「楽園まであともうちょっと」(1) 今市子 芳文社花音コミックス ISBN4-8322-8197-6 C9979 \562E
[ 川江務は別れた妻・小百合に頼まれて一週間だけ旅行会社「楽園企画」の店番を引き受ける。しかし実は「楽園企画」は多額の借金を抱えていた。金融会社の浅田貴史といいムードになる川江だったが、社長である小百合の父親が死去。連帯保証人になってしまった川江も借金返済の為に奔走することになる……。第1話〜第5話を収録。以下続刊。 ]
雑誌掲載時の感想→1→2→3
基本的には、バツイチ山男の川江と社内不倫中の浅田のトキメキラブストーリーのはずなのですが(多分)、ヤクザの出入りのあおりをくって情事の最中に警官に乱入されちゃう菊池社長×浅田とか、ヤクザ内の人間関係やら、オヤジ同士の野球拳(で全裸)とか、事業にこめた男の夢なんて泣かせどころとか、煌めく星空とか(美しいものも入れておこう)、これでもかといわんばかりにエピソードが盛り込まれています。「青少年のための少女マンガ入門(3)今市子」によれば、作者にはどうやら萩尾望都の呪いがかかっているとか。それにしてもこのネタの大盤振る舞いには、思わずネタ切れの心配をしてしまうほど。でもきっとそれって杞憂なんだろうなあ。しかも、何故かヤクザの手打ちで山登りの回(第5話)では、一度は再び戦端が開かれたものの敵同士が寒さ避けにゴミ袋被ってひっつきながらボソボソ話してるシーンがあったりと、これまた芸が細かい細かい。(ただそれが話の迷宮化を促進しているといえなくもないので、単純に面白がってばかりもいられないのですが)
川江と浅田に話を戻すならば、籍を抜いたとはいえ元妻のウエディングドレス姿を思い浮かべて“頑張れるさ”と疲労困憊の極致にありながらも呟く川江って、いやもう本当に男前で。彼なら、ストレスから“飲んで本性を現せ!”とややぶちキレ気味に川江に酒を飲ませたりする浅田もきっと大きく受け止めてくれると思うんですが。しかし、マンションの中でさえヤッホーと聞こえれば呼び返すなんて、根っからの山バカなんだなあ……>川江
一体全体これからどういう展開を経てどういう結末に辿り着くのか一向に先が読めないのですが、とにかくも先が楽しみなお話であります。最初はサクッと切りよく全1巻で終わるのかと思ってましたが、もしかして結構長くなる話なんでしょうかねー。
あと、菊池の奥さんの好きな人って浅田のことじゃないかと思うんですが、どんなもんでしょうかね。
[ ふとしたことで隣家の少年・加賀山章央と知り合った遠藤晴之は、頼まれて章央が出てくる小説を書き始めるが……。 ]
巻頭カラー。
29才×14才――という段階までいかない淡いお話。
定番病気ネタを少し捻った形で話が展開している。記憶に障害が出る可能性の高い手術を控えた少年の不安が後になって実感されるあたり、とても切ないけれど、一方でまた新しい出会いへの希望が持てる話になっている。タイトルに相応しいカラー原稿の色合いが綺麗。
ただ、晴之についての情報が乏しく彼が一体何者なのか最後まで疑問でした。“右手”のいきさつとか、何を生業にしているのだろうとか。感情移入しやすくするためにももう少しキャラクターの外堀を埋めてほしかったかな。あと、走っているシーンが走っているように見えません。両足着地してるのに効果音がタッタッってのは一体……。
[ 湖岸の民の長でもあるユウエンの父から覚悟を厳しく問われたエンバは……。 ]
01年10月号、2月号の続き。原始もの。
大層壮大な終わり方になっとりますのう。今回だけ読むと、まるで2、3年は連載していた話のラストのようです。竜頭蛇尾に終わる話は多いと思うけど、最後だけ盛り上がるというのも珍しい。
うーん、確かに絵は綺麗だしムードも出てるんだけど、話全体を見渡した時のページ配分が上手くいってない感じ。唐突に東の森の民と湖岸の民に和平が結ばれたと言われても、エンバ側のことは全く描かれていないし、ユウエン側にしたって部族の他の人間は殆ど出てこないままで、一体いつの間にそんな状況になってたんだ?と首を傾げてしまいますがな。そのあたりしっかり描いてほしかったです。というとそれこそ長期連載になっちゃうんだろうなー。
4/10に描きおろし付きでコミックス発売予定。
[ 家庭教師先の生徒・渋沢要人に犯されてしまった志木恭介。要人の成績悪化もあって家庭教師を辞めることになるが……。 ]
ふがー。土壇場の背負い投げにかなり呆然。そこで志木と要人ってデキちゃうのか? 自分の失言で傷つけてしまった相手に償うのと、恋愛関係にまで突き進むのとでは、まったく次元が違うことだと思うのだが。志木って、要人の厚かましい純情に押し切られてるだけじゃないのか? そんななし崩しのことでいいのかー!?
……って、志木ってば、“そうしておまえはいい男になっていくのか――”なんて呟いてるんだよね。「いい男」なんてどこから出てきた形容だ。もしかして、捨てようと思ったら勿体なくなってきたというヤツか?
[ 二人きりで海外旅行に出かけた岩城と香藤だったが、恋人が香藤のファンだというカルロに別荘に招待されて……。 ]
カラー付き。
春を抱いていた・20。
作者曰く「「カジノ・リリィ」のカルロとマギラとのコラボレーションです(笑)」。
カラーページでの眉毛の上がってる岩城さんとか、恋人の水着姿に鼻の下をのばしている香藤とか、ツッコミどころ多数。話そのものは今回は焦点をマギラとカルロに持っていかれてますが。後編では、カルロからの謎の贈り物を核に、より一層強い愛を天と地の間に誓ってくれちゃったりするのかなぁ。
ところで、カルロってえらく挑戦的な顔してますが、あれって地なんすかね。
[ 年上の幼馴染み・倉橋正臣と付き合っている佐伯千紘だが、いつも正臣にイかされるばかりで……。 ]
年齢差有りご近所さんもので、整形外科医×高校生。
Hシーンで、いきなりガツガツとならずに、正臣が千紘を気遣う様子がとても優しくていい雰囲気です。すでに出来上がっちゃってる二人ですが、初めて互いを意識してドキドキとか嬉し恥ずかし告白タイムとか、そういうのはないんでしょうか。求む、過去編。(「バニラ」というのは、必ずしも射精を必要とせず抱擁やキスを好む人々を指す意味もあるらしいですが、それとは関係ないみたいですねー。)
それと、千紘にいらんちょっかいを出してきた正臣のイトコ・慶彦にはもっと鉄拳を振るってやっていいと思います。つーか、私が許可します。殴れ。
[ 他社から引き抜かれてきた鹿島拓郎は新しく同僚となった柳沢進がカラダで契約を取っていることに気づくが……。 ]
リーマンもの。
胡乱な眼鏡キャラ萌えなので、うさんくさげな眼鏡君・柳沢に釣られて結構楽しく読みましたが、ちっとばかし盛り上がりどころに欠けるお話。呟きに似た鹿島の思考が短いモノローグとしてかなり頻繁に差し挟まれるのも、無骨な鹿島のキャラクターと相まって味といえば味だけど、単調の原因になっているかと。一人称漫画なのに、突如として完璧に柳沢主観になっている箇所があるのも気になるし。
気になるといえば、鹿島が本番シーンであくまで下を脱がないのがかなり謎でした。何でー?
[ 上司の頼みで家庭教師を引き受けた椎名。教え子の神田征一の片想いの相手が、学生時代に想いを告白した相手だと判り複雑な気分の椎名だったが……。 ]
基本は漫画家×社会人(リバ)だけど、今回は横やり先輩×後輩パターン。
『万太夫とオレ』(01年2月号、10月号、02年2月号掲載)の続編。キャラに予想外の過去が出来ていてびっくり。別人かと思ったざます。
そして、人は何故両手を縛られると別に誰に押さえつけられている訳でもないのに自ずから全身が見やすいように手を上げてしまうのでしょう……。お茶の間ドラマで必ずカメラ側の席が空いているようなもの?
次号よりロゴの変更とのこと。“BI-MONTHLY COMIC ROMANTIC&EROTIC”ってやつですかー?
[ 大学生の真野は同じ大学の友人・飛島の誘いを受けて、寮を出てアパートで飛島と一緒に暮らすことにするが……。 ]
巻頭カラー。
大学生もの。
初め、ちょっとしたことで言い合いを始めて先輩に呆れられ「ケンカじゃないです」と声を揃えた二人は余程息が合ってる仲なのかと思ったけど、随分簡単にヒビが入ってしまうものなのですなあ。というか飛島の真意が判りません。同居し始めて自分の真野に対する気持ちに気づいたというならともかく、最初から真野のことが好きと判っていて同居初日から真野の裸にムラッとくるくらいなのに、何で一緒に暮らそうなんて誘ったのか。後から「何するのかわからないのがこわいんだ」なんて言うくらいなら、部屋を貸してくれてる先輩とどんなやりとりがあったのか知らんけど、端から同居の勧めを断っておけば良かったんじゃないか?と思ってしまうんですが。まだ連載初回なので、今後飛島側の事情が明かされることを強くキボー。
[ 津田が病院に長期休暇願を出して姿を消してからというもの、津田の不在を強く感じる白石だったが……。 ]
むむむ。説明台詞がいっぱいです。何がどう変わったとも思えないのですが、とりあえず白石が自分からフェラをしかける程には積極性を発揮するようになったというのは、二人の関係にとっていいことなんでしょう。しかし白石の、泣き出す10秒前みたいなハの字眉毛は一生変わらないんだろうなあ。
で、結局津田の見合い話云々はどういう決着がついたのでしょうか。若宮もとんだ当て馬で。ご苦労なことでございます。
[ 全てにおいて幼馴染みの和人に水をあけられてしまい落ち込み気味な鉄也。その上、借金苦から両親も家に戻らなくなってしまい……。 ]
幼馴染み系高校生もの。
吉原理恵子『幼馴染み』の昔から、幼馴染みの優位逆転ネタは定番中の定番ですが、そんなマンネリ感なんて吹っ飛ばす勢いのあるお話。細かい描写でのツッコミどころはいろいろあるのですが(「さわると目が青くなるぞーっ」って一体何時代の話だよ、とか、どう考えても針の持ち方が変、とか、鉄也の部屋が教室みたいだ、とか、電気止められてるんだったら、夜景しょって帰ってきて、すぐ気づかない訳ないだろ、とか)、ノリが良いのですべて流して読めます。スティーヴこと和人のストリップ(バイト)とかねー、もう見に行きたいくらいっすよ(笑) 2度目のHシーンで、思わず嬌声をあげてしまい口を押さえる鉄也を気遣う和人の気の毒そうな顔とか、愛もいっぱいで、楽しく読んだ1作でございました。いやあ、若いっていいですねえ。ラストのコマの「ご迷惑おかけしております」の工事中看板も良し。
[ 怜と同い年の甥で犬猿の仲のラウルが急に鷹統本家に滞在することになる。早速反発しあう二人だが……。 ]
カラー付き(2C)。
断続的に掲載されているシリーズ。(前回は01年11月号〜12月号)
作中時間がまだ1ヶ月しか経っていないことに驚いた。てっきりもう半年ぐらいは経っているもんだと……。
登場人物達のリアクションが無闇に激しいので、読んでいてちと疲れる。もう少し落ち着いて普通に話してくだされ。あと、親しみをこめて上総(暁の父親)の話をする怜に暁が疎外感(嫉妬かも)を味わう場面は、言いたいことは判るんだけどちょっと唐突。初めての気持ちに戸惑う主人公の目を通して周囲を描写しなければならないのでバランスをとるのが大変だとは思うけど、もう少し暁の気持ちの原因(怜の優しげな表情とか穏やかな声とか)を説明的に描いても良かったんじゃなかろうか。
何はともあれ、暁の父にまつわる事情と、それにどう怜が絡んでくるのかの一端が明かされそうなので後編に期待。ホント、暁の貞操の危機はどうでもいいので、そこんとこきっちり教えてください。
[ 大学生になった敦は早くも教育実習の時期を迎えようとしていた。実習先は何と女子高で……。 ]
関係性を大きく変えた敦と雅美についていけてないのかなァ。ラスト直前だというのに、いまいち盛り上がっては読めませんでした。すまんこってす。
それなりに考えあってした雅美に殊更に「さみしい思いさせてごめん」なんて言うのって、相手に失礼なことのような気がするんですが。雅美の思いを無にしてるようで。まあ二人が解り合っているからいいのかなー。
敢えて若者を試練のどん底に突き落とす老練女教師がナイスキャラクターでした。次回最終回。
[ 能役者の父親を持つ瀬尾忍。彼には3年前に死んだ兄がいた……。 ]
近親もの。
密かに張りつめた日常。重くのしかかる3年前の事件。そして明かされる真実――。
絶対麗奴に掲載されていたような暗い情念系の話を彷彿とさせる一編。その頃の話が好きだったので懐かしく読みましたが、しかしもうちょっとコマ割りを細かくしたり書き込みを増やしたりしてもバチは当たらんと思います。それと兄のキャラクターからして、大学ノートに日記を書きつけることはあってもDiaryなんてついた日記帳は似合わないような気がするんですが。
立ち去る直前の、力が抜けたような、泣き出しそうな静流の表情が印象的。
連載漫画のはずが何故に前後編に……? 予定が変更だらけで、近況が気になるところですが。しばらく見ないうちに絵も随分変わっちゃったようだし。
「あんたに会うと俺は弱くなる」というアーチャーと「俺は君といると強くなれるよ」というコーキ。確かに今まで憎しみと共に生きてきた人物にとって、ある意味憎しみは自分を支える強大な力であり、それが失われると自由を感じるよりむしろ心許なさを覚えたり、また心を揺るがせる誰かへの愛情は却って不必要なものだと感じられるのかもしれませんねー。でも、心の持ちよう一つで、憎しみの代わりに愛情を己が力と変えることも十分可能なのですが。
受け・攻めTシャツ……(「The YAOICON Report!!」より)。嫌すぎ……。
[ 親代わりとして面倒を見てきた4人の弟妹がみな家を出てしまい少し淋しい山野隗は、勤務先に訪れた外人客ランスと親しくなるが……。 ]
巻頭カラー。
18才×36才。(ダブルスコア……) 高校生×社会人。
ランスは、よく言えば、自分ではない誰かに山野の笑顔が向けられることに傷つく神経質なお年頃。悪く言えば、欲しいものは何でもすぐ手に入れなければ気が済まないワガママ僕ちゃん。弟妹と話している山野を見て、それと知らないランスは「結局… つきあうのが苦手でもつきあってくれる奴は幾らでもいるってことかよ」なんて苛立ったりしてますが、そもそもランスにはそんな風に腹を立てる権利なんてどこにもない訳で、更に酔わせて強引にHに持っていくなぞ自分勝手もいいところ。何で、犯した後に告白の言葉が出てくるのか、順番逆だろー?と思わずにはいられないのですが、そこが若さ故の過ちってもんなんですかねえ。とりあえず、山野はランスと付き合うにしてもハリセンの一発ぐらいは食らわせてやれと思います。
あと、山野が弟妹と会っているシーンをランスが目撃してしまう場面、壁の向こうにランスが……とか、ドアの向こうにランスが……とか同じような状況が続いているのでちょっと変えて欲しかったり。(ちと笑ってしまった。すまん) それにしても山野家の弟妹ネットワークは優秀ですな。
目隠しHは大変やらしくて宜しいのですが、物がネクタイだと描きようによっては、宴会サラリーマンのネクタイハチマキに見えてしまうので要注意。
ところでカラー表紙を見た時、うわー流血だ内蔵露出だと思ってしまいました……。(ワインだった) 4/27にコミックス発売予定。
[ 居残りを命じられた広瀬は、教師から何故自分の科目だけ白紙答案なのか問いつめられるが……。 ]
教師×生徒。
生徒に白紙答案を出され、誘惑され、汚い欲望を引き出され、関係の継続を望まれ、あげく不意に健気な顔を見せつけられ、まったく教師は大変な職業であります。ラストページの広瀬の表情は正に反則。
でもあれで教師のSスイッチが入るということもあり得るんだけど、広瀬にとってはそれも本望というものなんでしょうな。好きな先生とそこまで深い関係になれるんだったら。
[ 最近カウンセリングだけでHの治療をしてもらっていない五十嵐は、ちょっとカラダが疼き気味。そんな時、バイト先の店長に告白されて……。 ]
カラー付き。
医者×高校生 + バイト先の上司×高校生。
01年SpringSpecial掲載『世紀末カルテ。』、AutumnSpecial掲載『ヘイ!ドクター』の続き。
脳天気な店長と、粘着質な若先生に立て続けに攻められて五十嵐もお疲れさんなことで(not 3P)。センセイもなー、ヤるばっかりじゃなく五十嵐と会話を楽しんだり、様子のおかしい五十嵐に顔色を変えたりするあたりは、結構いい人っぽいんだけど、結局は濃ゆいHに行っちゃうんだよなー。まず人の話を聞けって。
大人キャラの表情とか好きなカットも多々あるので、次はもうちょっと起伏のあるストーリーものをお願いいたしますです、ハイ。
些末事ながら、台詞の語尾に付くハートマーク、「快感の度合いを示す」みたいな使われ方をするとちょっと違和感があります。
[ 全寮制の名門私立校・瑛琳学院の特待生となった鳳将臣だったが、後援者と名乗る鷹瀬に強引に躯を奪われ……。 ]
パトロン×ピアニスト。
えーと。正直申しまして、その煌びやかなペンネームと、冒頭の仮面をつけての美少年オークションに、最初は100mぐらい引いたのですが。読む進むうちに、いや、ちょっと待てよ、と戻ってきました。
何つーかですね……、有り体に言って最近のボーイズラブ漫画って、快楽に流されすぎ。それと強引に犯されることへの怒りがなさすぎ。かように思っていたので、鷹瀬に喘がされても心は許さない将臣の態度に、やっぱりそうでなくっちゃ、と思ったのでした。しかし逆境から這い上がるために敢えて鷹瀬にその身を差し出す、というのもまた良し。……まあ、その分、ちょっと古臭い感があるのも否めないのですが(特に設定が)、たまには古きJUNEの香りのする話を読むのもいいものでございます。是非、将臣には愛になぞ目覚めず、鷹瀬も甘っちょろい言葉など語らず、このまま愛情より深い感情で結ばれていってもらいたいものです。
[ 一味に入れという誘いを拒む男に、オレは……。 ]
犯罪者もの(多分)。
ええっとー、男が服を脱いだ時、ワタクシの脳裡をデュワッとよぎったのは、ウルトラの星の人……。カラータイマーついてないか思わず探してしまったですよ。赤に興奮するのは男だけではなく主人公もそうだったんですなー。
男の言う、「極 単純な方法で手を取り合える可能性がある」というのは何を言わんとしているのかは判ってましたが、「赤い糸」とくるとは予想外。そういえばタイトルにも合ってるし。ステッキーなキメ台詞に大笑いしてしまったのですが……、あの、これって、笑う話、ですよね?
邪気に満ちたキャラクターの笑顔が相変わらず魅力的です。
[ 芸者の母と陸軍大佐の父を持つ信夫は、若き叔父・喬太郎に懐いていたが……。 ]
カラー付き。
軍人もの。シリアス。
99年7月号〜9月号掲載『白の無言』外伝。
うろ覚えな記憶によれば、『白の無言』の中で信夫は軍隊で上官たちに薬を使って慰み者にされていた上、若くして戦死したんじゃなかったっけかな。惨い人生でありますのう。『白の無言』では信夫は寡黙な青年だったように覚えているのですが、過去を知ることで、信夫の態度の理由が理解できたような気がします。が、いかんせん当時の雑誌が手元にないもので読み返しようもなく。出来れば関連する話はなるべく時期を開けずに掲載してほしいですね。
今回の話は、非情なラストではありますが、兄とも慕う喬太郎が最後には信夫の信頼を裏切ることなく軍人の本道に立ち戻ったことは、信夫にとっては指針となる出来事だったのかもしれません。酔態を見せる喬太郎に鉄拳を振るったものの、一方では「自傷行為は軍人の性(さが)なんですよ」という大佐の言葉が重いです。
よいこのみんな、『んぽっぬで園祇』は右から読んでね! (疲れた……)
昔読んだ漫画で、とても印象に残り、その漫画のタイトルを聞くと条件反射で思い出してしまうシーンがあります。
どういう場面かというと、サッカーの試合を見に来た女性が、お目当ての選手のポスターを買ってはしゃいでいます。それは若い選手がサッカーパンツだけを身につけて立っているポスターで、それだけでも見事なボディーが見て取れるのですが、しかし〜、あーら不思議、ぱっとサッカーパンツの部分を手で隠すと、まるで全裸でいるかのように見えてしまうんですねー。それを見て女性は更に興奮してしまうのですが、周囲の観客は引いてしまうという。
いいですねー、このスケベ心。
というか、その手があったかと思わず膝を叩いてしまったのはヒミツです。ましてや、その後何度もそのテで楽しませてもらったなんて……モガモガ。
何気ないカットをスケベに楽しむ方法を教えてくれた、もとい、往年の名作少女漫画かわみなみ『シャンペン・シャワー』は白泉社文庫より全3巻で現在発売中。(問題のシーンは1巻P.156-157) ちなみに私はマルロのファンでした。
[ 悪徳画廊の社員として、カモと見ればカラダをエサに法外な値段で絵画を売りつけていた蒲池だったが、ある日、一人の男性客に指名され……。 ]
かつての後輩×先輩で社会人もの。
一人空回りして、酒に入れたクスリで蒲池の抵抗を封じた上、散々ヤリまくった円頓寺がその後改心して曰く、「あんなホストまがいの事 蒲池さんにはさせたくない」。……不特定多数相手のホストはダメでも特定一名相手のホストならいいのっかなー?と思ってしまったです。
友人の入院費用を捻出するためにダーティな仕事に手を染め、汚れることに慣れ汚れきったと思っていたのに、まだ自分の中にそうでなかった部分を見つけてふと疲れを覚えた蒲池は、昔の自分のイメージを大事に抱え込んでいた円頓寺に少し寄りかかりたいような気分になってるみたいですが、どうせ期限の見えない負債を分かち合うならもうちょっと相手を選んだ方がいいんじゃないすかね。根っから悪党の社長なんかは無理でも、探せば円頓寺よりはマシな相手が見つかるんじゃないかと思いますが。
しかしこのタイトルは……、一人ではもうあの頃には帰れないという蒲池のつぶやきなのか、それとももう帰ることなど出来はしないんだよ、と二人の未来を予言したものなのか(だったら怖い)、どういう意味なんでしょうかねー?
[ インテリアショップに勤める晶は、同じ職場に恋人もいるが、同僚で唯一ノンケな会田が気になってきて……。 ]
職場内三角関係。
ちょっと見、弱者の立場にいるように思える晶の態度は結構戦略的で、そこが憎めないような思いっ切り憎めるような。晶を邪険に扱う武に初めは「嫉妬だ あいつのセンスが怖いんだろ?」なんて言ってた会田は、最後は晶への好意を告白するまでになって、結果的に会田は晶の手に引っかかっちゃったということになるのかしらん。ちょっとズレてるような気もするけど、まあ頑張って下さい>会田 晶と会田の会話はもうちょっと整理してほしかったかも。
[ スムーズに自分の中に入ってきて自分を変えてゆく彰宏にとまどう武郎だが……。 ]
大学生もの。
うーん、ちょっと流して描いてるような印象を受けるのですが。画面も白いし。
で、どんどん心身共にほぐれてゆく武郎ですが、これで 藤田貴美『電気』みたいに、彰宏と別れた武郎が今度は誰かを誘惑する側になったら面白いんだけどなー、と思ったり。そこまでキツい話にはならないだろうけど、ラストに出てきた写真が次回どういう展開をもたらすかは気になるところ。そういえば、彰宏は武郎の出身の町にもいたことがあると言ってたし。ところで何でこんなところに写真が落ちているのかよく判らないんですが……。慌てず5月号を待てばいいのでしょうか。
[ 後輩の鎌田から熱烈告白を受けた若木。実は、以前に彼氏に振られたところを鎌田に見られていて……。 ]
高校生もの(かなあ?)。後輩×先輩。
好きな先輩に「好き」と言えることが嬉しくて一方的に連発していた鎌田だけど、若木にキレられてから言った「オレ先輩のこと好きなんだ」は、半ば自分に言っているようでもあり、でも今までの言葉とはニュアンスがまったく違っていて、ちゃんと自分の気持ちを若木に伝えようとする様子が見て取れて、大変にいい感じです。でもまだちょっと恋に恋する感じもないでもないかなー。この後の二人はどうなるのでしょうか。最後のコマの若木の行動がなかなかナイスです。
しかし冒頭の「カナダからの手紙」(平尾昌晃&畑中葉子)はさすがに古いんじゃないかと……。
カラーの広告を入れるなら、その分、漫画家さんのカラー頁に回してほしいのですが、それは営業的に無理なんでしょうか。