいます。もっとガンガン話を進めてもバチは当たらないんじゃ……。
というか、何度も載ってるんだから相応の人気があるんだと思うのですが、その割にいまいち話そのものは地味というかインパクト不足な印象が。もっと間を詰めて盛り上げていってもいいんじゃないかなーという気がするのですね。
……などと考えながらドラマCDの広告を見たら、“王子様みたいな彼(怜)の過剰スキンシップ&突然の大金持ち生活に、一筋縄ではいかない美形たち(♂)も現れて…暁の毎日はドキドキ!?”なる文が。そう言われてみれば確かにそういう派手設定だったか……地味とは大変な失礼を、と頭をかいてしまいました。(何か別の話みたいだ)
しかしなー、怜は王子様チックかもしらんが、ガキんちょの暁とではちょっとミスマッチ、つか、王子様キャラの有り難みを判ってもらえなくてちょっと勿体ないような気がします。
[ 信仁の友人・山代に恋人として紹介された亜澄だったが、何かと信仁との仲に水を差すような言動を山代にされて……。 ]
家具デザイナー×大学生。
03年8月号、11月号ときて3回目の掲載。
嫉妬は醜いですねーというお話、か。
ガキくさい山代の陰険ぶりがあまりにあからさまなので、ちっとも信仁と亜澄の仲を心配する気になれませんでした……というのは、良いのか悪いのか。ともかく、もう少しオトナになりなよー>山代
山代の、信仁に対する独占欲の中に恋愛感情は含まれてなさげだけど、オーナーに対してはどうなんでしょうかー?
[ 世界初の万国博覧会に沸くロンドン。機械部門で覇を競い合う新興のシャービーズと大手バスカヴィルだったが……。 ]
少年社長×ワケあり秘書。
産業スパイを焦点に、最初にラストの山場を提示しておいてそこに話を収斂させてゆくスタイル。
互いの立場を解り合った上で、それについて触れたいような触れたくないような、カイとユキの微妙な関係が見物か。
ユキもかなり若そうだけど、それより更に年少なカイがなかなか勇猛果敢な攻めなのが頼もしいです。初体験はいくつなんじゃ、おまいさん。
ただ、皺っぽい唇と、活字擬音には慣れませんのう……。
あと、「一騎打ち」ないし「一騎討ち」じゃないすかね>一騎射ち
……で、これ、続き物ですよね? 続きはいつ頃に……?
[ 記憶を失って、娼館のおかみに拾われた青年は、数年後、「夜来香」(イエライシャン)という名の男娼として密かに名を知られるようになっていたが……。 ]
カラー付き。
03年6月号の続編。4回連載。
雑誌記者×男娼に身をやつした妾腹の子爵家御曹司。
序章(6月号)を読んだ時には、愛情と憎しみ、裏切りや野望、欲望が渦巻く、読むのも描くのも体力を消耗しそうな話を思い浮かべていたのですが、いざ連載が始まってみたら、もう結構ストーリー的には先に進んでいて、ストレートな復讐譚になりそうな感じ。ちょっと話運びが都合良すぎな気もしなくもないけど、これからどのように盛り上げてくれるか、作者のお手並み拝見と参りましょうか。
[ 15才になり、変わりつつある相沢に橘は……。 ]
中学教師×生徒。
ゴールド 00年8月号→10月号→12月号→マガビー 02年8月号……で、今回でラスト?
や、「あと3年あると思っていたアンタとの学校生活はもう終わりです」ってさ、相沢君、それは外部受験しようと持ち上がりで進学しようと同じことじゃないのん? 併設校であっても、中学と高校は別ものだと思うんですが。
それはさておき、おませな相沢よりむしろ、橘センセがねー。「なーに賢げなこと言ってんのー?」と背中の一発でも張り飛ばしたい気持ちがムクムクと湧いてきてしまったのですが。あうう。
導き手を自認するなら、通過点として自分の存在も卒業されてしまう覚悟があってしかるべきだし、相沢の言葉で今更自分の気持ちに気づいたなら迂闊すぎだし、どっちにしろ一人に深入りして結局その手を離せないなら、学校の教師には向いてないんじゃないスかねえ。煙草の消し方といい、イメージ的に家庭教師っぽいような気が。
5/10コミックス発売予定。
[ 突如現れた、凪の恋人だという朔に動揺する聖だったが……。 ]
カラー付き。
03年7月号、12月号の続編。
新キャラ参入&凪の正体判明で、お手軽スケールアップ。
いまいち描き分けが甘い上に、コマ中、人だらけなので誰が誰やら判らなく……。背景を入れるとか遠景にしてみるとか、もうちょっと画面構成に変化をつけてほしいところ。
それにしてもなー、守護霊のトラブルで人間の方に悪影響が出るんじゃ本末転倒というものでわ……。先祖の供養が足りないって話でもないしなあ……。
[ 超常能力を持つが故に正義と悪に分かれ、対立を繰り返す来坂村出身者たち。東京で会社勤めをしている天城正悟もまたその一人だったが……。 ]
幼馴染み系。年下攻め。
えーとえーと前作に引き続き、こりゃまた突飛な設定で。超能力者ものというより特撮調?
会えばいつだって子供の頃と同じような気安い雰囲気に戻れる正悟と刀磨だけど、幼馴染みノリの中にも微妙に恋愛感情をにじませる刀磨が大変にカワイイです。やー、この少年くささがたまりませんねー(20才だけど)。年下の方がガタイがいいというのも外せません。
今後、話がどう転がってゆくのか見当もつきませんが、後編が楽しみです。
[ 教師の桜井が何となく気になる保志は、彼の淋しげな横顔を見てしまい……。 ]
高校生×教師。ノスタルジックラブストーリー。
Hシーンは相変わらずリアル風味ですのう。そこに至る桜井の行動がちょっと唐突だった感じ。ポイントポイントは突いてくるんだけど、ダブル主人公といった趣なので、その分インパクトが弱くなってしまっているかも。
前を向いて終わる話なのに、どことなく物悲しいのはもう過ぎ去った時代の話として描かれているからなのかな。
ところで、なにゆえ桜井先生はやたらに「保志クンッ!」と気張ってお呼びになるのでしょうか……? そのたびにどうしても花形満の面影が脳裡をよぎるのですが……。
[ 女優の赤石冴子と会っているところを週刊誌にスクープされてしまった一楽。事情を釈明しようとしない一楽にキレた流生は……。 ]
カラー付き。
一楽が自分を子供扱いする、と流生はおかんむりですが、そうやって説明しろと吠えたてるのが逆に子供の証のような。
何だか今ひとつココロにヒットしないのは、もう一楽と流生がデキあがった仲だからなのかしら……。むしろフラつく中年・滝田の方が気になってしまいます。
続きは4月号。
[ 熊樫の最重種・アメリカングリズリーのヨシュアとの間に子供を作ることになった熊樫照彦だったが……。 ]
前編は身も蓋もない生殖現場の事情が語られたりしてなかなかにショッキングでしたが、熊樫先輩とヨシュアの話自体はスウィートな初恋物語でしたな。一人をずっと想い続ける猿人的恋愛に憧れていた熊樫先輩には、彼を6年間想い続けていたヨシュアはうってつけの相手でしょう。
……しかし、あまりに可愛いラブストーリーだったもんで、かえって「無理してない? 好きなように描いていいんですよ?」と心配にもなってしまいました……>作者のヒト
特別目次増強月間Part2という訳で、麗人 '93年〜'97年分のデータを追加(一部抜けがあります)。
麗人、マガビーの創刊が'93年。JUNEという老舗はまた別格として、商業ベースで定期的にBL漫画雑誌が発行されるようになって、だいたい12、3年というところでしょうか。それは、「まだ」というべきか、「もう」というべきか。その間に一体何冊の雑誌が創刊され、廃刊されていったことか。
Kanaanは3号と保たなかったようですね。いきなりアンソロジー仕立てになっていてびっくりしました。期待していただけに残念ですねー。