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2001.04.15 (Sun)

『最後のドアを閉めろ!』前編 山田ユギ

[ 頼りない後輩の斉藤に片想いしつつ、すべての事情を知っている本田にも惹かれる永井だったが……。 ]
 巻頭カラー。
 00年7月号11月号→01年1月号ときて巻頭カラー前後編で登場。リーマンもの。実は本田の方が永井より年下だったことが判明。永井27才、本田25才、斉藤25才。これでどっちに転んでも年下攻決定かー。それにしても天然な斉藤はともかく、やけに本田が攻勢に出とりましたが、一体何があったのだ、本田よ……。「酔ったフリしかしたことねぇよ」なんて、恋とも愛とも名づけられないまま水面下で進む2人の関係は、そして逃げた花嫁に再会した(んだろうな、アレは)斉藤は――? いいところで以下次号。

『生徒の主張▽教師の本分』 高座朗

[ 臨時教員として赴任した高校で、生徒の古閑京一から告白された八尋。直接の教師・生徒という関係でなくなってからも付き合いを続けていた2人だが……。 ]
 高校生×教師。
 うーむ。攻キャラの高校生はさておき、受ちゃんの先生がねえ。女性に十分置換可能である、というかその方が自然だ、というか、「性別:受け」という言い方があるけどそれとも違ってむしろ性別分類不能な感じというか、透明なガラスのような……と言えば聞こえはいいが、要するにお人形さんなんだなあ。もっと独自の色を出して下さい。小説b-BOYに前作有り、7月にコミックス発売。

『HEAVY-DUTY』第2回 石原理

[ アーチャーのパピロン私設更正院での生活が始まる。一方コーキは……。 ]
 アーチャーはもうエドに対する愛も憎しみも受け入れているように思えるのだけど。ただどうしてそうなってしまったのかが問題なだけで。コーキは即刻その無精ヒゲを剃るように。似合いません。さっくりとマーフィーの手術は行われてしまったのですな。どんな感じになってるんでしょうか。そしてアイス、まああ立派になっちゃってー。
 ……ところで、あふP新刊の表紙をビブロスのサイトで見たのですが、入谷のあの服は一体……? 防犯用のカラーボールが炸裂でもしたのかと思ってしまいました。

『スウィート・オーダー』 九条AOI

[ ふとしたことで知り合った立花と中野。いつしか中野が立花の部屋に泊まるような付き合いになっていたが……。 ]
 カラー付き。
 2月号掲載『そして彼は舞い降りた』の続編。フリーターもどき×社会人。
 うーむむ。前作で知り合った2人の初H話なんだけど、前作同様あっさりしすぎというか形ばかりの起承転結で終わってしまっているというか。Hシーンにしても、中野が立花に覆い被さる場面はさすがに1ページ使っているだけあって、おっと思ったもののその後は間接表現は一昔前のお耽美みたいだし、片足上げての大胆カットは瀕死のバレリーナ(暴言失礼)みたいだし、何だかことごとく裏目に出ているような気が。そもそも仮にも大の成人男性がそんなに簡単にお姫様だっこされてしまうというのがどうもねえ。むむ。

『瞳のギワク』前編 あさぎり夕

[ 横暴を絵に描いたような高校生・切間竜也に翻弄され続ける教師の藤咲瞳だが……。 ]
 カラー付き。
 『瞳のホンネ』続編('00 12月号〜'01 1月号掲載)。高校生×教師。
 うーむむむ。竜也のマネキン化に拍車がかかっていて怖い。表情が変わらないのに、その奥で表面に出てこない感情の噴出が感じられてとても不気味です。お面かぶってないでもっと表情筋を鍛えてくれい。で、瞳の一人称で話を読む限りでは、この2人、気持ちが通じ合っているというよりは、竜也に好き放題されている瞳が一生懸命その行為には愛があるのだと思いこもうとしているだけのように見えてしまうのですが。

『君主サマの恋は勝手!』第2回 こうじま奈月

[ 副会長就任を要請したのは「好きだから…」。織人にキスされてしまった隆也は……。 ]
 織人は侠吾と自分を引き比べて、「俺はあいつより劣っているか?」とのたもーていたが、劣っているかどうとかでなく、織人の態度は人として問題があるのではないかと思うのだがどうだろう。だが、きっと隆也は侠吾を振って織人とくっついてしまうんだろうなァ。来月、「そんなに簡単にほだされンな、馬鹿か」と怒り狂う自分が見えるような気がする〜。確かにタイトルに偽りなし、という感じだがねえ……。という訳で次回最終回。

『STORM 幸せになりたい』短期集中連載 水上シン

[ 山賊討伐を命じられ兵を率いて四川省は神狼山に向かった徐鉄は、商人の一行が山賊に襲われているのを知り、助けに向かうが既に遅く逆に山賊に囲まれてしまう。その時現れた山賊の頭、狼は驚くべき美貌の持ち主で……。 ]
 カラー付き。
 作者得意の無国籍風中華もの。
 大真面目な徐鉄の言動が愉快です。ただ、狼は美形は美形なんだけど、それってどうも徐鉄が言っているような“紅一点、花が咲いているようだ……”“都の美姫達が百人束になってもたち打ちできぬ程の――”というタイプの美しさではないように思うんだけども。カタブツだから上手い形容の仕方を知らないのか、それとも本当に徐鉄の目にはそういう風に映っているのか、そのあたりが謎。野性味あふれる狼の立ち居振る舞いは奔放そのもので、さて今後どんな活躍をしてくれますか。

『迷彩天国♪』〜年上の男編〜 神崎貴至

[ 無事に室見のいる部隊に配属された藤崎だったが、しかしそこには室見の元カレ百道がいて……。 ]
 自衛隊もの。うひゃー藤崎ってまだ未成年だったのかー。それにしちゃ健闘してる方ではないでしょうか。すっかり一途なヤツになっちゃって、本気で室見が好きなのねん。新隊員歓迎会で酔いつぶれた隊員2人を後部座席に乗せての帰り道、思わず車の中でイタしてしまった藤崎と室見、一緒にイッた後の幸せそ〜な気持ち良さげな顔が実におバカでカワイイ(笑) 次回掲載分にて最終回。

『LEVEL-C』 葵二葉/紅三葉

[ 仕事で忙しい一臣にイライラが溜まるみずき。そんな時、一臣が交通事故に遭ったという知らせが……。 ]
 カラー付き。
 じーつーはー、この話結構好きなんですが、さすがに最近はループ気味のような。2人のやりとりで終始してしまうのでなく、ここらで具体的な事件の1つも起こしてほしいところ。それと、どんどん一臣が若返ってゆくのは何故……。

 ゴーイン系の攻キャラの話が多かったかな。もっとバラエティーに飛んだ構成を求む。
 MIX TOGETHERのあのキャラクターが「チャーチルミキオ」というとは知らなんだ。

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2001.04.22 (Sun)

『一緒にはじめよう』 内田かおる

[ 晃は幼馴染みの大地にずっと片想い中。しかし大地は晃の気持ちも知らずにアイドルに夢中で……。 ]
 高校生もの。
 いつも魅力的な表情を描かれる漫画家さんではある。殊に少し優男入ったキャラが上手くて、まったりと楽しく眺めていられる……のだが、エッチシーンについては、いきなり突っ込んで濡れ濡れという展開に食傷気味なのも確か。そう毎回大洪水を起こさなくても構わないので、たまにはじれじれな2人というものも描いてほしいっす。

『サイバート青山』 麻倫己留止

[ 大学生の高世は、隣人で大家の息子で引きこもり歴4年のハクリと付き合っているのだが……。 ]
 何とも不思議テイストな24頁。宇宙人とも交信しているハクリ君の行動は独特すぎて、高世がその真意を計りかねるのも無理はなく。(高世も大概一人でまわってるとは思うが……) それでもやっぱり恋するココロは切なくて。「たまには遊びに来た」と言って押入から顔をのぞかせるハクリ君がめっちゃ可愛いです。

『やめろと言われても』 本橋馨子

[ 親友の山際ローランドの様子がおかしいことに気づいていた松藤良平。ローランドから自分はホモだと告白されて……。 ]
 カラー付き。
 友達がゲイだと知って意識過剰になったあげく、自分もその友達のことを好きだったことに気づく――というお約束路線なんだけど、良平の見当外れな右往左往ぶりがおかしい。軽いけど時にマジなキャラクターもグー。勘違いした良平から周旋された高山を一撃で倒したローランドもまた良し。美貌の主だろうと、やはり男はこうでなくっちゃ。という訳で明るく楽しく読めるコメディものに仕上がってる本編ですが、カラー表紙の2人は一体誰なのでしょうか……。

『遠い情景』完結編 七瀬かい

[ 智之の姉・雅が事故死してから雅の夫の崇の様子は一変し、智之を犯すようになるが……。 ]
 カラー付き。
 1月号掲載『遠い情景』から3月号の番外編(『愛が僕を縛る』)を挟んで完結編。
 むむう、ページ数をかけた割には、オチは予想範囲内だったし、情念的にもあまり濃いものは感じられなかったし、あまり読み応えがなかったよーな……。なんというか、2時間ドラマ的。崇の歪んだ愛情に引きずられているのだろうけど、智之が「それでも戻ってきて欲しいんだ」と思うのが共感できない。どうしてあんなんで運命だなんて思えるんだ。そういえば、ボーイズ系の執着ものの話って、「恋人がいるから」とかの理由があるからではなくて、一個人として「だけどその気持ちは受け入れられない」という態度に立つ登場人物って、あまり見ないような気がするなー。

『ラブ・プロット』 神崎貴至

[ 雑誌の読者モデルをしている梶紀一は、読者投票ページではいつも保坂兄に抑えられて2位どまり。それをブラコンの保坂弟に絡まれて……。 ]
 カラー付き。
 モデル系高校生もの。
 直球の恋愛ではないけれど、こういう始まりがあってもいいかも、と思わせる。紀一は意外と細やかに気配りのできる性格のようだし、このまま保坂弟と恋人未満に終わるにしろそれ以上になるにしろ長く仲良くやってゆけるのじゃないだろうか。

『Sweet Grape』後編 深井結己

[ 田川と深町がキスをしているのを見て、その場を逃げるように立ち去った滝野は、追ってきた深町を強引に抱くが……。 ]
 祈る人6にしてシリーズ完結編。
 滝野にとって深町の手は暗闇から明るいところに引き上げてくれる、天上からの手なんだなあ。うーん、だけど駅での場面はもっとコテコテに盛り上げてもいいのではないかという気が少々。どっぷりと滝野に感情移入して読んでいた身としては、滝野ってば、もう深町のことを受け入れて前向きになっちゃうの?とちょっと欲求不満になってしまったのでした<おい
 でも現実には相手が完璧にこちらの思うことを理解してベタベタと甘やかしてくれることなどそうはないことだし、滝野と深町の関係にしても、深町は何度も“甘い葡萄”を取り上げられてきた滝野の痛みを同じ位置では判ってやっていない。その点では2人はすれ違っていると言えるかもしれない。でも深町は「逃げれば逃げるほど苦しくなってんの気づいてる?」と滝野の状態を把握しているし「その都度おれがなんとかしてやるから大丈夫だって」と滝野を力づけてもいる。不完全な者同士がぶつかりあいながらそれでも相手を想ってフォローしようとするこの話は、相手に同化するような受け入れ方をする癒し系とは一線を画するものがあるのではないだろうか。でも欲をいえば、一度は滝野との別れを承諾した深町が、再起動して滝野に向かって駆け出す瞬間が見たかったですにゃ。あと、田川を病院送りにしたほどの深町の蹴り。これが描かれていないからすっきり感に欠けるのではないかという気もしないでもなく。深町は、その後病院でばったり出くわした田川に再び蹴りを喰らわしとりましたが、やはりあの冒頭、滝野が立ち去った直後の場面でこそ蹴りをかますシーンを描いてほしかった。というか、深町が思いっ切り田川を突き放す場面が見たいのですなー。深町が滝野を選ぶのは判っているのだけど、より一層それを補強してほしいというか。嗚呼何てベタな欲求……。判っちゃいるのですがね。ははは。そうそう、滝野が俺、深町がおれ、田川がオレと一人称が使い分けられているのですな。それに気づいたのは、「おれには今しかないんだよ!」という、まさに納得(笑)な深町の台詞を書き写そうとした時でした。
 それで、このシリーズは今後もう描かれないのでしょうか。共白髪になった2人とかも味があっていいと思うのですが。演劇のこととなると入れ歯も飛ばす勢いの深町とか、結構会社の偉いさんになった滝野とか。それはそれで飛躍すぎかしらん。
 ところで、私がこのタイトルを正しく理解したのは、前編を読んで相当後になってから……。何故か私の脳裡に浮かんでいたのは、「グレープgrape」ではなく「グレープフルーツgrapefruit」だったのでした。ばーかばーか。

  • 『DASH!』こんな警察官嫌だ……。
  • 『SUNNYDAY・37』どーみても37才には感じられないのがネック。いくら童顔だからといって、ものには限度というものが……。

 うーん、今回は総体的にはイマイチ感が漂う1冊でした。残念。

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2001.04.28 (Sat)

『我らの水はどこにある』ACT.2 山田ユギ

[ 竜彦と驚愕の再会を果たした至は、少しでも竜彦と話をしようとするが……。 ]
 巻頭カラー。
 あー、前回、感想を書くにあたって花音を何度も何度も隅から隅まで読み返したのですな。何のためってそれは、竜彦の年齢を知るため……。話の流れからいって高校生ぐらいの設定のはずだけど、現物の竜彦を見たらどうにも確信が持てなくて。これがまた、はっきり高校生と記された箇所がなくて大層悩んだものでした。んがっ、今回においてやはり竜彦は高校生(17or18才)ということが判明。はー、あれで高校生なのか……。至にしたら、小動物だと思っていたのがいつの間にかティラノザウルスになってた、というような驚きでしょうなあ。なんて至の受けたショックをよそに裏ではもう一本のストーリーが進行中の模様。それがどう本筋と絡んでくるのか今後に期待。

『アラビアンでないと!?』STAGE3 七瀬かい

[ 人格が入れ替わってしまった、ひなたとセシル。ひなたはセシルの恋人アルディーンの元から逃げ出そうとするが……。 ]
 加賀谷をたらしこむべく彼とのHに励むセシル。それはアルディーンのところに帰るためなんだけど、内心加賀谷にフラつく面もあったりして“もちろんアルが最高なんだけど!”と自分に言い訳してるのがおかしい。しかし、つくづく言葉が必要とされない世界だ……。周囲に事情を説明するという正攻法を取ろうという発想はないのだろうか。ところでアルディーン様、貴方ただの色ボケにしか見えません。もうちっと、様子の変な恋人を心配してやれよ……。

『時の羅針盤』access*2 CJ Michalski

[ 暁人を橘の屋敷から連れ出した高見沢は復讐と愛と嫉妬に揺れるのだった……。 ]
 逃げ出してきたはずの場所にうかうかと電話を入れてしまう暁人の世間知らずさも最早いとしい……というか、そのおバカさ加減を愛でるしかないというか。「馬鹿な子ほどかわいい」ともいうけれど、ちょっと暁人に年齢を聞いてみたいかも。いくら外界と遮断された特殊な環境で育てられてきたからといって、他人を信じすぎるのじゃなかろうか。まあ、だいたいにおいてこの話は登場人物が単純すぎるきらいがありますが……というか、展開される世界そのものがあまり奥行きを感じさせませんが……。でも、暁人からの電話を愛しげに受ける黒田の様子には心打たれるものがありますです。
 しかし、会長はいつまであの格好なのでしょうか。もしかしてその下は一糸纏わぬ……なんて妙な想像をしてしまいそうです。

『恋の渇き』第4話 穂波ゆきね

[ 更井愉香逝去。愉香と付き合っていた織衛、竜巳、卓は……。 ]
 高口里純原作。
 うーん、そもそも中心にいた女性が死んだからといって、残された3人がどうして抱くの抱かれるの殺すの殺されるの、という話になってくるのかがよく判らない。竜巳は織衛を抱くことで、卓は織衛の死を望むことで、愉香の死という現実から逃れようとしているのだろうか。それとも愉香が付き合っていた中で一番最後まで事情を知らなかった織衛への復讐なんだろうか。だとしたら織衛にとってはワリに合わん話ですな。一番キレてるのは卓だけど、それは愉香が不治の病であることを知って彼女の好きなようにさせていたものの本当は独占したかったから、なのかなー。いずれにせよ、ボーイズラブというカテゴリからはややはみ出しがちな話ではあります。次号最終回。

『ハッピーヤローウエディング』バトル・3 藤崎こう

[ 突然押し掛けてきた藤堂瑛の弟、一輝のせいでぎくしゃくし始める夕飛と藤堂の関係。しかし一輝の持ってきた見合い話は本当は藤堂のものではなくて……。 ]
 ママと呼ばないでシリーズ。
 雨降って地固まる展開で、無事に関係を修復できた夕飛と藤堂……なんだけど、藤堂の行動はまだいまいちピントがズレてるような気がしてなりませぬ。確かに結婚(養子縁組)することで夕飛を1つの枠組みの中に入れてしまうことは、夕飛の不安を解消してやるのに有効な手段かもしれないけど、それにも増して、言葉や物じゃない、日々の行動が問題なんだよ、アンタは……と藤堂に言ってやりたい気持ちが。それと。千春さんっててっきり年上の女性で、一輝は彼女に母親のような恋人のような感情を抱いておりしかし年の差や身分の違いなどに悩んでいるのだと思っておったのですが……ボーイズラブだもんねえ、相手は彼女じゃなく彼に決まってるじゃん! という訳で千春本人の登場シーンでばったり倒れ伏してしまったのでした。ああ、してやられたり。

『ブレックファースト・クラブ』Meeting・1 高井戸あけみ

[ 父親の急な海外赴任に伴い、寮に放り込まれた高校生の松本正種。そこは自治組織「ブレックファースト・クラブ」が仕切る世界で……。 ]
 集中連載。高校生もの。
 やはり寮といえば教師の与り知らぬ妖しげな組織があるのが常道というものでしょう。とはいえ、ブレックファースト・クラブ(BFC)は恐怖政治をしいている訳ではなく、やっていることは賭け事の胴元であったり寮内トラブルの仲裁であったりと、寮内生活を円滑かつ楽しく過ごせるようにするのがもっぱらの仕事。寮長(表と裏でころりと変わる態度がいかにもで素敵(笑))と副寮長もその運営には中心的役割を果たしているけど、代表はまた別人で=寮長ではないところがミソなんだろうな。物語は主な登場人物の顔見せと説明が終わったところで、話が大きく動き始めるのは次回からになりそう。突然正種にキスしてきたルームメイトの真意は如何に?(ただの酔っぱらいか?)
 一つ難点をあげるとすると、黒目部分の少ない独特な目の描き方なので、ストーリーに沿って読み進めているうちはいいんだけど、予期せぬカットがあったりすると、人物が人間じゃなく見えてしまうことが……。実は、正種が夜中に窓の外からの物音で目が覚めるシーン、外にいたのはバイトで寮を抜け出していたルームメイトだったんだけど、それが宇宙人か幽霊かアンドロイドかと思えてしまったのでした。

 愛のあるところにセックスはあるかもしれないけど、セックスがあるからといってそこに愛があるかは確定できないと思うのですがねえ。逆必ずしも真ならずと言いますか。

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2001.04.29 (Sun)

『月光のらんかんにくちなしの匂い』第1話 高久尚子

[ 新米美術予備校講師の斎川には、結婚式は挙げたものの入籍する前に彼女と別れたという過去があった。斎川は同僚の梨本と食事に行った帰りに本心を吐露し……。 ]
 巻頭カラー。
 新シリーズ。悩める講師もの。悪酔いしてゲロを吐いたあげくベソベソと泣く斎川は大層情けないのだけど、年と共に自動的に「ちゃんとした大人」になれるのなら誰も苦労はしないというもので、まだまだ30代前(だろう)の若造であれば悩んで当然なのだから、もっといろいろガンバレ。(いや、頑張れという言葉は遣っちゃイカンのかもしれないけど、気合いを入れてけっつーことで) それとゲロした斎川にキスした梨本の勇気に乾杯。雰囲気に流されて後悔しなかったか? あと、ラストで生徒の話を聞いた梨本が笑うのがよく判らん……。そこって笑うとこか?

『真綿の王国』第6.5話 南野ましろ

[ バイト帰りの徹太は麦太から×××されそうになり愕然とする……。 ]
 あまあまらぶらぶ、そして意外と露骨にHなこのシリーズ、今回も結構飛ばしてます。麦太曰く「カラダ舐めたり噛んだり吸ったり」、それはともかく「おしりにぎにぎしてもろたりして」って何かとってもリアルな感じなんですけどー。イヤーン、どんな顔してやっとんじゃ徹太よ。でもって徹太曰く「こんなこと二度と俺以外の奴から教わるな」って、勿論俺本人からはオッケー、そのうち俺が直々に教えてやるからってことなんでしょうなあ。え?そんなの聞くまでもない? それは失礼しました。それにしても徹太の呆然とした顔というのは初めて見たような気がする。やはり麦太からされそうになったというのは破壊力がでかいようで(笑)

『ロマンスとイノセンス』第1話 やしきゆかり

[ 蒸発した母親を捜すためにテレビ番組に出演したのが縁で年上のカメラマンと付き合っていた宇野治は、それが父親に知れて勘当されてしまう。高校に進学した宇野は寮に入るが……。 ]
 新シリーズ。高校生(同級生)&寮もの。あー春だし若いし、サカッてますねー(笑) 宇野って恋愛体質なんだろうな。そのくせ、宇野と同室の桜井が、傍目から見れば非常に判りやすく構ってほしいオーラを発しているのに、肝心の宇野は登戸弟をターゲットに攻め気に出ているものだから、全然それに気がつかなくて、そのうっかりさ加減がまだまだ若いのうという感じ。しかしまー、この大平寮ってホテル並みの施設ですなあ。お金持ち学校なのかしらん。

『転校生・神野紫』記憶編1 田中鈴木

[ 相変わらず親しげに近寄ってくる神野。時折陣内はその表情の中に見覚えがあるものを感じるのだが……。 ]
 「…拳を開かないと意味がないんだよ」という神野の謎めいた言葉。その意味するところは……? 早く続きが読みたい話。季刊アンソロジーでこの展開はツライ。ところで風邪って邪気なんだろうか。

『冷蔵庫の中はからっぽ』9 山田ユギ

[ 実家から緊急の電報を貰い、慌てて親の元に帰った清水だったが……。 ]
 最終回。まだまだ続くものだとばかり思っていたので最終回の文字にびっくりしてしまった。感動的で前向きで、とても手堅い終わり方だったのではないでしょうか。ただ梅谷×清水の関係については、今までずっと寸止め続きだったのでもーちょっとはサービスカットを入れてほしかったかも(笑)

『僕のロボトニック』 竹美家らら

[ 人型ロボットのロボローと暮らすススム。しかしロボローは使えないロボットで、腹を立てたススムはそれまで一度も出たことのない外界に飛び出すが……。 ]
 近未来もの。16頁の短編ながらショッキングさでは一番のお話。わがままなお坊ちゃん系の出だしと暖かな絵柄からは予期できぬ展開に、ラストの作者からのメッセージよりも、ロボローとススムがあの後どうなってしまったのかばかりが気になってしまった。やはりロボローは壊されススムは捕らえられてしまったのだろうか。そんなの嫌じゃー。

『DROPS』第10話 南京ぐれ子

[ ミックスについて店の奥に侵入したシナモン。その頃ジンジャーはドロップの管理係のラオに苦い過去の話をしていた……。 ]
 進んでるようで進んでないというべきか、進んでないようで進んでいるというべきか、ちらちらと物語の奥が見えそうで見えないチラリズム志向なストーリー。この焦らし加減が堪りませんなあ、くくくく。……と思うしかないような展開で、なかなかドロップの謎に近づけません……うう。じりじりと話を進めてゆく作者もかなり我慢強いですのう。

 表紙の「オール新作!」というのを見るたびに思うんだけど、基本的にそれって当然のことじゃないだろうか。同人誌からの再録がないってこと?

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2001.04.30 (Mon)

[感想]「西洋骨董洋菓子店」2 よしながふみ

「西洋骨董洋菓子店」2 よしながふみ 新書館WINGSCOMICS ISBN4-403-61628-3 C0979 \520E

[ お馴染み、オーナー橘、天才パティシエ小野、見習い神田に、新入り千影を加え、よりホストクラブ的メンツになってきた洋菓子店「アンティーク」。今回はそれぞれの思いがけない過去が語られる。以下続刊。 ]
 ストーリーを追うもよし、ケーキの蘊蓄に耳を傾けるもよし、魔性のゲイに翻弄されるもよし、幾通りもの楽しみ方ができる一冊。前作からパワーダウンすることなく一層読者を惑わせてくれる作者の力量は大したもの。しかしまあ、何といってもやはり見所はまたしても魔性のゲイこと小野ですわなあ。爆笑&魅惑の雨中ダンスときたら。だけどあれって小野自身にもコントロールできない能力だとは知りませんでした。酔っぱらって普段のキャラクターからは想像もつかないような行動をとるようなもんでしょうか。難儀なことですねえ。
 そして次第に明らかになってきた登場人物たちの背景。「おまえって奴は……」なエイジ、「なるほど……」な小野、「へ、えええ?」な橘。基本的に橘って、とてもマメで思いやり深い人物なんだろうな。親族に対する気配りや、多分足手まといになるだろう千景のことを小野によろしく頼んでやることとか。だけど、祖母と叔母が店を訪ねてきた時の、一拍置いて振り返った橘の前歯がキラめくような笑顔は「さ、詐欺師……」と言うほかはなく。くくく。
 さて、エイジと千景をいともたやすくトリップさせてしまう小野マジック。今回は新しく洋惣菜が商品に加わりその味で橘をもトリップさせてしまってます。(これがまた不気味にうっとりした顔なんだ……) サンタひげはいらないから、橘よ、是非赤いフェラーリに乗ってうちにも配達に来てくれー。

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